今回はスマートマネーコンセプト(SMC)を使う上で忘れてはいけない「時間帯」について解説します。
スマートマネーコンセプトは、文字通り大口で取引をする「スマートマネー」の動向を重視します。
彼らが活発に取引する時間帯とそうでない時間帯、意識している価格帯のレンジなどを知っておくことで、トレードがより有利に進められたり、より具体的な戦略を考えることができます。
本記事ではキルゾーン(Kill Zone)についてご紹介し、それぞれの時間帯の特徴についても解説していきます。
SMCは基本的にロンドン時間以降で取引することになりますので、日本の居住者にとっては実践しやすい時間帯になるかと思います。
勝ちやすい時間帯を知りたい方はぜひご覧ください。
Contents
キルゾーン(Kill Zone)とは
キルゾーン(Kill Zone、別名Kill Time Zone)とは、市場で活発に取引がされて、相場のボラティリティが上がる時間帯のことを言います。
この時間帯で当日の高値や安値が形成されることが多く、それまでの流れからの反転を狙うことの多いSMCにとっては、利益を出しやすい美味しい時間帯、つまりはトレードすべき時間帯となります。
逆にキルゾーン以外でのトレードは推奨されない時間帯となります。
ここから、SMCではトレードで勝ちやすい時間帯、積極的に狙っていくべき時間帯として「Kill Zone」という名前になっているようです。
4つの「キルゾーン」
キルゾーンは大きく4つあります。
- アジア・レンジ・キルゾーン(Asia Range・Kill Zone)
- ロンドン・オープン・キルゾーン(London Open Kill Zone)
- ニューヨーク・オープン・キルゾーン(NewYork Open Kill Zone)
- ロンドン・クローズ・キルゾーン(London Close Kill Zone)
それぞれの時間帯は以下の通りです。
(SMCの解説では主にニューヨークの時間(Esten Standard Time:東部標準時)で解説されることが多いので、ESTの時間も併記しています。)
時間帯 | 日本時間 (サマータイム時) | 日本時間 (通常時) | NY時間 (EST) |
アジア・レンジ・キルゾーン | 9:00 - 13:00 | 10:00 - 14:00 | 20:00 - 0:00 |
ロンドン・オープン・キルゾーン | 15:00 - 18:00 | 16:00 - 19:00 | 2:00 - 5:00 |
ニューヨーク・オープン・キルゾーン | 20:00 - 23:00 | 21:00 - 24:00 | 7:00 - 10:00 |
ロンドン・クローズ・キルゾーン | 23:00 - 25:00 | 0:00 - 26:00 | 10:00 - 12:00 |
この表を見たらご理解いただけるかと思いますが、別に珍しい時間ではありません。
Kill Zoneと聞くと、何か特別な時間帯に思えますが、単に「取引が活発になる時間帯」を指しているだけです。
SMCに対して「元からあった概念を別名で言い換えてリパッケージしたもの」という批判がありますが、Kill Zoneの概念はその最たるものだと私は思っています。
上の表の各時間帯の「キルゾーン」の名前を消去してやれば、普通に通じる名前になりますので・・・。
「キルゾーン」というインパクトの強い名前がつくことで、逆に混乱してしまうのは私だけでしょうか?
では気を取り直して各キルゾーンについての特徴を解説していきます。
アジア・レンジ・キルゾーン(Asia Range KillZone)
アジア・レンジ・キルゾーンは東京時間の一部です。
Kill Zoneを付けずに単に「アジア・レンジ」と呼ばれることも多く、レンジになりやすい時間帯です。
一応はキルゾーンの1つとされてはいますが、大きな値動きは期待できません。
むしろ、この時間帯の値幅が小さいほど、その後のキルゾーンで大きな動きが期待できます。
ロンドン・オープン・キルゾーン(London Opne KillZone)
アジア時間からロンドン・欧州時間に切り替わる時間帯です。
この時間帯は市場へ入ってくるマネーが一番多く、その日の高値または安値を更新する確率も高い時間帯です。
特に「アジア・レンジ」の高値や安値を一時的にブレイクしてから逆行する動き(ストップ狩り)がよく見られます。
SMCトレーダーが積極的に入っていくべき時間帯と言えます。
ニューヨーク・オープン・キルゾーン(NewYork Open KillZone)
ロンドン時間中盤で、ニューヨークの市場参加者が入ってくる時間帯です。
この時間帯は、世界一の経済大国で基軸通貨であるドルを発行するアメリカの指標が発表されることが多いので、大きく上下しやすいです。
この値動きの特徴も、SMCトレーダーにとっては相性が良いです。
ロンドン・クローズ・キルゾーン(London Close Kill Zone)
ロンドン時間が終わる前の時間帯です。
ロンドン・クローズの時点では、すでに当日の高値や安値は付けられた後になっていることが多いので、リトレースメントを狙っていくことが多くなります。
しかし、日足で目立った大陽線や大陰線となる日は上のチャートのようにロンドンクローズでも高値や安値を更新していきます。
キルゾーンの値動きの特徴
今回ご紹介した4つのキルゾーンの中で積極的にトレード時間として利用したいのがロンドン・オープンとニューヨーク・オープンです。
この2つのキルゾーンこそがスマートマネーが参入しており、ストップ狩りや反転などの値動きが頻繁にみられることになります。
下はユーロドル5分足チャートです。
(水色の四角がアジアレンジ、黄色い四角がロンドンオープン、橙色の四角がニューヨークオープン)
アジアレンジは停滞感のある相場でしたが、ロンドンオープンに入ってからそれまでの高値を更新。
しかし、それはダマシとなって下落しています①。
これは一種のストップ狩りです。
その後一気に下落して、当日の安値を更新して②、また戻してロンドンオープンが終了します。
それからニューヨークオープンに入ってから指標で再度安値を更新③。
・・・と思いきや、大きく上昇してロンドンオープンの高値を抜けて、当日の高値を更新しています。
もう一例見てみましょう。
こちらもアジアレンジは横ばい。
ロンドンオープンに入ってから一時的に安値を更新するも①、これがストップ狩りで、以降は勢いよく反発して上昇トレンドとなりました②。
その後、ニューヨークオープンに入ると、再び前の安値をストップ狩りで割って反発して③高値を更新していきました。
以上をまとめると、ロンドン・オープンとニューヨーク・オープンの2つのキルゾーンの特徴は以下のようになります。
- 値動きが激しくなる
- ストップ狩りが発生しやすい(特にオープンの最初の方)
- ストップ狩り後は反対方向に伸びやすい(反発時にFVGを伴うと信頼性上がる)
ロンドン&NY・オープニング・キルゾーンの利用例
ロンドン&NY・オープニング・キルゾーンの特徴として、「ストップ狩りが発生しやすい」というものがあります。
この特徴を利用することで、色々な戦略が生まれます。
その例をご紹介します。
ストップ狩りの最終地点がオーダーブロック
オープニング・キルゾーンの開始直後あたりでは、直近の高値や安値を一時的にブレイクして大きく反発するストップ狩りがよく見られます。
この特徴を利用して、しっかりとストップ狩りをした後に、最終的にオーダーブロックに到達して反発したらエントリーするやり方があります。
このチャートではアジアレンジの安値あたりが買いのオーダーブロックになり、ロンドン時間では上昇となっています。
そして、ロンドン・オープンが終了後は下落し、目立った安値を割っていきます。
ニューヨーク・オープンが始まっても直近の安値を割りますが、その下にあったオーダーブロックで勢いよく反発しています。
これがキルゾーンを組み合わせた考えの中では理想的かなと個人的には考えています。
反発時にはFVGが発生していると、その後大きく伸びる可能性が高まります。
ストップ狩り後のオーダーブロックでエントリー
ストップ狩りが発生した価格帯は、スマートマネーが参入したと考えられますので、より強いオーダーブロックになります。
これを利用することで、勝率の高いエントリーができます。
このチャートでは、アジアレンジの高値をロンドン・オープンで一時的にブレイクして下落しました。
この一時的なブレイクは明らかなストップ狩りです。
ですので、この価格帯は強いオーダーブロックとなり、その後戻してきたところでショートすれば、勝率と期待値の高いエントリーができます。
キルゾーンを表示するMT4インジケーター
「キルゾーン」とは言っても、単に特定の時間帯を示せれば良いだけですので、この手のMT4インジは沢山あります。
ここではその中で使い勝手の良いモノを2つと、それぞれの設定例をご紹介していきます。
4Sessions
4つの時間帯を指定して、レクタングルで囲むインジです。
デフォルトでは4大市場を囲みます。
各時間帯には名前や値幅の表示も可能で、レクタングルの塗りつぶし、塗りつぶし無しなども指定できます。
動作も軽くてシンプルで使いやすいですのでお勧めです。
各キルゾーンを表示する設定は以下の通りです。
i+Sessions w Kill Zones
各セッションとキルゾーンの両方を表示し、それぞれについてボタンクリックで表示のオンオフが出来るインジです。
デフォルト設定では全てのレクタングルの色が塗りつぶされて見えにくいのですが、各セッションのレクタングルを塗りつぶし無しにすると非常に分かりやすくなります。
表示のオンオフ機能も優秀で、必要な時だけ呼び出せるのは使い勝手も良く、他のインジケーターとも干渉しないので便利です。
以下がキルゾーンの設定例です。
まとめ
今回はSMC用語として使われる「Kill Zone」の意味とそれぞれの時間帯の特徴・使い方について解説しました。
Kill Zoneの名前は斬新に聞こえますが、実際は昔からある概念です。
しかし、各Kill Zoneを意識しながらチャートを見ていくと、確かにストップ狩りなどの値動き見えてきて、非常に参考になることが多いのは間違いありません。
チャートは価格と時間の関数です。
時間帯も一緒に意識してやることで、より高い精度の分析とトレードが出来るようになります。
今回の記事も参考になりましたら幸いです。
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