前回ご紹介した「トレーダー相良の3Wトレード」という商材では、「ボリンジャーバンドの±3σにレートが達することは99.73%無い」と解説してあり、その特徴を利用して損切りを決めていきます。
商材の手法解説で、どこに損切りを置くかについて私が口を挟む必要などありません。
しかし、「この損切りのおかげで99%の勝率で勝てる、という解釈は間違っている」ということについてはしっかりと書いておく必要があると思いますので、そのことを今回の記事にしたいと思います。
ボリンジャーバンドは遅行指標である
ボリンジャーバンドは、任意の期間における移動平均と、価格のバラつき=標準偏差をチャート上に表示させたものです。
上のチャートは20期間のボリンジャーバンドで、±3σを表示させています。
ボリンジャーバンドの計算式には、過去の終値で算出されますから、将来の価格をキッパリと予測することはできません。
あくまでもわかるのは、それまでの価格変動によってもたらされるバンドの広さとトレンドの有無、トレンドの勢いです。
今の-3σのレートが今後も99%以上の確率でヒットしない?
ボリンジャーバンドの1、2、3σの範囲内にレートがある可能性は可能性が○○%だ!とよく言われていますが、それは単に過去の値動きから算出されたものです。
3Wトレードでは現在の-3σのレートに対して、「今後も99.73%ヒットしない」と解釈して損切りを置きます。
つまりは現在のボリンジャーバンドの±3σの値は、今後の相場に協力に影響を与え続けるということになりますが、果たしてこの考え方は正しいでしょうか?
このチャートはこの記事を書いている段階でのドル円のチャートです。
右端は3Wのエントリーポイントではありませんが、現在の-3σのレートである118円弱に到達しない可能性は99%以上なのでしょうか?
私はそうは思えません。
次の足が確定すると、新しい3σのレートが決まります。
するとこの新しい3σもずっと影響を与え続けるのでしょうか?
3Wトレードで利用するボリンジャーバンドのパラメーターは20。
たった20本の過去のローソク足の推移から得られる数値が、将来にの価格にこれほど大きな影響を持つとは考えにくいと私は考えています。
また、ボリンジャーバンドのパラメーターを変更すれば、無数の±3σを表示させることができます。これら±3σのレートは99%以上の確率で到達しないのでしょうか?
市場の動きは正規分布ではない
ボリンジャーバンドの±2内にレートが収まる可能性は95.5%、±3σ内にレートが収まる可能性は99.7%と一般的には言われていますが、これはあくまでも市場の動きが正規分布だったら・・・という仮定の話に過ぎません。
「フラクタル」という言葉の生みの親である数学者ベノワ・マンデルブロは、市場の動きは「ベキ分布」であると説き、現在ではその主張が当然になってきています。
上の図の薄い青いラインが正規分布で赤いラインがベキ分布です。
ベキ分布の方はX軸と決して交わることなく横へ広がっていきます。
簡単に言うと、ボリンジャーバンドの幅に収まる確率は理論値よりももっと低いということになります。
この事実は、過去のチャートを見ればすぐにわかることでしょうし、単純にボリバン±2σからの逆張りをするだけでは勝てないことも、この事実の証明になります。
加えてボリンジャーバンドの考案者であるジョン・ボリンジャーもこのことを認めています。
(ボリンジャーバンド入門より)
まずはボリンジャーバンド入門を読もう
ボリンジャーバンドを使っていきたいのなら、まずはジョン・ボリンジャーの書いたボリンジャーバンド入門を読みましょう。
ボリバンについてこれ以上わかりやすく詳しい本や商材は見当たりません。
この本をしっかりと頭に入れれば、ボリバンを正しく使いこなせるようになりますし、3Wトレードの様な誤った解釈をすることはまずなくなることでしょう。
以上のことから3Wトレードはトレード初心者を騙す悪質な商材であると言えます。
また、ボリンジャーバンドの正しい考え方や相対性については以下の記事をご覧ください。