前回、損切りに関する記事を書いたところ、多くの方から「利食いについても書いて欲しい!」というご要望を頂きました。
そこで今回は
- 利食いの重要性
- 具体的な利食いをすべきポイント
について解説していきたいと思います。
すぐに利食いをしてしまう人や、損小利大を目指したい方はぜひご覧ください。
Contents
エグジットで勝ちか負けかが決まる
多くの人がトレードでは「エントリーポイントが一番重要」だと考えています。
確かにエントリーポイントは重要です。
これから上げやすいポイント、下げやすいポイントでポジションを取ることができれば、トレードで勝ちやすくなるのは言うまでもありません。
言い換えれば、エッジのあるエントリーはトレードにおいてとても重要なのです。
しかし、エントリーが勝ちトレードになるか、それとも負けトレードになるかを決めるのはエグジットです。二人のトレーダーが同じポイントでエントリーをしたとしても、エグジットポイント次第では勝ちトレードにもなりますし、負けトレードにもなるのです。
こう考えれば、エグジットもエントリーと同じくらい重要であることが見えてきますし、優位性のあるエグジットを行うことで、エントリーとエグジットの両方で優位性を引き出すことが可能になり、収益は更に高まります。
損切りは利食いよりも難しい
「利食いは損切りよりも難しい」
損切りができるようになったトレーダーは口をそろえてこう言います。
基本的に損切りは予め決めた箇所のみで行うことが多い一方で、利食いは伸ばす/伸ばさないの選択を迫られることが多いです。
誰もが利食いを伸ばそうとするも、その後は伸びずに含み益を多く減らして利食いした経験も、利食いを伸ばさなかったおかげでその後の大きな動きを取り損ねた経験があることでしょう。
また、プロスペクト理論により人間は「含み益は早い段階で確定しておきたい」という気持ちが強くなるため、含み益のポジションをホールドし続けることが辛く感じる事も、利食いが難しいと感じる要因の一つです。
加えて、それなりに含み益のあったポジションが一気に逆転して損切りになってしまった経験等が頭をよぎることで、ルールよりも早く利食う「チキン利食い」に走るケースもあります。
早すぎる利食いは、トータルの利益を減少させるどころか、損益をマイナスにする要因ともなります。トレード手法はエントリーとエグジットがあって成立するものですから、利食いのルールもしっかりと守るべきです。
理想の利食いのポイント
理想の利食いポイントとは、以下のようなものではないでしょうか。
上がってきたと思ったらロングしてそのまま上昇。
利食いしたらその後は下げて行く・・・。
利食いした後に下げていく相場を見て、「良いところで利食ったよなぁ」と悦に浸りたくなりますよね。しかしこれは結果論です。
トレードをやっていれば、誰もが良いポイントで利食いしたことがあると思いますが、逆に利食った後に本格的に伸びていって後悔した経験も多いのではないでしょうか?
損切りと同じで利食いも常に完璧に行うことはできません。
しかし、目安となるポイントはあります。
後から見て完璧な利食いを目指すのではなく、自分のルールに則ったかたちで利食いをするように心がけましょう。
利食いは大きく分けて2種類ある
利食いポイントは大きく分けて2種類あります。
- エントリー時に利食いポイントが決まっているやり方
- エントリー後、相場の動き次第で利食いポイントが決まるやり方
エントリー時に利食いポイントが決まっているか、そうでないかの違いです。
この違いでトレーダーへの精神的な負担が変わって来ます。
それではこの2点について、具体的な利食い方法を交えながら解説していきます。
複数の利食い方法を相場によって使い分けたり、組み合わせる事で利益を最大化したりストレスを低減することが可能です。
エントリー時に利食いポイントが決まっているやり方
エントリー時に利食いポイントも決まっていると、予め利食いの注文を入れておくことができます。
損切りポイントについてもエントリー時に分かっているのであれば、エントリー直後にOCO注文を入れておけば、後はほったらかしにする事が可能です。
ポジションが気になって逐一状態をチェックする事もありますが、基本的には利食いルールを守りやすいのがこのやり方です。
固定幅で利食う
エントリーして○○pips順行したら利食う、という一番シンプルなやり方です。
完全に無裁量で行えるので、初心者の方から中級者の方からの人気が高いです。
「分かりやすい」というのはメリットですが、その時の相場に対応しにくいデメリットがあります。
- シンプルなので誰でもできる
- エントリー時に利食いの場所がすぐに分かる
- 相場のボラティリティに対応できない
- 低ボラ相場では利食いに届かず長時間ホールドする羽目になることも多い
- 理にかなった利食いにはならない
- 通貨ペアや時間足ごとに何pipsで利食うと良いのかを決める必要がある
適切なリスクリワードで利食う
これは事前に損切りポイントが決まっている場合に使える利食いテクニックで、損切り幅の○倍となるレートを利食いにするやり方です。
リスクリワードが明確になるので、損小利大のトレードがしやすくなります。
- 損切りレートが分かれば自動で分かる
- リスクリワードを意識した利食いができる
- 根拠のあるレートでの利食いにはならない
- どれだけのリスクリワードでトレードするかは検証して確認しておく必要がある。
目立ったサポレジラインで利食う
利食い目標としては一番使われるのではないか?と思われるやり方です。
相場のレートはサポレジラインに引力のような力で引っ張られ、逆に到達したら反発するような動きをします。これは市場参加者がサポレジラインに注目しているからです。
この特性を利用して、目立ったサポレジライン付近で利食うことで勝率を高め、反転しやすいポイントの前で利益を確保するのです。
- 根拠のある利食いをしたい場合に有効
- シンプルだが優位性がある
- 納得出来る利食い方法である
- サポレジラインが分からないと話にならない
- サポレジラインに到達するギリギリで反転することもあるので、利食いの置き方にはテクニックが必要
- 利食い後にブレイクすることも多々ある(上のチャートのように)
変動率を参考に利食う
変動率とは、前日の終値に対して何%動いたかをを示すものです。
過去の統計からザッと平均すると、どの通貨ペアも基本的には1日に1%程度動きます。
この数字を利用して、利食い目標を変動率1%未満になるレートに設定して、堅実な値幅を狙います。
- インジケーターを利用すれば誰でも簡単に行える
- 相場の変動率を利用するため、理にかなっている
- 意外と意識されることも多いので使える
- 通貨ペアごとに何%の変動で利食うかを決めておく必要がある
- その時々のボラティリティによって変動率自体も変動するので、利食いターゲットをこまめに変更する必要がある。
ラウンドナンバーで利食う
キリバンとも呼ばれるトリプルゼロ以上のレートも利食い目標として使えます。
実際にチャートを見ていると、トリプルゼロのレートに到達すると、高い確率で一度は反発を見せます。この理由はサポレジラインと同じで多くのトレーダーが注目し、注文を入れているからです。
その後、ラウンドナンバーを超えて動くことも当然あるものの、デイトレやスキャルであれば利食いの参考になるでしょう。
- 損切りポイントが分かりやすく明確なので誰でもできる
- ラウンドナンバー自体がサポレジラインになっていることもあるので根拠のある損切りになることも多々ある
- 手法によっては利食い幅が遠くなりすぎることもある
- ギリギリで届かなかったりする事もある
ピボットで利食う
ピボットとはウェルズ・ワイルダー氏の考案した指標の一つで、前日の値幅から当日のサポレジラインとなるレートを求めるものになります。
使用者に欧米のトレーダーが多くいるため、機能しやすいことで有名です。
ピボットに表示されるR1~R3、S1~S3は利食いポイントによく利用されています。
- 完全無裁量でサポレジになりやすいポイントで利食いできる
- ピボットは多くのトレーダーが参考にしている
- S2、S3、R2、R3のレートにはその日のうちに到達しないことも多い
- どのラインで利食うかは検証する必要がある
ATRを使って利食う
損切りポイントでも解説しましたが、ATRは利食いにも有効です。
具体的には、エントリー時のATRの値の何倍かを利食い幅にします。
何ATR離れたところが理想的な利食いの箇所になるのかは過去の検証によって導き出さなくてはいけませんが、最大順行幅や最小順行幅、平均順行幅などから適切な値が求まれば、トータルではかなり良いところで利食いできるようになるメリットがあります。
- その時のボラティリティに対応できる。
- 統計的に良いポイントで利食いしやすい
- 適切なATRの倍数を求めるために多くの時間が必要
エントリー後、相場の動き次第で利食いポイントが決まるやり方
エントリー後、相場の動き次第で利食いポイントが決まるやり方の場合、多くがインジケーターを利用します。
エントリー後のインジケーターの挙動で適切な利食いポイントを求めるのです。
そのため、かなり多くの利食い方法がありますが、今回は有名なやりかた3つをご紹介していきます。
移動平均線を使った利食い
「ローソク足が移動平均線に当たったら利食う」というやり方が有名です。
移動平均線はローソク足と共に変動しますので利食いポイントは足が進むために変わっていきますが、その分だけ利大を目指すことも可能ですし、トレイリングストップ的な意味合いでも使えます。
シンプルですが、順張りでも逆張りでも使える優れたやり方です。
- 大きなトレンドが発生するとかなり大きな利益を期待できる
- トレンドの終焉で利食いとなることもある。
- トレイリングストップ的な使い方も可能。
- インジケーターのパラメーターは検証で求める必要がある
- 中途半端な押し戻りで早すぎる利食いとなることもある
ボリンジャーバンドで利食う
ボリンジャーバンドの2σや3σを利食い目標にします。
ボリバンはその時々のボラティリティを反映しますので、無理のない利食いをする事が可能になります。どちらかと言えば逆張り向けの利食い方法としてよく使われることが多いですね。
- 視覚的にわかりやすい
- 相場にボラティリティに対応しているので、無理のない利食いが行える
- インジケーターのパラメーターは検証で求める必要がある
- 利食い後にバンドブレイクすることもあり、場合によっては早すぎる利食いになることも・・・
オシレーターを利用する
オシレーターが上限まで進んだらロングポジションの利食う、逆に下限まで進んだらショートポジションの利食う、という昔からよく使われる手法です。
これはボリバンと同じく視覚的に分かりやすい反面、利食いが早くなりすぎてしまうことがあるのが一つの欠点です。
- 視覚的に分かりやすい
- 堅実な利食いができる
- インジケーターのパラメーターは検証で求める必要がある
- 利食いが早すぎることも多々ある
二つを組み合わせる
以上、2つの利食いポイントについての例をご紹介しました。
- エントリー時に利食いポイントが決まっているやり方
- エントリー後、相場の動き次第で利食いポイントが決まるやり方
どちらともメリットもあればデメリットもあります。
そこで、個人的にはこれら二つをうまく組み合わせる事をオススメしています。
二つを組み合わせた例
2つの利食いポイントを組み合わせた例として、直近の高値安値で半分利食い、残り半分を移動平均線とのクロスで利食うというやり方をご紹介します。
この例では、ショートエントリーして直近の安値で半分利食います。
残り半分のポジションは決済せず、とりあえず損切りをエントリーポイントに置いてリスクがゼロの状態に持っていきます。
こうなったら残り半分のポジションが負けトレードになることはありませんので、伸ばせるだけ伸ばし、移動平均線とのクロスで利食います。
このやり方のメリットは、2つの利食いポイントを使う事で利益を平均化しやすいという点にあります。
エントリーした時点ではポジションが伸びるのかどうか分かりません。
そうであるならば、とりあえず利食い目標になりそうなポイントで半分利食って、残り半分を伸ばせるだけ伸ばせるようにすることで、大きな動きを取り逃がすことを避けられます。
逆に最初の利食い目標に到達後、逆転したとしてもポジションの半分は利確できているため、とりあえずは勝ちトレードを確保できます。
複数の利食いポイントを持つことでトレード中の作業は多少煩雑にはなりますが、その分だけのメリットはあります。
エッジのある利食い戦略を持とう!
今回は具体的な利食い方法について解説しました。
トレードにおける出口戦略は非常に重要です。
その中で利食いの目的は利益を最大限増やすこと。
利を伸ばすのは精神的にキツイことも多いですが、そのキツさを緩和する方法もあります。
トレードを10回、20回・・・と続けたときに利益が多くなっていることを目的としつつ、自分に合った利食い方法を模索してみると良いでしょう。