FX初心者が最初につまづくのが「損切り」です。
損切りはトレードで勝ち続けるために欠かすことのできないトレードの技術です。
今回は損切り関して
- 損切りが難しい理由
- 損切りの技術とは何か?
- 損切りポイントのアイディア
について解説していきます。
損切りが出来なくて悩んでいる方はぜひご覧ください。
商売道具の一つであり、資産の一つでもある証拠金を失わないためにも、損切りをしっかりと身につけましょう。
損切りは技術である
損切りというと否定的に考える人も多いと思いますし、実際に損切りをして良い気分になる人は少ないでしょう。なぜなら、損切りをする行為は、必ず自分ポジションの負けを積極的に認める行為だからです。
そんな損切りをやる方法はとても簡単です。
マウスをクリックする、もしくはスマホをタップするだけです。
しかし、こんな簡単なことができないトレーダーが大勢います。
実際、誰もが損切りをしようとマウスを握ったものの、どうしても左クリック出来ずに頭を抱えた経験があるのではないでしょうか?
人間が進化の過程で得た本能が邪魔をする
人間の頭の中にはプロスペクト理論や苦痛回避、損失回避のメカニズムが組み込まれています。これらは人間の進化の過程で培われ、自然という脅威の中で「生存」するために必要なものだったのです。
しかし、これをそのまま市場に持ち込むと非常に厄介な性質になってしまいます。
だからこそトレーダーは利食いよりも損切りの時に精神的な苦痛を感じ、その結果、損切りを遅らせたり、損切りしなかったりするようになるのです。
トレードで勝つためには、プロスペクト理論を始めとした人間の本能を完全に打破するとまではいかないにしても、少なくとも考え方を変える必要があります。
プロスペクト理論については以下の記事をご覧ください。
損切りは難しい
まず、最初に言っておくと損切りは非常に難易度が高いスキルです。
理由は上記の通り、人間に備わったプログラムに反する行為だからです。
だからこそ多くのトレーダーが損切りを習得する前に大損して撤退します。
しかし、損切りというスキルを習得する事のメリットはかなり大きいです。この損切りが実行できるか否かで、今後、トレーダーは負け組のままか、それとも勝ち組になれるかが決まってくると言っても良いでしょう。
損切りという技術の2つのポイント
損切りは技術です。
損切りの技術は大きく2つから成り立ちます。
- 適切な損切りポイントを見つける
- 損切りポイントでしっかりと損切る
1.損切りポイントを見つける
「損切りポイントを見つける」というのは、「どこまで逆行したら負けを認めるか?」を決めることになります。
エントリーポイントから遠く離れたところに損切りを置けば、勝率は上がるものの1回の損切りのダメージが大きくなりますし、逆にエントリーから近すぎれば損切り貧乏になります。
損切りの理想的なポイントは、下のチャートのように損切り後もエントリー方向とは逆行し続けるようなポイントです。
しかし、これは後になってからしか分かりません。
先の見えない相場で、常にこのような理想的な損切りを行うのは、常に勝てるポイントでエントリーできるのと同じようなもので、まず不可能です。
ですから、様々なアイディアを利用して、自分の性格と手法に即した損切りポイントを見つける必要があります。
2.損切りポイントで適切に切る
損切りラインに来たら損切る。
とても簡単なようで難しいことです。
前述したように、マウスをクリックしたりスマホでタップするだけなのですが、様々な葛藤が行動を遅らせます。
これが嫌でエントリー時に損切りの逆指値を入れたとしても、逆指値に届く直前に注文をキャンセルして、損切りしないようにした経験がある方も多いと思います。
損切りの難易度としては、逆指値注文を入れておく方が絶対的にに易しいのですが、それでも損切りが嫌な人にとっては難しい行為です。
損切りポイントで適切に切れるようになるためには
- 損切りにも優位性があることを理解する
- これまで損切りしなかった事によって生じた損失額を知る
- OCO注文を入れたらチャートは見ないようにする
といった努力が必要です。
すぐにできるようになるものではありませんが、日々の意識付けやトレード手法の理解によって、徐々にできるようになると思います。
どこに損切りを置くか?
それではここから、どこに損切りを置いたらいいかよく分からない、と言う人のために、損切りポイントについてご紹介していきます。
ここで紹介するやり方は、手法によって威力を発揮したりしなかったりしますので、必ず自分のやり方に合っているかどうかを検証してください。
採用する損切方法によっては、それまで損切り出来なかった人でも、比較的簡単に損切り出来るようになるかもしれません。信頼できる手法を得ることで、確信を持つことができて、それで損切りの徹底に繋がるのであれば、色々と試してみる価値もあるでしょう。
1.固定幅の損切り
固定幅の損切りとは、自分で損切りするpipsを設定して、その数値に達したら損切りを実行するという方法です。
例えば「エントリーして20pips逆行したら損切りする」というものです。
- シンプルで誰でもできる
- エントリー時に損切りの逆指値がすぐに分かる
- 損切り幅が常に同じなため、ロット調節が楽
- ボラティリティに対応できない
- 高ボラ相場ではすぐに損切りに合う
- 低ボラ相場では損切り届きにくく、長時間中途半端なポジションを持ち続ける羽目になる
- 理にかなった損切りではない
2.直近の高値安やサポレジラインを使った損切り
非常によく使われる方法です。
エントリーポイントの直近の高値や安値、もしくは過去に何度も価格が跳ね返されているラインを損切りポイントにするやり方です。
- とても簡単で目立つレートの損切りをおける
- 根拠のある損切りをしたい場合に有効
- 根拠のあるポイントなので、損切りに合っても自分で納得できる
- ちょっとラインにあたって再度反発して戻ることもある
- 誰もが注目するため、大口に仕掛けられることもある。
- 無意味な損切りを避けるために、サポートの少し下やレジスタンスの少し上にストップを置く方が良い
3.ラウンドナンバーでの損切り
ダルゼロ、トリプルゼロといったレートに損切りを置くやり方です。
- 損切りポイントが分かりやすく、明確なので誰でも簡単にできる
- ラウンドナンバー自体がサポレジラインになっていることもあるので根拠のある損切りになることも多々ある
- 他のトレーダーや大手も注目していることが多く、場合によってはストップ狩り的な動きにやられることがある
- 手法によっては損切り幅が広くなりすぎることもある
4.n期間の安値を割ったら損切り
例えば直近10期間の高値と安値を表示するチャネルを表示して、チャネルのレートを損切りにするやり方です。
- インジケーターを利用するため、無裁量で損切りポイントが分かる
- タートルズも利用していたクラシカルかつ実績のある手法
- パラメーターを変更して検証することで、手法にあったパラメーターを統計的に求められる
- どのパラメーターが手法に合っているのかを検証する必要がある
- EAを作成して検証出来るのであればいいが、手作業での検証は大変
5.ATRを利用した損切り
ATRとはMT4に標準で搭載してあるAverage True Rangeのことで、ローソク足1本の平均の値幅を示すオシレーターです。
ATRを使った損切りとしては、エントリーポイントのATR値のn倍離れたポイントに損切りを置く、と言うやり方が有名です。
- その時のボラティリティに対応した損切りができる
- ATRは無裁量で求められる
- クラシカルな考え方だが、かなり優れている
- nの値とATRのパラメーターについて検証する必要がある
- EAを作成して検証出来るのであればいいが、手作業での検証は大変
6.移動平均線を用いた損切り
ローソク足が移動平均線を割った、もしくは2本の移動平均線がクロスした時に損切るやり方です。
- 無裁量で求められるので楽
- トレイリングストップとしても使える
- 良いパラメーターを見つける必要がある
- 損切りポイントとしてはそれほど有効でないケースも多い
- 損切りにあたって再度エントリー方向に向かうこともよくある(グランビルの法則で)
7.その他インジケータを用いた損切り
他にもインジケーターを利用した損切り方法は沢山あります。
ここではメジャーなものだけをご紹介します。
BBstopを使う
ボリバンのトレンドとは反対方向のσを表示するインジケーターです。
上昇トレンドであればローソク足の下に、下降トレンドであればローソク足の下にラインが表示されますので、そのラインを損切りラインに置きます。
このやり方は、ボラティリティにも対応していますし、トレイリングストップの参考にも使えて便利です。
パラボリックを使う
BBstopと同じような使い方になります。
パラボリックは相場の勢いに反応してドットの間隔広くなったり狭くなったりしますので、トレイリングストップを決める値としても有効です。
supertrendを使う
BBstopやパラボリックと同じくトレンド方向を示すインジです。
Supertrendでは大きな流れを示しますが、このラインを損切りやトレイリングストップに使うと効果的な場合があります。特にトレンドフォローの場合は役立ちます。
8.時間決済による損切り
上記までの損切りルールは、どれも「特定のレートに到達したら損切る」というルールでした。
しかし、場合によっては保合にハマってなかなか利食いにも損切りにも届かない宙ぶらりんな状態になることもあります。それを避けるために採用しておくと便利なのが時間決済です。
時間決済とはその名前の通り、ポジションを取ってから、あらかじめ決めた時間が過ぎたら強制的に決済するルールです。
人によってはポジションを持つことがストレスになることもありますし、想定以上にポジションを持ち続けるのも一種のリスクになります。それを避けるためにも時間決済を組み込んでおくとトレードで有利になります。
具体的に時間決済のルールを作る方法については以下の記事をご覧ください。
9.完全に裁量での損切り
現在の状況を全て踏まえた上で、自分が適切だと思うポイントで損切るやり方です。
このやり方を採用しているのは、損切りがなかなかできないトレーダーか、超達人トレーダーかのどちらかでしょう。
完全に自分自身の裁量で損切れるようになるためには、ポジション保有中であっても冷静さを保てるメンタルと、本当に負けを認めるポイントを見極められる技術が必要です。
少なくとも私はこのレベルにはありませんが、かつて私がトレードの手ほどきを受けた株のトレーダーさんはこのやり方で財を成していました。長い経験と技術によってのみ可能となる、究極の境地といって良いでしょう。
下手にやろうとすると大けがをしてしまうやり方です。
エグジットはリスクから解放される行為
エントリーはリスクを取る行為です。
その一方で損切りや利食いといったエグジットはリスクから解放される行為です。
リスクを取っている状態=ポジションを保有している状態の時は、相場の変動によって証拠金が上下します。しかし、リスクから解放されたノーポジションの状態は、相場がどんなに動いても自分の証拠金は一切変動しません。つまり、安全であると言えます。
そのため、市場からポジションを精算する時、特に含み損のポジションを解消する際は、想定外の損失を避けるためにも、できるだけ事前に決めたレートで行う必要があると私は思います。
技術の無い人が感覚や直感で損切りを行うと、まずプロスペクト理論によって勝てません。損切りができない人は、とりあえずどこでも良いので、エントリー直後に損切りの逆指値を入れることを習慣化しましょう。
まとめ
以上、損切りの意義と考え方、そして具体的な損切りポイントの解説でした。
損切りについて深く考えていくと、エントリーと同じくらい検証が必要になります。しかし、それはとりあえず事前に決めた損切りポイントで損切りが出来るようになってからで十分です。
損切りができなくて悩んでいる方は、とりあえずエントリーと直後に利食いと損切りの注文を同時に入れられるOCO注文を入れて、決済されるまで放置することを習慣化することオススメします。
とりあえず損切りする癖がついて、損切りの注文を入れないと気持ちが悪かったり、不安を感じるようになれば、しっかりと損切りができるようになっている証拠になります。
損切りができればすぐに勝ち組になる、と言うわけではありませんが、勝ち組へ大きく近づいたことは間違いありません。