今回は、SMCにおけるエントリーポイントとハーモニックパターンの一つであるガートレー222に共通する点があったのでご紹介します。
ハーモニックパターンと言えば逆張り手法であるイメージが強いのですが、ガートレー222は押し目買い・戻り売りのパターンの一つです。
当サイトではこれまでにSMCのエントリーまでの流れについて数多く解説してきていますが、その中でも理想的なエントリーポイントまでの流れと、ガートレー222の流れには似通ったものがあることに気づきました。
両者について理解することで、より信頼性のあるエントリーポイントが分かるようになると思いますので是非ご覧ください。
Contents
ガートレー222パターンについて
ガートレー222は数あるハーモニックパターンの中でも歴史のあるパターンです。
まずはこのパターンについて詳しくご紹介していきます。
ガートレー222の概要
ガートレー222は押しや戻りのパターンの一つです。
パターン分析の草分けの一人であるH・M・ガートレーが1935年に出版した「Profits in the stock Market」内の222ページで解説されたパターンであることから、「ガートレー222」と呼ばれるようになりました。
実際に書籍内の解説で使用されたモデル図のキャプチャーが上の画像で、ガートレー自身はフィボナッチ比率は利用していなかったようです。
図では左のAが買いパターン、右がのBが売りパターンになっていますが、左右でエントリーに至るまでの押しや戻りの波の形が異なります。
そのため、何とも変な印象を受けてしまいますが、実は現在よく知られている「ガートレー222」は、原著222ページのパターンをかなり手直ししたものとなっているようです。
実際にフィボナッチ比率を取り入れたのが「フィボナッチ逆張り売買法」の筆者の一人であるラリー・ペサベント(Larry Pesavento)で、ガートレー自身は3分の1、3分の2のリトレイスメント比率を利用していたそうです。
ガートレー222のパターンについて
ガートレー222のパターンは以下のようになります。
Xから始まって、頂点や底がA、続いてBCDと押し目や戻りの流れを形成して、Dのポイントでエントリーになります。
各ポイントにおける条件は以下の通りです。
- 終点DはXよりも上にある
- 頂点AはCよりも上にある
- BはXよりも上にある
- 終点DはXよりも下にある
- 底AはCよりも下にある
- BはXよりも下にある
ガートレー222について、更に理想的な波の比率を加えたものが以下になります。
特に重要なのがADの長さはXAの長さの0.786である、という点です。
つまりは、頂点から78.6%押したところ、もしくは戻したところでエントリーする、ということになります。
ガートレー222とSMCを組み合わせて考える
ここまでガートレー222のパターンについて解説してきました。
パターンの「形」だけを見ると、個人的にはどうも分かりにくい印象を受けてしまうのですが、ガートレー222は押し目買い・戻り売りを狙うための流れを示したものになります。
そこで、より分かりやすくするために、それまでのトレンドの流れも加えたのが下の図になります。(クリックで拡大)
青いラインがガートレー222で、その左側の黒いラインがそれまでのトレンドの波を示しています。
左側は上昇トレンド中に生じたガートレー222の買いパターン、右側は下降トレンド中に生じたガートレー222の売りパターンになります。
このようにして見ると、当ブログでこれまでに解説してきたSMCのエントリーまでの流れと非常に似通っていることに気づきます。
これから買いパターンと売りパターンそれぞれについて見ていきましょう。
買いパターンについて
買いパターンについて詳しく見ると、以下のようになります。
青色のXABCDがガートレー222のパターンになっているわけですが、頂点Aを付けた後にBまで押してから少し反発してCまで上昇後、再度下げています。
SMC的な解釈で考えると、このBからCまでの反発はダマシの動きであるInducementになります。
Bの下には多くの売り注文が入りますので、スマートマネーがBの価格を再度下に割ることで更に下落を加速させて、本命であるDのポイントでスマートマネーの買いが入った・・・と解釈できます。
ガートレー222の理想とする頂点からAからDまでの押しの深さは0.786ですが、これもSMCの押し目買いや戻り売りの理想値(0.618~0.781)と一致しています。
つまり、ガートレー222とSMCを組み合わせて考えると、「0.618~0.718あたりにオーダーブロックがあり、そこに到達するまでに一度ちょっとした反発があるのが理想的」となります。
これについては、同様のことを以前の記事でも解説していますが、実はガートレー222も似たような考え方だったことになります。
実際のチャートでロングパターンを解説
では実際のチャートでロングパターンを見てみましょう。
まずは下のチャートをご覧ください。
流れとしては上昇トレンドで、現在のスイングレンジに赤い水平線を描画しています。
その中にある紫色のゾーンがオーダーブロックになります。
このスイングレンジ全体にフィボナッチ・リトレイスメントを描画したのが下チャートです。
紫色のオーダーブロックの価格帯が、フィボナッチ・リトレイスメントの61.8%~78.6%とほぼ一致しています。つまり、このオーダーブロックはなかなか良いポイントにあることが分かります。
では、その後の動きを見てみましょう。
途中の50%押しの個所で少し反発がありましたが、更に下げてオーダーブロックに到達してから上昇しています。
フィボナッチ・リトレイスメントを外したのが下のチャートですが、しっかりとガートレー222の押し目になってます。
売りパターンについて
売りパターンについて詳しく見ると、以下のようになります。
青色のXABCDがガートレー222のパターンになっており、底Aを付けた後にBまで戻してから反発してCまで下落後、再度上げげています。
SMC的な解釈で考えると、BからCまでの反発はダマシの動きであるInducementになります。
Bの上には多くの買い注文が入りますので、スマートマネーがBの価格を再度上にブレイクさせることで更に上昇を加速させて、本命であるDのポイントでスマートマネーの売りが入った・・・と解釈できます。
実際のチャートでショートパターンを解説
では実際のチャートでショートパターンを見てみましょう。
下のチャートをご覧ください。
流れとしては下降トレンドで、現在のスイングレンジに赤い水平線を描画しています。
その中にある紫色のゾーンがオーダーブロックになります。
このスイングレンジ全体にフィボナッチ・リトレイスメントを描画したのが下チャートです。
少しわかりにくいですが、フィボナッチ・リトレイスメントの78.60あたりにオーダーブロックがあります。
ではその後の動きを見てみましょう。
一度50%戻し未満の所で反発が起きて、そこから再度上昇してオーダーブロックに到達した後に下げていきました。
フィボナッチ・リトレイスメントを非表示にしたのが下のチャートです。
ガートレー222の理想とする比率とは少し異なりますが、それでも同じ形のパターンで戻りを作って下落していきました。
まとめ
今回は、ガートレー222とSMCのエントリーポイントについて共通する点について解説しました。
個人的には全く違う概念だと思っていたのですが、よくよく見てみると、親和性が高く、理想とする流れも似て、私自身も驚きました。
どちらとも世界的に有名な手法で、それらに共通点が多いのは興味深いですね。
フィボナッチ比率やオーダーブロックの位置など、両者の条件がしっかりと合うことは少ないものの、大まかにでも合っているポイントがあれば、それは信頼性の高いポイントになります。
今回はガートレー222とSMCについて深掘りしましたが、他のパターンでもSMCと親和性がありそうなものがありますので、今後はそれらについても検証していきたいと思います。