今回は平均足についての考察と、使い方、そして平均足に関するMT4のインジケーターをご紹介します。
チャート分析をしている方であれば、誰でも一度は平均足を表示させたことがあるのではないでしょうか?
平均足はローソク足と比較してトレンドが見やすくて、エントリーの基準も明確なため、シンプルながらも極めて完成度の高いチャート表記方法の一つです。
また、単純な計算式に隠れて気づきにくいですが、平均足は加重移動平均や指数平滑移動平均と同じく、過去のデータの中でも直近のデータに大きなウェイトを置くやり方の草分け的な存在でもあります。
本記事を読んで、ぜひ平均足の凄さに触れてみてください。
Contents
- 1 平均足の歴史
- 2 平均足の計算式
- 3 平均足の使い方・考え方
- 4 平均足を示すMT4インジケーター集
- 4.1 Heiken Ashi
- 4.2 !!!-MT4 X-XARDg-HA
- 4.3 Heiken Ashi Candle Count Alert
- 4.4 HeikenAshiZoneTrade
- 4.5 Heiken_Ashi_Open_is_HL_wMAfilter_Alert
- 4.6 mtf-heiken-ashi-indicator
- 4.7 Heiken Ashi – mtf separate
- 4.8 heiken ashi_swalert
- 4.9 heiken ashi oscillator mtf alerts
- 4.10 4 TF Heiken Ashi Arrows
- 4.11 Dashboard Heiken Ashi
- 4.12 MTF Multi Signal Multi Pair HA v2
- 4.13 Heikinasih_MACross
- 4.14 Heikinasih_MACross2
- 4.15 Heikinashi_3MAs
- 4.16 heiken-ashi-2xcci-ma-swing-mtf
- 4.17 Tetsujin Suzuki
- 4.18 !!!HeikinAshi_MTFsp
- 4.19 !!Heikin8TF_New
- 4.20 Background_Heikin_Ashi
- 4.21 Heiken_Ashi-Lin-indicator
- 5 まとめ
平均足の歴史
平均足の考案者については不明ですが、日本生まれの価格表記法です。
大正時代に考案されたという説が濃厚で、少なくとも江戸時代に考案されて広まったローソク足より後に生まれたのは間違いありません。
平均足は日本でも人気が高いですが、海外でも同じくらいに人気が高く、現在では「Heiken Ashi(Heikin Ashiではない。ハイケーンアッシーと発音される)」や「HA」として表記して使われています。
また現在では平均足を応用したインジケーターであるAPB(Average Price Bar)、平均足MA、平均足スムーズドなどもあり、これらも人気が高いです。
それぞれについては以下の記事をご覧ください。
平均足の計算式
という方は結構多いと思います。
しかし、計算式を知ることで平均足の挙動の意味合いについて深く理解することができます。
「平均足はローソク足とズレが生じるから使えない!」と思っている方は計算式までしっかりと理解すると見え方が変わってくるでしょう。
まずは平均足の計算式からです。
1日目の計算式
- 始値=(前日始値+前日高値+前日安値+前日終値)÷4
- 高値=当日高値
- 安値=当日安値
- 終値=(当日始値+当日高値+当日安値+当日安値)÷4
2日目の計算式
- 始値=(前日の平均足の始値+前日の平均足の終値)÷2
- 高値=当日高値
- 安値=当日安値
- 終値=(当日始値+当日高値+当日安値+当日終値)÷4
平均足の計算式からわかること
平均足の計算式からわかるのは主に以下の3点です。
これだけでも知っておけば、平均足についてドヤ顔で語れるはずです。
- 高値と安値はローソク足と同じ
- 終値はローソク足の4本値の平均
- 始値は前までの足のデータを脈々と受け継ぐ
それぞれについて考察していきます。
平均足の高値と安値はローソク足と同じ
まず簡単なところから始めると、平均足の高値と安値はローソク足の高値と安値と同じです。
これを知っておくだけでも平均足の見え方が違ってくるのではないでしょうか。
平均足の終値はローソク足の4本値の平均
平均足の終値は、同じ時間のローソク足の4本値(始値、高値、安値、終値)を平均したものになります。
平均足の終値がローソク足の終値と異なるのはこのような計算式からです。
始値は前までの足のデータを脈々と受け継ぐ
平均足の計算式の中で最も興味深いのが始値です。
ローソク足の場合、始値は足が切り替わった時の価格になりますが、平均足では「1本前の平均足の始値と終値を足して2で割ったもの(平均化したもの)」になります。
1本前の平均足の終値は、1本前のローソク足の4本値の平均値ですので、新しい平均足の始値の50%は1本前足の4本値が使われることになります。
また、1本前の平均足の始値は、2本前の平均足の終値と始値の平均になるため、新しい平均足の始値の25%は2本前の足の4本値が使われます。
そして2本前の平均足の始値は3本前の平均足の終値と始値の平均・・・と、延々とこの流れが続くため、新しい平均足の始値を構成する価格データは、過去の価格データを脈々と受け継いでいくことになります。
このように、平均足の始値は直近のデータを重要し、古いデータについては徐々にその割合が減っていくようになっています。これはEMAと似たような概念になります。
実際に平均足の始値を構成する値をグラフ化すると以下のようになります。
平均足の始値では、1本前の価格データを50%、2本前を25%、3本前を12.5%・・・と、直近のデータを重要視しながらも、過去のデータを受け継いでいるわけです。
しかも平均足にはパラメーターがありませんので、ずっと昔の過去のデータを参照していことになります。例えるなら、数十年続く老舗のウナギ屋さんのタレのように、古いタレに新しいタレをつぎ足してきたような感じでしょうか。
ただし、平均足の場合は上のグラフにもあるように、せいぜい5本前の値くらいまでしか平均足の始値に影響を与えません。このことは知っておいて損はないと思います。
また平均足の始値についてもう一つ知っておくべきことがあります。
それは、「窓は開かない」という点です。
上記の通り、平均足の始値は1つ前以上の足を参照していますので、窓は開きません。
平均足の使い方・考え方
平均足はローソク足の動きを平均化してデフォルメした推移をするため、初心者の方が見ても簡単にトレンド方向が見て取れるのが特徴です。
ここでは平均足の解釈方法と使い方について解説していきます。
陽線は上昇、陰線は下落を示す
平均足はトレンド系の指標の一つですので、一度陽線や陰線が出ると連続しやすい特性を持っています。
陽線や陰線が連続しやすいということは、トレンドが続きやすいことを意味しますので、陰線の流れから陽線に切り替わったらロング、逆に陽線の流れから陰線に切り替わったらショートという戦略が見えてきます。
実際、平均足を使う多くのトレード手法で、平均足の陽転や陰転をエントリートリガーとしています。
もちろん闇雲に陽転や陰転でエントリーしても勝てませんが、相場の状況や他のインジケーターを利用することで優位性を高めることが可能になります。
平均足の実体の長さはトレンドの勢いを示す
ローソク足の考え方と同じく、実体の長い平均足は勢いがあり、トレンドが強いことを意味します。
上のチャートは平均足とローソク足を並べたもので、目立った陰線になっているローソク足と、それに対応する平均足を矢印で結んでいます。
このようにローソク足で実体の大きな足が出現すると、平均足も連動して実体が大きくなる傾向にあります。
これを逆に言えば、実体の小さな平均足は勢いが弱くトレンド転換しやすいといえます。
特に下のチャートの黄色く囲った個所のように、それなりに長くトレンドが続いた後に平均足が明らかに小さくなると、トレンド転換が近いことを示唆します。
平均足のトレンド方向に伸びるヒゲはトレンドが強いことを示す
ローソク足の場合、トレンド方向に出るヒゲは反転の予兆として考えますが、平均足ではトレンドが強いと考えます。
特に実体が大きくてヒゲも長い足はトレンドが強いときによく見られます。
つまり
- 平均足の陽線+長い上ヒゲ:上昇トレンドの勢いが強い
- 平均足の陰線+長い下ヒゲ:下降トレンドの勢いが強い
と解釈することになります。
トレンドとは逆方向のヒゲはトレンド転換を示唆する
平均足では、トレンド方向に伸びるヒゲは好意的に解釈しますが、トレンド方向とは逆方向に伸びるヒゲは、トレンドが弱まっていると解釈します。
下のチャートの黄色く囲った個所では、平均足の陰線が続いて下降トレンドの最中ではありますが、上ヒゲが目立って出てきています。
つまり、「平均足の陽線+下ヒゲ」もしくは「平均足の陰線+上ヒゲ」は勢いが弱まって反転しやすい状態になります。
平均足の十字線もトレンド転換を示唆する
ローソク足の考え方と同じく、平均足でも十字線が出たらトレンド転換が近いと考えます。
特に長く続いたトレンドの終盤で十字線が出たら反転する可能性が極めて高いです。
この性質を利用して、利食いや逆張りのエントリーとして使う手法もあります。
レンジ相場では陰線と陽線が交互に出やすい
平均足はトレンドフォロー型の指標ですので、レンジ相場が苦手です。
レンジ相場では下のように陽線と陰線が切り替わりやすく、上下にヒゲの目立つ足が出やすくなるのが特徴です。
レンジ相場の特徴を理解して、レンジ相場でのエントリーを避けることができれば、平均足を使ったトレード結果が一気によくなることは言うまでもありません。
平均足を示すMT4インジケーター集
平均足の理解が深まったと思いますので、ここからは平均足関連のMT4用のインジケーターをご紹介していきます。
Heiken Ashi
平均足を表示させるインジケーターです。
英語ではHeikinではなくHeikenと記載するようです。(読み方はハイケーンです)
平均足関連のインジでは最もベイシックなものになります。
余計な機能はいらないから、とりあえず平均足が欲しい!という方にお勧めします。
!!!-MT4 X-XARDg-HA
チャート下のボタンをクリックすると平均足のオンオフができるインジです。
平均足とローソク足の両方を簡単に切り替えたい!という方にお勧めします。
Heiken Ashi Candle Count Alert
表示するものは普通の平均足ですが、このインジでは陽転後もしくは陰転後にアラートの鳴る機能が付いています。
それだけでなく、陽転後に陽線が2本連続したらアラートが鳴る、といった設定も可能です。
HeikenAshiZoneTrade
平均足にZone Tradeの概念を加えたて、レンジ相場を色で示すことができるインジです。
デフォルト設定では陽線は青色、陰線は赤色、レンジ相場は灰色で表示されます。
平均足はそれまでの流れを継続して表示するメリットがある一方で、レンジ相場には弱いです。そこでこのインジでレンジを判定してやることでダマシとなりやすいポイントでの避けることができます。
Heiken_Ashi_Open_is_HL_wMAfilter_Alert
平均足とサインの出るインジです。
サインの出る条件は以下の通りです。
- 上矢印:陽線に切り替わって「平均足の始値=安値」となった最初の足
- 下矢印:陽線に切り替わって「平均足の始値=高値」となった最初の足
平均足の色が変わって足が数本確定してからサインが出ることが多いです。
そのため、平均足でよく見られるダマシを効率よく避けることが出来ます。
mtf-heiken-ashi-indicator
チャート下のサブウィンドウ部分に平均足を表示させることができるインジです。
ローソク足と平均足を同時に見たい!という要望をかなえてくれる便利なインジです。
またこのインジはマルチタイムに対応していますので、上位足の平均足を表示させることも可能です。
このチャートでは1時間足チャートの下に4時間足の平均足を表示させています。
上位足のトレンド方向や勢いを見るのに役立ちます。
Heiken Ashi – mtf separate
サブウィンドウに平均足の4本値(始値、高値、安値、終値)の推移を示すインジです。
通常の平均足と比べると少しわかりにくい感じではありますが、4本値の広がり具合などが視覚的にわかりやすくなるメリットがあります。
マルチタイムにも対応していますので、上位足の勢いも見ることができます。
heiken ashi_swalert
チャート下に平均足が陽線か陰線かだけを示すバータイプのインジです。
人によっては平均足が陽線か陰線かさえわかれば十分だという人もいると思います。
そういった方にはこのインジをお勧めします。
heiken ashi oscillator mtf alerts
チャート下に平均足が陽線か陰線かだけでなく、足の大きさまで示してくれるインジです。
平均足の挙動と一緒に相場の方向を明確に見たい方にお勧めします。
また、マルチタイムに対応していますので上位足の状況も見ることができます。
このチャートでは1時間足に4時間足の平均足を表示させています。
4 TF Heiken Ashi Arrows
4つの時間足で平均足が陽線か陰線なのかを示すインジです。
さらには全部の時間足で平均足の方向がそろったらサインが出る機能も備わっています。
トレンドフォロー派にはタマラナイ一品です。
Dashboard Heiken Ashi
複数の通貨ペアの平均足の状況を示すダッシュボードタイプインジです。
各通貨ペアの直近5本までの平均足の推移を表示します。
また、通貨ペア名をクリックするとその通貨ペアのチャートに切り替わる便利な機能も備わっています。
MTF Multi Signal Multi Pair HA v2
マルチタイム、マルチ通貨ペアで現在の平均足が陽線か陰線かを示すインジです。
パッと見ただけで現在のトレンド方向が見えるため、トレードする通貨ペアを選ぶ際やトレードの戦略を立てる際に非常に役立ちます。
Heikinasih_MACross
私の自作インジです。
移動平均線と平均足を組み合わせたシグナルインジになります。
MAがクロスした状態で同じ方向の平均足に切り替わったらサインが出るトレンドフォロー型になります。
Heikinasih_MACross2
私の自作インジです。
上と同じく移動平均線と平均足を組み合わせたシグナルインジです。
こちらはMAがクロスした状態で逆方向の平均足に切り替わったらサインが出ます。
押し目買いや戻り売り用のシグナルになります。
Heikinashi_3MAs
自作インジです。
Heikinashi_MACrossに更にもう1本MAを追加して3本のMAと平均足の組み合わせでサインが出るようにしています。
heiken-ashi-2xcci-ma-swing-mtf
移動平均線とCCI、そして平均足の条件がそろった時にサインの出るインジです。
マルチタイムにも対応しており、様々なパラメーター設定が可能です。
Tetsujin Suzuki
「鉄人・鈴木」という方の手法をベースとしたインジです。
平均足、ストキャスティクス、ハイローレンジ等を利用してサインが出ます。
!!!HeikinAshi_MTFsp
マルチタイム対応の平均足を表示し、ボタンクリックで表示・非表示の変更が可能です。
また、表示する平均足の時間軸についてもボタンクリックだけで自在に調整できるので、上位足の平均足を色々と確認したい際に重宝します。
!!Heikin8TF_New
8つの時間足の平均足の推移を示すインジです。
8つ表示できるだけでも凄いのですが、このインジでは元々MT4には無い時間足の平均足まで表示できます。
多くの時間足で平均足の向きを確認したい方にはタマラナイ一品になるはずです。
Background_Heikin_Ashi
上位時間軸の平均足の向きをチャートの背景色で示すインジです。
上位足が陽線なら青色、陰線なら赤色で表示されますので、エントリーする際のトレンドフィルターとして便利です。
ボタンクリックで表示・非表示も可能ですし、平均足スムーズドの向きを背景色として示すことも可能です。
Heiken_Ashi-Lin-indicator
平均足を利用してトレンドラインを描画する珍しいインジです。
平均足の陰線、陽線が切り替わったところでトレンドラインを描画するロジックで、連続しやすい平均足の特性を利用したものと言えます。
少し癖はありますが、興味のある方は使ってみてください。
まとめ
今回は平均足について考察しまし、MT4インジケーターについてご紹介しました。
平均足のインジケーターの数からもわかるように、平均足は世界中で使われている人気の高いトレンドフォロー型の指標です。
ローソク足とは解釈が少し違うこともありますが、視覚的にトレンド方向がわかるメリットも大きいです。しかし一部では「平均足が最強!」と言われていますが、決して最強というわけでもありません。
平均足もローソク足も使い方次第です。
しっかりと平均足を使いこなしたいのであれば、ぜひ計算式から理解して使用することをお勧めします。
平均足を応用したAPBや平均足MA&平均足スムーズドについて解説した記事もあります。