今回はスマートマネーコンセプト(SMC)について、分かりやすく情報の整理をしたいと思います。
SMCではリクイディティ、FVG、オーダーブロックなどの専門用語や情報が多くあり、それらを相場から読み取ってトレードの判断をしていくことになります。
その結果、SMC初心者の多くが以下のような悩みを抱えてしまうことになります。
- 相場から何を読み取ればいいのか分からない
- 情報が多すぎて整理しきれない
- 複数の情報の組み合わせ方が分からない
- 何が重要なのか分からず混乱する
どれも裁量トレードでありがちなことではありますが、基本的には目安となりやすいインジケーター等を利用しないSMCにおいては、この傾向が顕著かと思います。
そこで今回は、SMCで使用する知識・情報を階層化して「どれを重要視すべきなのか?」を中心に解説していきます。
しっかりと読めば、頭の中が整理されるは間違いありません。
Contents
SMCの優先順位
私の考えるSMCにおける知識と情報のイメージは以下のようになっています。
ピラミッドのような階層になっており、一番下の「Market Structure」が土台で、これが一番重要だと考えます。
Market structureの上に「Supply&Demand」⇒「liquidity」⇒「時間帯」と情報を積み上げて、この上にエントリーと決済があります。
一般的にはエントリーが重要だと思われてはいますが、SMCにおいてはそれまでの相場の状況判断の方が重要です。これは多くの裁量手法と同じ考え方ですね。
それではこれから各項目について解説していきます。
Market Structure(市場の構造)
Market StrucutreはSMCにおける相場状況判断の土台で、最も重要な立ち位置になります。
これがしっかりと出来ていなければ、上の段階の分析をしても方向が定まらずフラフラとして、最終的はグラグラと崩れ落ちてしまうかのようにトレード自体も再現性も優位性も無いものになってしまいます。
ですから、まずはMarket Structureを最優先にするようにしましょう。
そんなMarket Structureとは、相場の波からトレンド方向を読み取って、BosやChochなどを判断していくことがメインになります。
Market Structureを図に書くとシンプルになりますが、ローソク足の流れから「どうなったら波が切り替わるか?」について絶対の決まりはありませんので、これを判断していくのは各トレーダーになります。
場合によってはメジャースイングとその中に生じる「インターナルスイング(マイナースイング)」も考えていく必要もあります。
そのため、相場のトレンド判断はトレーダーによって大きく異なります。
しかもトレンド判断はマルチタイムで行う必要があります。
自分なりのやり方で、現在の相場は「4時間足ではこの辺に波にあって、15分足ではココにある」といった感じで、しっかりとイメージできなくてはいけません。
Market Strucutreの分析が甘かったりブレブレだと、上の段階の相場分析に大きな悪影響を与えます。
SMCでは「オーダーブロック」「FVG」という言葉が有名ですが、これらもMarket structureの分析がしっかりと出来ている時に効果を発揮するものです。
まずはMarket Structureを最優先に考えるようにしましょう。
Supply&Demand(需要と供給)
Supply&Demandでは主にオーダーブロックやFVGなどの価格が反発しやすい価格帯を判断していきます。
これは当然Market Structureで判断したトレンド方向に動きやすいことを前提に考えます。
その中で、目立ったFVG、スイングの高値や安値付近の価格帯(オーダーブロック)で反発する可能性が高いとして、ゾーンを描画していきます。
スイングによっては上記のように複数のオーダーブロックが描画できます。
こういった場合は、フィボナッチ・リトレイスメントを利用したり、後述するiquidityを考慮して「ここまで戻して来たらエントリーしたい!」と思える価格帯(point of interest:POI)を判断していきます。
Supply&DemandはSMCの中でも花形的なポジションですが、それはMarket Structureという存在の上に成り立っていることを忘れてはいけません。
オーダーブロックについては以下をご覧ください。
Liquidity(流動性)
Liquidityとは相場の流動性のことで、SMCでは多くの注文が入っているであろう価格帯をliquidityとします。
liquidityは目立った高値や安値、特定のパターンにあると考えます。
価格はLiquidityを求めて上下するのは事実です。
しかし、チャート上から読み取るliquidityはあくまでも「想定」ですので、しっかりと判断できるMarket Structureよりも優先順位は落ちます。
それでも補助的に
- どの辺のliquidityをsweepしてきそうか
- どのオーダーブロックが信頼性が高いか
といったことの判断に役立つのは間違いありません。
liquidityをしっかりと理解することで、チャートを読む解像度が大きく上昇し、先を読む力とトレードの精度も向上します。
liquidityについては以下の記事をご覧ください。
時間帯
SMCはスマートマネーの動向を重要視しますので、彼らの多くが参入する時間帯を考慮することも大切です。
特にロンドン、ニューヨーク時間のkillzoneや指標発表の時間帯などでは、liquidityをsweepしたり、トレンドの転換が生じたりなど目立った動きが生じやすいです。
時間帯 | 日本時間 (サマータイム時) | 日本時間 (通常時) | NY時間 (EST) |
アジア・レンジ・キルゾーン | 9:00 - 13:00 | 10:00 - 14:00 | 20:00 - 0:00 |
ロンドン・オープン・キルゾーン | 15:00 - 18:00 | 16:00 - 19:00 | 2:00 - 5:00 |
ニューヨーク・オープン・キルゾーン | 20:00 - 23:00 | 21:00 - 24:00 | 7:00 - 10:00 |
ロンドン・クローズ・キルゾーン | 23:00 - 25:00 | 0:00 - 26:00 | 10:00 - 12:00 |
これらの時間帯を注視することでスマートマネーと近いタイミングで同じ方向のポジションを取ることが可能になります。
逆にオセアニアー~アジア時間は全体として取引が活発ではなく、スマートマネーの参入も少ないため敢えて取引する必要性は低いと言えます。
時間帯については以下の記事をご覧ください。
エントリー&決済
Market Strucutre、Supply&Demand、Liquidity、時間帯・・・と相場から得られる情報を積み上げて、最終的に下すのがエントリー&エグジットの判断です。
それまでの分析がしっかりと行えていれば、エントリーポイントは必然的に導き出せます。
具体的には以下のようなところでエントリーします。
このような所で入ることで、出来る限り損切り幅が小さく、そして利食い幅の大きなトレードをすることができます。これがSMCの一番のメリットです。
利食いはオーダーブロックの上限や下限、利食いは相場が反転しそうなポイント、もしくは前のスイングハイやスイングロー、予め決めておいたリスクリワードなどで行います。
やり方次第ではありますが、事前に指値エントリーと利食い・損切りの注文が入れられるIFO注文を使えば、相場に張り付くことなくトレードを完結させることも可能です。
エントリーについては以下の記事をご覧ください。
その他
SMCにおけるその他の項目としては以下のようなものが挙げられます。
- 市場間分析
- ワイコフ理論との組み合わせ
- その他の理論との組み合わせ
これらでトレードの精度が挙げられるのであれば、これらの情報を利用すべきです。
しかし、不要であると感じるのであれば、敢えて情報を増やすのは悪影響になりますので、参考にしない方が良いでしょう。
この辺はご自身のスキルや考え方次第です。
まとめ
今回はスマートマネーコンセプト(SMC)における重要な知識と情報の階層化について解説しました。
Market Structureを土台として、Supply&Demand、Liquidity、時間帯といった要素を積み上げ、最終的にエントリーや決済の判断を行うことが重要です。
特にMarket Structureの判断は重要ですので、これに矛盾しないようにトレードを組み立てていくことを忘れてはいけません。
SMCは、複雑な情報が多い反面、理解を深めれば非常に優れたトレード手法です。
今回の解説を参考に、自分なりのトレードルールを整理し、精度の高いトレードを目指していきましょう。