ICTのVenomモデルとは?BPRを活用したFXエントリー手法まとめ

今回は2025年にICTが公開した「Venom Model」をご紹介します。

これは、特定の時間帯のliquidityをsweepする前後に特定の値動きが生じたら仕掛ける手法です。

中でも特に重要なのがBPRという値動きで、これは上昇と下落のFVGが重なる価格帯になります。

毎日トレードチャンスがあるわけではありませんが、この手法の考え方は、他の手法に応用することもできますので、ぜひご覧ください。

BPR(Balanced Price Range)について

まず最初にVenomモデルで最も重要となる価格帯であるBalanced Price Range(BPR)について解説します。

BPRは以下の値動きの中に存在します。

左右どちらとも勢いのある反転を示す値動きで、「V字反転」などと言われています。

この値動きを詳しく見ていくと、「V字」の動きの上げと下げの両方のスイングでFVG(Fair Value Gap)が生じています。

赤のゾーンが下げのスイングの中で生じたFVGで、青いゾーンが上昇のスイングの中で生じたFVGです。

勢いよく動いて、同じスピードで反転するような動きだとこのようなパターンは良く見られますね。

この中で、V字反転の値動きで生じた下げと上げのスイングのFVGが重なる価格帯をBPR(Balanced Priced Range)と呼びます。

緑の価格帯がBPRです。

そもそもFVGは左右の足のヒゲがオーバーラップしない価格帯ですが、そのFVG同士が重なる価格帯がBPRとなるわけですね。

BPRは非常に早く動いた価格帯です。
Venomモデルでは、価格がBPRまで戻ってきたところでエントリーとなります。

Venomモデルの基本ルール

ロングエントリー

  1. 8:00~9:30(NY時間)のレンジを把握する
  2. レンジの安値をスイープする
  3. スイープの前後でBPRが生じる
  4. BPRへ戻ってきたところでエントリー

損切りについては、直近スイングの安値に置いて、利食いはリスクリワード比1:2のところで行います。

サマータイム時の場合、NY時間の8時~9時半は、日本時間で21時から22時半になります。

ショートエントリー

  1. 8:00~9:30(NY時間)のレンジを把握する
  2. レンジの高値をスイープする
  3. スイープの前後でBPRが生じる
  4. BPRへ戻ってきたところでエントリー

損切りについては、直近スイングの高値に置いて、利食いはリスクリワード比2:1のところで行います。

エントリー例

それではVenomモデルのエントリーまでの流れを実際のチャートで解説していきます。

利用している検証ツールはForex Tester Onlineになります。

ロングエントリー

まずはNY時間の8時から9時半(日本時間の21時から22時半)までの値動きを確認します。

チャートはユーロドル1分足。
ピンクの背景がNY時間で8時から9時半の値動き(私が勝手にVenom Rnageと命名)です。

まずはこのVenom Rangeを抜けるまで待ちます。

 

その後しばらくしてVenom Rangeを下にブレイクして反発してきました。

一気に下げて強い反発を見せています。

 

下げから反発の動きを見ると、BPRが生じています。

青いゾーンがBPRの価格帯になります。
 

BPRが出たので、この価格帯の上部にロングの指値注文を入れます。

損切はスイープした後の安値に置いて、利食いは損切幅の2倍のところに置きます。

 

その後の値動きです。

エントリーにヒットしてから上昇して、利食いターゲットに到達しました。

 

ショートエントリー

まずはNY時間の8時から9時半(日本時間の21時から22時半)までの値動きを確認します。

チャートはユーロドル1分足。
Venom Range中は大きなトレンドが発生していませんでした。

 

その後、Venom Rangeの高値を一時的にブレイクしてすぐに戻ってきました。
この一連の値動の中で、BPRが生じています。(水色のゾーン)

ここまで戻して来たらショートできるように指値注文を入れます。
同時に直近の高値に損切を置いて、リスクリワードが2になるように利食いターゲットも決めます。

 

その後はBPRにもどってエントリーして、無事に利食いターゲットまで下げました。

Venom Modelの注意点

Venom Modelは特定の時間帯に生じるレンジをスイープした際に、BPRが生じたらエントリーする手法です。

ルール自体はシンプルですので誰でも実践可能ですが、私が検証した限りでは注意点も多くありました。

ここからはその注意点をご紹介していきます。

Venom Rangeを抜けてすぐのスイープからの反転を狙う

Venom ModelではNY時間で8時から9時半までのレンジをスイープして戻ってきた値動きでBPRが生じたら仕掛ける手法ですが、スイープの見極めが非常に重要だと感じました。

下のチャートをご覧ください。

このチャートで水色のゾーンがBPRで、矢印がエントリーポイントです。(結果として負けています。)

エントリーポイント付近の値動きをズームしたのが下のチャートです。

これを見ると高値をブレイクした直後に上ヒゲの長い足が続いて、少し下げてスイープしたように見せかけて、更に高値を更新してBPRを形成しています。

このような最初のスイープのような動きがダマシになって、更に高値を抜けてBPRを形成するようなパターンは勝率がかなり落ちますので注意してください。

逆に言えば、レンジを抜けてすぐにスイープが生じてそのままBPRが生じる場合は信頼性が上がります。

片方のFVGがmitigationしていると勝率は落ちる

BPRはFVGが重なる価格帯ですが、先に生じたFVGが、次のFVGが生じる前に埋められていると(mitigationしていると)、勝率が落ちます。

下のチャートをご覧ください。

上矢印のポイントがロングエントリーポイントです。

これをズームすると以下のようになります。

BPRとなるのは水色のゾーンですが、その間で足が既に入っています。

つまり、2つ目のFVGが生じる前に、その後BPRとなる価格を埋めてしまっています。このようなケースも勝率が下がります。

2つのFVG同士が重合するBPR間には足が入り込んでいないのが理想です。

エントリーチャンスは少なく、高勝率でもない

Venom Modelのエントリーチャンスは決して多くはありません。

そもそもVenom Rangeを抜けてBPRができる動き自体が少ないですし、しっかりとセットアップが整っても、BPRまで戻らずに反転する動きもあります。

下のチャートはBPRまで戻らなかった例です。

そのため、毎日エントリーしたいと考える人には向きません。
じっくりと待てる人向けです。

また、上記の注意点を守ってエントリーした場合の勝率は、私が機械的に検証した限りで50~60%程度です。

リスクリワードが2なので、間違いなく優位性はありますが、高勝率というわけではありません。

もちろん他のテクニックを使ったり、相場の大きな流れを考慮した上でトレードすれば勝率をもっと上げられると思いますが、ベースとしてはこれ位だと考えていいでしょう。

まとめ

今回は、ICTが2025年に公開した「Venom Model」について解説しました。

この手法の肝となるのは、ニューヨーク時間8:00〜9:30(日本時間21:00〜22:30)に形成されるレンジをスイープし、そこから生じたBPR(Balanced Price Range)への戻りを狙うという点です。

BPRは、上昇と下落のFVGが重なった価格帯であり、流動性の集中しやすいゾーンとされます。

ただし、エントリーチャンスは決して多くはなく、高勝率を期待するというよりは、明確なルールと優れたリスクリワード比(2:1)で利益を積み上げていくスタイルです。

加えて、片方のFVGが事前に埋められている(mitigation)場合や、スイープの見極めが難しいパターンも存在し、ルール通りでも負けるケースがあることを認識しておく必要があります。

したがって、このVenom Modelは「毎日トレードしたい」という方には向かない一方で、明確なセットアップが出るまで待てる方にとっては有効な戦略となります。

また、他の手法と組み合わせることでさらなる精度向上も可能ですので、BPRという概念をぜひ他のトレードスタイルにも活用してみてください。

 

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