本記事ではスマートマネーコンセプト(Smart money Concept、SMC)とは一体何か?について、初心者の方でもわかるように解説します。
当ブログでは、これまでにストップ狩り、流動性、FVG、オーダーブロックなど、SMCを構成する考え方について解説してきましたが、今回は一つ枠を広げて、SMCの全体像についてお話できればと思います。
スマートコンセプトについて簡単に言えば、市場を動かすレベルの大口のトレーダーの考えを読むテクニカル分析、及びトレード手法のことです。
これを理解することで、基本的にはランダムな相場の中でも、ランダムになりにくいポイントがより視覚的に分かるようになり、結果としてより高いパフォーマンスでトレードが出来るようになります。
裁量トレーダーの方はぜひご覧ください。
今回の記事を動画にしたものもあります。
これまでに解説してきたSMCに関する記事は以下からご覧ください。
- FXにおける2種類のストップ狩りについて解説! (2022-02-09 15:27:35)
- 日本人トレーダーが知らないFairValue Gap(別名Hidden Gap)を解説 (2022-02-24 16:09:49)
- FairValue Gap(別名Hidden Gap)の構造について解説 (2022-03-09 13:35:21)
- FairValue Gapを利用したトレード手法 (2022-03-22 14:58:56)
- 価格がFVGに吸い寄せられる性質を利用したトレード手法 (2022-04-06 14:30:11)
- 相場の構造とオーダーブロックの解説 (2022-05-09 11:55:34)
- オーダーブロックを利用したトレード手法について解説します。 (2022-05-23 11:53:22)
- 本当に機能しやすいオーダーブロックを解説! (2022-06-09 13:46:50)
Contents
スマートマネーとは
スマートマネーとは「賢いお金」という意味ですが、SMCにおいては価格を動かせるレベルの資金力を持った機関投資家のことを言います。
具体的には以下の4種類が挙げられます。
- 基金(年金基金など)
- 銀行(メガバンクなど)
- ファンド(ミューチャルファンド、ヘッジファンド)
- 保険会社
スマートマネーこそが相場に大きなインパクトを与えるほどの資金と流動性を持っています。
彼らの資金力と比較すれば一般的な個人トレーダー、それから小規模なプロップファームの動きは本当に小さくて取るに足らない、と言うのがスマートマネーコンセプトの基本です
スマートマネー(頭の良いお金)が機関投資家のことを指すのに対して、大衆トレーダーのことを「dumb money:頭の悪い、アホなお金」と呼びます。
日本のトレーダーさんの解説で、「世界中のトレーダーが意識する・・・」といったフレーズをよく見聞きするかと思います。
しかし、スマートマネーコンセプトでは世界中のトレーダーはどうでも良くて、「スマートマネー:機関投資家」が
- これからどこでポジションを取ろうとしているのか
- どこで決済しようとしているのか
- どこで流動性を得ようとしているのか
等をチャートから彼らの残した軌跡を読み取っていくものになります。
市場と言うのは資本主義で、金を持っている者が強いです。
これは紛れもない事実です。
そうであるならば、カネの持っている者たちの考えを理解して戦略を立てる。
というのが、我々dumb moneyなトレーダーにとってはベストなやり方ではないでしょうか。
スマートマネーコンセプトの基本
ここではスマートマネーコンセプトの基本について解説していきます。
スマートマネーによるストップ狩り
あなたはこれまでのトレードで、こんな経験はないでしょうか?
例えば、下の図のようにトレンドライン付近で押し目買いをしたとします。
押し目買い戦略としては正に教科書通りで、一見すると何も問題ありません。
しかし、結果は下のようにトレンドラインはおろか押し安値を割って下落し、もちろんロングポジションを損切りした後に急反発して上昇していきました・・・
でも、自分のトレードは損切りになってしまった。
トレードをやっていて一番ストレスを感じるがこんな動きではないでしょうか?
これらは、実はスマートマネーによるもので、いわゆるストップ狩りと呼ばれるものになります。
ストップ狩りとは、多くのトレーダーのストップを誘発するものです。
ストップ狩りをやらないといけない理由
スマートマネーは、なぜこんな嫌がらせみたいなことをするのでしょうか?
よく陰謀論的に個人トレーダーをエサにしている、といったことも言われていますが、実はそれだけではありません。
市場を動かせるだけの資金を持つスマートマネーにはスマートマネーの問題点があって、ストップ狩りをやらないと大量のポジションが取れないという現実があるからです。
我々小規模なトレーダーの場合、どのレートであっても普通に狙った価格で約定できます。
しかし、市場を動かせるくらいの資金力があるスマートマネーが買いで入った場合、自身のロングエントリーによって、その価格での売り手がいなくなり、持ちたいポジションの全てを狙った価格で約定することが非常に難しいのです。
つまり、取ろうとするポジションが大きいほど、自身で徐々に価格を釣り上げることになり、不利な価格で約定しなくてはいけなくなるのです。
これをできるだけ避けるためには、
- 買いポジションを入れるなら下げている最中に買う
- 売りポジションを入れるなら、下げている最中に売る
と言うのがスマートマネーの基本になります。
つまりは現状の流れに対して、逆張りで入っていくわけですね。
こうすることで、自身の取引によって価格が動いてしまうことを最小限にできるわけです。
ストップを狩ってからが本番の動き
スマートマネーが目的とするのは、ストップを狩り取ることだけではありません。
ストップを狩り取った後に生まれた流動性を使って、本当に取りたかったポジションを取るのが本当の目的です。
では、再度ストップ狩りの流れについてまとめるとこんな感じになります。
- スマートマネーは市場にお金が流れるポイントが分かっている(他の市場参加者のストップ)
- レートをそこまで動かして、さらに相場を動かす(流動性を生み出す)
- 流動性が沢山出てきたところで自身が本当に取りたいポジションを取る
具体的に解説していきます。
まず、下の図は先ほどのものですが、トレンドライン付近や押し安値の上下には、それぞれ買い注文と売り注文が入っています。
- 買い注文は押し目買いを狙った新規の注文
- 売り注文はブレイクを狙った新規注文と既に買いポジションを持っている人たちの決済注文
これらがメインとなっています。
そこでスマートマネーは、他の売り注文を誘発するために、とりあえずショートを入れて価格を下げます。
思惑通りストップを狩っていけば、節目を割って売りが売りを呼ぶ状況になります。
言い換えれば、沢山のお金が市場に入っていて「流動性が沢山ある」状況です。
これこそがスマートマネーの求める状態ですので、下げている途中で大量の買いを入れます。
それから価格は反発し、他のトレーダーも追従することで更に価格は上昇します。
スマートマネーはストップ狩りを行うことで、より安い価格で買いポジションを取れますし、流動性がある中で買えるので、自身の取引によって価格が上がりにくい中でポジションが取れます。
これがストップ狩りを行う一番の理由です。
スマートマネーコンセプトで狙うポイント
スマートマネーコンセプトで狙うのは、ストップ狩りに追従するものではありません。
そもそもストップ狩りをやっている最中は、ストップ狩りが成功するかどうか分かりません。
スマートマネーと言っても市場には沢山の機関投資家がいて、それらも敵対して戦っている可能性もありますので、ストップ狩りが失敗することもあります。
我々が注目したいのは、しっかりとストップ狩りが効いて、価格が反発した後です。
つまり、下のような状態になってから、我々dumb traderが動くのです。
ここまで価格を形成した状況では、ストップ狩り後の安値あたりにスマートマネーによる大量の買い注文(ショートの決済注文)が入っています。
なぜなら、スマートマネーはストップ狩りを誘発した際に取ったショートポジションをまだ保有しており、ショートポジションの損益がゼロになるレートあたりがストップ狩り後の安値付近になるからです。
この安値付近のスマートマネーの注文が大量に入っている価格帯を「オーダーブロック」と呼びます。
価格がオーダーブロック付近まで下げてくれば、スマートマネーの決済注文(買い注文)が発動するため、大きな上昇が見込めるのです。
つまり、SMCで狙いたいエントリーポイントは以下になります。
SMCではスマートマネーのストップ狩りに乗ってエントリーする手法ではありません。
こうすることで、プロと同じ方向でプロと近いタイミングでエントリーが出来るのです!
もちろん100%勝てる手法ではありませんが、高勝率かつ、非常にリスクリワードの高いトレードができます。本当に絞りに絞ってやってやると、勝率5割以上で、リスクリワード5以上も可能です。
もちろんしっかりと待つ必要もありますが、本当に優位性のあるトレード手法です。
具体的なエントリーについては以下の記事をご覧ください。
また、ストップ狩りについては流動性のあるところ=多くの注文が集まっているところで行われることが多く、各セッションの高値安値なども狙われることがあります。
他にもスマートマネーが動く時間帯を考慮したりする必要があったり、マルチタイムフレームでエントリーポイントを厳選していく必要があったりと学ぶことが多い手法ではあります。
SMCを学んでいこう!
今回はスマートマネーコンセプト概論として、SMCとはどんな考え方で、どんな手法なのかについて解説しました。
今回はあくまでも概論ということで、分かりやすさを重要視したので、細かい解説はしていませんが、スマートマネーコンセプトは一体何か掴んでもらえたんじゃないかと思います。
今後はまた具体的なやり方について解説していきたいと思います。
以下の記事ではSMCについて分かりやすくまとめています。