今回の記事では、オーダーブロックを利用したトレード手法について解説します。
オーダーブロックはとても使えるものですが、価格がオーダーブロックに来たらすぐにエントリーすれば勝てる・・・と言うものではありません。
あくまでも相場の環境を見たり、トレードのシナリオを考える際に利用するものですから、過信は禁物です。
そんなオーダーブロックを利用したトレードは、上位足から下位足にかけて重要な価格帯を落とし込み、最終的には1分足でピンポイントで入ります。絞りに絞って高勝率で低リスク・高リワードなエントリーを狙うやり方です。
必然的にチャンスは少なくなりますが、条件が揃うとエントリーした瞬間から含みが出ていることが多いのもこの手法の特徴です。
本記事では、相場のフラクタル構造からオーダーブロックを利用したマルチタイムフレーム分析の方法からエントリーまで詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
動画版もあります。
Contents
相場はフラクタル!
「フラクタル」とはフランス生まれの数学者である「ブノワ・マンデルブロ」氏が考案した概念で、日本語では「自己相似」と言われます。
図形の一部と図形の全体が相似形になっているものを「フラクタル」と呼び、有名なものに以下のコッホ曲線やシェルピンスキーのギャスケットがあります。
コッホ曲線
シェルピンスキーのギャスケット
大きなものの一部を見ていくと、実は同じような形から構成されている・・・と言うのがフラクタルです。
このようなフラクタル構造は自然界でも多く見られます。
- リアス式海岸
- 木の枝
- ブロッコリー
- 雲の形
- 川の形
- 銀河の分布
- 人間の体内(肺、血管、腸、神経回路)
フラクタルを意識していると、「あれもこれも・・・」と本当に多くのものがフラクタル構造になっていることに驚きます。
そして、自然界にも多く見られる・・・ということは、フィボナッチ数と同じく、フラクタル構造も相場の値動きに見つけることができます。
価格の値動きはフラクタル構造
相場は上下に波を描いて推移します。
日足を見れば日足の波が、4時間足を見れば4時間足の波があります。
下の画像では、日足と4時間足にジグザグを表示しています。
日足も4時間足も、同じ価格の推移を示したものなのに、違った波になるのはとても不思議に感じられないでしょうか?
波が違うように見えるのは、大きな時間足の1つの波の中に、小さな時間足の波が複数個あるからです。
そして、小さな時間足の波一つの中には、もっと小さな時間足の波が複数個あります。これこそがフラクタル構造です。
チャートのフラクタル構造を描くと以下のようになります。
日足の1つの波の中に4時間足の上下の波があり、4時間足の1つの波の中に1時間足の上下の波がある・・・・といったように、大きな時間足を構成する一つの波の中には、小さな時間足の波が数多く存在するのです。
また、上昇トレンド中の日足であったとしても、4時間足以下の時間足では下降トレンドに切り替わっていたりもします。
下のチャートは1時間足チャートに日足(赤)、4時間足(白)、1時間足(緑)のジグザグを表示し、ローソク足自体を消しています。
こう見ると、実際の値動きでもフラクタル構造になっていることが分かります。
客観的に見れてなかなか面白いですよね。
相場のフラクタル構造の読み解き方
相場が時間足によって波やトレンド方向が変わるフラクタル構造であることは分かりました。
しかし、このフラクタル構造こそがマルチタイムフレーム分析をややこしくする要因でもあります。
ではどっちを狙ったらいいの?
と悩むことになるのです。
しかし、悩んだときは以下の前提に従いましょう。
上位足の波の一つの中に、下位足のトレンドがある
つまり、上位足の示す方向こそが正しい流れなのです。
例えば日足が上昇トレンド中で4時間足が下降トレンド中であれば、それは日足レベルでの押し目を作っていると考えます。
もちろん常にこれが正しいわけではありません。
おおきなトレンドの終了・切り替わりは小さな時間足から始まり、それが徐々に大きな時間足に波及していくことも真実です。
しかし、そう考えていたらトレンドに乗れません。
迷いが生じ過ぎてトレードのシナリオも考えられず、エントリーもできません。
ですから、マルチタイムで相場の波を読み解く場合には、上位足の流れを優先して解釈するようにしましょう。
大きな利幅を狙うのであれば、日足など全部そろっていた方が強い追い風に乗ることができますが、それほど大きな値幅を狙わないのであれば、大きな時間足とは逆行する方向に狙っても良いのです。
オーダーブロックを利用したトレード方法
それではオーダーブロックを利用したトレード方法について解説していきます。
今回ご紹介するやり方は、マルチタイムで相場の流れとオーダーブロックを見つけ出し、複数の時間足で重合するオーダーブロックまで戻ってきたところでエントリーするのが基本になります。
例として、以前にツイートしたエントリーポイントをご紹介していきます。
とりあえず利食いかな。
やっぱり伸びた。今日みたいな色々と重なるチャンスは少ないけど、待ち続けてコレだけ狙えば勝ち組は間違いない。 pic.twitter.com/PP5cN3c7du— 正太郎 (@shotaro_forex) May 16, 2022
使用する時間足と用途は以下の通りです。
- 日足:大きな流れの確認
- 4時間足:現在のトレンド方向とオーダーブロックの確認
- 1時間足:4時間足の補足としてオーダーブロックの確認
- 15分足:細かいオーダーブロックの確認
- 1分足:エントリー
では、実際のドル円チャートを例に挙げながらやっていきます。
環境認識とシナリオ
日足
勢いのある上昇トレンドが続きましたが押し安値を割ってブレイクとなりました。(CHoCH)
これでとりあえず上昇トレンドが終了したと判断します。
安値ブレイク後に反発していますので、現在は戻りを作っていると判断します。
4時間足
4時間足では、日足よりもよりダイナミックに上昇トレンドの終了が分かります。
4時間足としても現在は戻りを作って下げて来ているところです。
高値にはオーダーブロックがありますが、少し遠いです。
1時間足
1時間足では下降トレンドになっています。
4時間足よりも細かい1時間を見ると、4時間足と重合するオーダーブロックと、その下に2か所のオーダーブロックがあります。
日足と4時間足は押し安値を下にブレイク後の戻し中、1時間足は下降トレンドですから、現状から見ると、直近のオーダーブロックまで上げてきたところで戻り売りが狙えそうです。
15分足
15分足では、直近の下げで上昇トレンドが崩れています(CHoCH)
これならやはり戻り売りが狙えそうです。
上の方を見ると、1時間足のオーダーブロックの中に15分足のオーダーブロックがあります。
2つ以上の時間足が重なるオーダーブロックは、戻ってきた時に反発する可能性が高いですから、このゾーンまで戻ってきたところでショートの準備にかかります。
その前に、今回エントリーをするにあたって、ショートできる水準かどうかを確認します。
現在の15分足のスイングにフィボナッチリトレイスメントを表示して
- 50%以上ならばショートできる(価格がプレミアムにある)
- 50%以下ならショートできない(価格がディスカウントである)
と考えます。
ショートするのであれば、割高なところで売ると考えるのです。
(逆にロングの場合はディスカウントなところで買います)
今回ショートを狙うのは水色のゾーンで、プレミアムの価格帯にありますので大丈夫です。
・・・ということで、この時のシナリオとしては、とりあえず15分足と1時間足のオーダーブロックまで戻ってきて、条件を満たしたらエントリーすることにします。
15分足のオーダーブロックまで戻してくる
先ほどの状態から時間が過ぎて、価格上昇して1時間足と15分足のオーダーブロックが重合する個所まで戻ってきました。
ここでショート!ではありません。
1分足に切り替えます。
1分足でも条件を満たしたらエントリー!
下がこの時の1分足チャートです。
(水色のゾーンは15分足のオーダーブロックです)
1分足レベルではまだまだ上昇トレンド中ですので、ここでショートは危険です。
とりあえず1分足レベルの上昇トレンドが終わるのを待ちます。
しばらくすると、1分足の押し安値がブレイクされて上昇トレンドが終了となりました(CHOCH)
ここでCHOCH前の高値を見ると、1分足レベルのオーダーブロックが15分足のオーダーブロックの中にあります。
再度ここまで戻して、下げてきたところでエントリーします。
これがエントリーになります。
複数の時間足でオーダーブロックが重合するポイントを見つけ、そこまでレートが戻ってきたところで1分足に切り替えます。
そして1分足でトレンドが終了し、再度オーダーブロックまで戻してきたところで入ります。
損切りは直近高値におきますので、この場合は約7pipsの損切り幅になります。
そして利食いターゲットは15分足の下の方にあるオーダーブロックです。
下はエントリー時の15分足チャートです。
損切り幅は約7pipsで、利食いターゲットは128円97銭ですので利食い幅約57pips。
リスクリワードは8程度になります。
ただし、今回の場合はキリ番を跨ぐので用心して129.00円より少し上程度にします。
その後の1分足の動きです。
しっかりと狙いまで下げていきました。
エントリーポイントのおさらい
今回のエントリーポイントは以下のようなところになります。
1時間足と15分足を見ると、どちらとも上昇の波が崩れて(CHOCH)、再度高値をトライしようとしたところでのショートになります。
今回は1時間足、15分足、そして1分足のオーダーブロックが明確で、非常にいい形だったためにエントリー直後から伸びる流れとなりました。
複雑ではあるが、ピンポイントで狙えるのが良い!
今回ご紹介した手法は、ピンポイントで高勝率・高リスクリワードのエントリーを狙います。
上位足から細かくチャートを見て機能しそうなオーダーブロックをあぶり出して、1分足で仕掛けていくため、慣れるには頭の中が混乱しがちです。
ポイントは以下の3点です。
- 上位足からトレンド方向と現在の波の方向を把握していく
- 複数の時間足で機能するオーダーブロックが重合する・もしくは近い所にあるところを見つける
- 1分足は上位足がオーダーブロックまで戻ってきた所で初めて監視を始める(1分足から監視しない)
重要なのは相場のフラクタル構造を理解すること、上位足のトレンドをしっかりと把握すること、そして、機能するオーダーブロックを見つけることです。
ではどんなオーダーブロックが機能しやすいのでしょうか?
それについては次回の記事で解説していきたいと思います。