本記事では、平均足の改良版ともいえる「APB(Average price bars)」をご紹介します。
通常の平均足は、ローソク足よりも陽線や陰線が続きやすい設計になっており、小さなノイズを除去して、よりトレンド方向が見やすいのがメリットです。
その一方で、トレンドが減衰して勢いがなくなってレンジになっている時や、トレンドが切り替わりそうな時は少々分かりにくいデメリットがあります。
このデメリットを解消したのがAPBです。
APBは基本的には平均足を踏襲しながらも、レンジに入ったところや転換点となりそうなところではヒゲの色が変わる特徴があります。
これを読み取ることで、平均足の微妙な変化を感じ取ることができます。
記事後半では、APBを表示するMT4インジケーターもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
Contents
平均足とAPBの違いと共通する点について
APBは平均足の改良版であるため、平均足と全く同じ動きをするわけではありません。
下のGif動画は平均足チャートとAPBを切り替えて表示しています。微妙な違いをご覧ください。
まず共通しているのは上下のヒゲの値です。
平均足もAPBも、ヒゲはローソク足の高値と安値を利用します。
そのため、両者にヒゲの値に違いはありません。
一方で、両者が違うのは実体のサイズとヒゲの色です。
まず実体のサイズですが、上のGif動画を見ると微妙に違うのが分かります。
そして、状況によっては平均足では陽線なのに、APBは陰線になっているところもあります(逆もあり)。
そのため、若干ですがトレンド転換のタイミングに違いがあります。
また、ヒゲの値は同じであっても、ヒゲの色が違っている個所があります。
APBでは実体部分は陽線なのにヒゲだけは陰線の色になっていたり、実体は陽線なのにヒゲは陽線でも陰線でもない灰色になっていたりします。
四角で囲った個所がAPB特有の足です。
実体とヒゲの色が異なります。
これがAPBの大きな特徴であり、平均足を改良したポイントでもあります。
次から具体的にAPBをどう見ていくのかについて解説していきます。
APBの足の見方
それではAPBの足の見方について解説します。
勢いのあるAPB
実体が大きく、トレンド方向に長く伸びたヒゲのある足は、勢いのある足です。
これは平均足と同じ解釈で、例えば陽線であれば下ヒゲが無く、実体が大きく上ヒゲの長い足ほど勢いがあることを示します。
このチャートの中央では勢いのある上昇がありますが、この中では実体が大きく上ヒゲのある足が連続しているのが分かります。
このようにブレイクアウト時に連続しやすい足になります。
勢いのないAPB
これも平均足と共通することですが、実体が小さく上下にヒゲのあるAPBは方向感の無いことを示しています。
トレンド終盤に出やすいですので、ポジションを持っていたら利食いの目安になります。
代わりに後述するリバーサルAPBやコンソリデイティングAPBが多く出現します。
リバーサルAPB
実体は陽線なのにヒゲは陰線の色、実体は陰線なのにヒゲは陽線の色・・・とチグハグになっている足です。これは平均足には無いAPB独自の足です。
「リバーサル」の名前にもあるように、この足はトレンドの反転を示します。
- 実体は陽線なのにヒゲは陰線の場合は、今後上昇する可能性が高い
- 実体は陰線なのにヒゲは陽線の場合は、今後下落することが高い
という意味になります。
このチャートの黄色い四角で囲った足は上昇トレンドのから下降トレンドへの転換を示唆した足となっています。
それほど出現頻度はありませんが、他の指標と組み合わせることで、より高い確率でトレンドの反転を見極められます。
コンソリデイティングAPB
APBのヒゲの色が陽線でも陰線でもない足です。
これもAPBオリジナルです。
コンソリデイティング(conslidating)とは連結といった意味で、APBにおいては相場に明確な方向が無いことを示します。
この画像の黄色く囲った個所が示すように、いわゆるレンジ相場で連続しますので、このようなところでポジションを取ることを避ければ、無駄なエントリーを減らせます。
APBとPAC
APBは、元々は「Synergy method」と呼ばれるシステムの中で利用されるインジケーターの一つです。
この中でATBは、PAC(Price Action Channel、プライスアクションチャネル)と組み合わせてエントリートリガーとしての機能を担っています。
PACとは高値と安値を移動平均化したもので、一般的には以下のようなパラメーターになっています。
- チャネル上:適用価格を高値にした5SMMA
- チャネル下:適用価格を安値にした5SMMA
このPACをAPBと一緒に表示すると以下のようになります。
基本的な使い方としては、
- 上チャネルをAPBが勢いよく上抜けたらロング
- 下チャネルをAPBが勢いよく下抜けたらショート
となります。
APBの大きさや形とチャネルを上手に組み合わせることで、ダマシを減らしつつトレンドフォローのエントリーが可能になります。
APBを表示するMT4インジケーター
では最後にAPBを表示するMT4インジケーターをご紹介します。
全て無料ですので、気になったものがあればリンク先からダウンロードしてください。
HA_APB
ボタンクリックでローソク足、平均足、APBの切り替えができるインジです。
MTFのボタンをクリックすると、上位時間軸の平均足やAPBの表示も可能です。
表示の切り替えがスムーズに行えるので、それぞれを比較してみたい時に非常に便利ですし、非常に使い勝手の良いインジです。
設定でPrice Action Channelの表示もできますが、パラメーターの変更はできません。これだけがネックかなと思います。
シンプルにAPBとPrice Action Channelのみを表示するインジです。
ボタンクリックで表示のオンオフが可能で、動作も軽いので「沢山の機能はいらないからAPBだけ表示できればいい」と思う方にオススメです。
チャネルについては細かくパラメーター変更ができます。
HA (apb + alerts + arrows + BT)
平均足とAPBを表示するインジです。
どちらを表示するかは設定内で選択できます。
このインジもチャネルの表示が可能で、足がチャネルをブレイクした所でサインを出すこともできます。
サイン点灯時にはアラートやメール送信、プッシュ通知が可能です。
また、ボタンクリックで表示のオンオフが可能です。
APB – averages Candles (mtf + btn)
APBとチャネルを表示するインジです。
機能としては、チャネルのMTF表示とボタンクリックがあります。
APB自体がマルチタイム表示はできませんが、チャネルをMTF表示することで、上位足の流れとチャネルブレイクを見ることができます。
まとめ
本記事では、通常の平均足を改良した「APB(Average Price Bars)」について詳しく解説しました。
平均足がトレンド方向をより明確に示す一方で、トレンドの減衰や転換点を捉えにくいというデメリットを解消したのがAPBです。
APBは、レンジ相場やトレンド転換点においてヒゲの色が変わる特徴を持ち、これにより平均足では捉えにくい微妙な市場の変化を読み取ることが可能になります。
勢いのあるAPB、勢いのないAPB、リバーサルAPB、コンソリデイティングAPBといった異なるパターンを理解することで、相場の状況をより詳しく読み取り、効果的な取引戦略を立てることができます。
沢山のインジケータがありますが、それらを利用して、検証してみると、新たなアイディアが見えてくるでしょう。