今回は、リンダ・ラシュキ氏のMACDを利用する「アンチ戦略」をご紹介します。
MACDは良く知られた手法ではありますが、今回の手法は教科書的な使い方はせず、トレンドが勢いよく転換した後の押し目や戻りを狙う戦略のエントリーシグナルとして利用します。
特殊なパラメーターを利用して、早い相場の動きに追従する手法です。
このパターンは様々な時間軸や銘柄で出現しますので、ぜひご覧ください。
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リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ氏について
リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ(Linda Bradford Raschke)氏(1959~)はアメリカのトレーダーです。
トップトレーダーへインタビューをまとめた名著である「新マーケットの魔術師」に登場した初の女性トレーダーで、子供を出産した3時間後にはトレードを始めていた・・・というほどのトレード好きな女性です。
彼女は子供のころから、トレード好きな父親の「数百ページのチャートの中から特定のチャートパターンを見つけるお手伝い」をしていたことからも分かるように、かなりチャート分析に造詣が深いことで有名です。
これまでに数多くのトレード手法を生み出しており、その一部が3万円以上することで有名な投資書籍である「魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門」内で公開されています。その中にはかの有名な「聖杯」もあります。
リンダは、1980年代からフロアトレーダーとしてトレーディングを始め、1992年にCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー、商品投資顧問業者)に登録します。
以降は複数のヘッジファンドでトレーダーを務め、2002年には自身のヘッジファンド(LBRグループ)を立ち上げます。2015年にヘッジファンドトレーダーを引退しましたが、現在は個人トレーダーとしてトレードを続けながら情報を発信しています。
Monthly dollar turn down – I only look at monthly technicals on the financials… pic.twitter.com/5wf9LR3wCV
— Linda Raschke (@LindaRaschke) December 19, 2023
MACDについて
今回ご紹介するリンダの手法ではMACDをメインに利用します。
MACDはジェラルド・アペルの考案した指標で、日本語では「移動平均収束拡散法」と呼ばれます。2本のEMAの乖離からモメンタムを測定し、価格の勢いを判断するためのツールとして広く使われています。
MACDは通常2本のラインから構成されています。
メインとなるMACDラインは短期と長期の移動平均線の差を示し、もう一つのシグナルラインはMACDラインを移動平均化したものです。
以下がMACDと同じパラメーターの2本のEMAを一緒に表示したチャートです。
色の変わる太いラインがMACDラインで、メインチャート中の黄色が短期、白が長期のEMAです。
黄色い短期のEMAが白い長期のEMAを上抜けると、MACDラインは0ラインを抜けて上昇します。逆に短期のEMAが長期のEMAを下抜けるとMACDラインは0を割って下落します。
このようにMACDラインは2本のEMAの差を示すことになり、これが上昇すると短期EMAが長期EMAとの差が上昇している、つまりは「上昇の勢いが増している」と判断することになります。
本手法ではライン表示したほうが分かりやすいですので、以下のインジケーターを利用されることをお勧めします。
リンダの310オシレーター設定
本手法ではMACDを使うものの、パラメーターを「310オシレーター」という設定にする必要があります。
パラメーターは以下の通りです。
- 短期移動平均線:3期間
- 長期移動平均線:10期間
- シグナルライン:16期間
- シグナルラインで使用する移動平均:単純移動平均(SMA)
先ほどご紹介したMacd line mtf BTでは以下のように設定を変更してください。
赤い四角の項目が変更する個所です。
上記の通りに変更すると、MACDは以下のようになります。
MACD自体はデフォルトよりも相場の動きに追従しやすくなる一方で、シグナルラインはゆっくりと推移することになります。
「リンダのアンチセットアップ戦略」
それではエントリールールについて解説していきます。
ロングエントリールール
- 下降トレンドから一気に反転して上昇する
- 上昇後の押し目の時にMACDが下落、シグナルラインが上昇している状態でクロスしていたらロングエントリー
以下がエントリーポイントです。
重要なのが、下げの流れから一気の反発上昇の動きを見せることです。
ここで明らかに流れが変わったことを示し、次は押し目を形成することになりますが、その押し目買いのポイントが、MACDとシグナルラインがデッドクロスしたポイントになります。
ポイントはMACDが明確に下向き、シグナルラインが明確に上向きの流れの中でクロスすること。こうすることで、乗り遅れることなく押し目買いができます。
利食いや損切りについては明言されていませんが、少なくとも直近の安値より上に損切りは置いた方が良いでしょう。利食いについても次の止まりそうなライン等を参考にするかMACDのクロスを参考にすると良いでしょう。
以下が他のエントリー例です。
これはダメだった例です。
ショートエントリールール
- 上昇トレンドから一気に反転して下落する
- 下落後の戻りの時にMACDが上昇、シグナルラインが下落している状態でクロスしていたらショートエントリー
以下がエントリーポイントです。
これは失敗例です。
FVGと組み合わせる
本手法は勢いよくトレンドが転換した後の押しや戻りを仕掛ける手法ですが、私が検証した限りでは、エントリー条件を満たした時点で、それまでのFVGを埋めていると勝率が上がります。
逆にFVGを埋めずにエントリー条件を満たしていると、さらに強い押しや戻りが入る可能性もありますので、エントリーを少し遅らせると良いでしょう。