ローソク足のパターンには様々なものがありますが、その中でもシンプルかつ強力なのが包み足(包み線)です。
包み足は相場の反転を示唆するパターンです。
特にサポレジラインや移動平均線など、意識されやすいレート付近で包み足が出現すると、その後は高確率で反発します。そのため、押し目買いや戻り売りだけでなくトレンド逆張りにも使える優秀なプライスアクションになります。
今回は包み足について詳しく考察していきます。
この記事を読めば、包み足を意識することでトレードの精度やリスクリワードが上げられることが分かるはずです。
ぜひご覧ください。
包み足の基本
包み足の定義
包み足とはローソク足2本から構成されるシンプルなパターンです。
具体的には下のようなローソク足の組み合わせとなります。
1本目の足の高値と安値を、次の足がすっぽりと包み込むパターンが包み足になります。
この際、包み込む足が陽線であれば「陽の包み足」、逆に包み込む足が陰線であれば「陰の包み足」と呼びます。
包み足の示す傾向
包み足が出現した場合、今後の相場について以下のようなことを示唆します。
- 陽の包み足が出現すれば、その後は上げやすい
- 陰の包み足が出現すれば、その後は下げやすい
特に相場が反発しやすいポイントで出現する包み足のパターンは効果が高く、一種の転換や反転を捉えるためのシグナルとして利用されます。
下のチャートは、高値圏と底値圏で包み足が出現し、そのままトレンドが反転した一例です。
また、下のチャートはトレンドの戻りの途中で包み足が出現し、再度下落が始まった一例です。
包み足はたった2本から成るプライスアクションですが、出現する場所や足の形によって大きな優位性を得ることができるのです。
包み足を深掘りする
包み足は相場の転換を示すパターンとなりますが、なぜ転換点となりやすいのでしょうか?
それについては、包み足をバーチャートで示すとよくわかります。
陽の包み足
まずは陽の包み足のバーチャートからご覧ください。
1本目は陰線で下落します。
そして2本目では1本目の安値を更新するも、ブレイクとはならずに上昇(ダマシに終わる)。
更には1本目の高値をブレイクすることになります。
言ってみれば、下へのブレイクがダマシとなり、ダブルボトムを形成して上方向に進み、ネックラインをブレイクした形になります。
この流れについては包み足の中を小さな時間足で示すとわかりやすいです。
下のチャートは15分足ですが、その上に4時間足のローソク足(赤色と水色の足)を重ねて表示させています。黄色く囲った個所は4時間足レベルでの包み足を示しています。
これを見ると、確かにダブルボトム(右側のボトムの方が安い)から大きく反発していることが分かりますね。
陰の包み足
次は逆に陰の包み足のバーチャートです。
考え方は陽の包み足と全く同じです。
1本目では陽線が出現し、次の足では1本目の高値をブレイクするもダマシとなり、今度は逆に安値をブレイクする動きです。
こちらの方ではダブルトップを形成してから下方向にブレイクした形ですね。
4時間足で形成される包み足とその中の15分足の動きについて見てみましょう。
ダブルトップを作って(このケースでは長い上ヒゲですが)下げて来ていることが分かります。
包み足が効く時、効かない時
包み足は相場の転換を示すパターンですが、その効果を発揮する相場と発揮できない相場があります。
ではどこで効いて、どこでダマシとなってしまうのでしょうか。
包み足がシグナルとして有効な相場
まず、効果を発揮しやすい相場は、チャートの上下の波が分かりやすく、しっかりとメリハリのある動きになります。
下のチャートがその一例で、包み足が出た方向にしっかりと動いていることが分かります。
このチャートでは相場の波が確認しやすいですよね?
パッと見て分かりやすいと思えるチャートなら、包み足は本当によく効きます。
使用しているインジケーターは以下の自作インジです。
包み足が効かない相場
包み足が効かない相場は、レンジ相場です。
これはどのローソク足パターンにも共通することですが、ヨコヨコの保合い相場では効果が薄くなり、ダマシとなることが多いです。
下のチャートがダマシの一例です。
値動きの性質上、保合い相場では包み足やはらみ足などが出やすいです。
しかし、これらはダマシの温床となることが多いため、注意しましょう。
使う時間足は大きいほうが良い
基本的にローソク足のパターンは日足の動きから発見されています。
そのため、包み足に関わらずローソク足のパターンは時間足が大きいほど効果が高まります。
逆に言えば1分足や5分足程度ではそれほど参考にならず、ダマシも頻発します。
そのため小さな時間足での使用は個人的には推奨しません。
5分足以下で使うにしても、他の指標等を組み合わせてシグナルを厳選すべきです。
包み足の使いドコロ
包み足の使い所としては、エントリーとエグジットの2点が考えられます。
包み足でエントリー
エントリーの場合は、「サポレジとなるポイントから包み足を伴って反発してきたらエントリー」というものが基本です。
上のチャートのようにレジスタンスをブレイクしたように見せて、結果的には陰の包み足(しかも実体が大きい)が出現すると、その後大きく下げることが多いです。
包み足は2本のローソク足の組み合わせですから、それほど大きなインパクトを相場に与えることはできません。しかし他の指標等と組み合わせることで、ピンポイントのエントリートリガーとして使えるのです。
例として、移動平均線とボリンジャーバンドをご紹介します。
移動平均線の例
移動平均線は、トレンド方向を示すだけでなく、それ自身がサポレジとして機能します。
この特徴を活かして、傾斜の付いた移動平均線まで押してきた足が、包み足を伴って反発したところでエントリーすると、最高の押し目買いのポイントになります。
ボリンジャーバンドの例
ボリンジャーバンドの±2σは、サポレジとして意識されやすい価格になります。
ボリバンの-2σに当たった足が陽の包み足となって反発すると、その後は高い確率で+2σまで上昇します。
包み足での利食い
利食いについてはある程度含み益が出たところで包み足が出現したら利食います。
このルールを取り入れることで、含み益を必要以上に減らすことなく良いポイントで利食いをすることができます。
包み足を発展させた「キーリバーサル」と言う足もあります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
包み足を認識するインジケーター
包み足は2本のローソク足から成る非常にシンプルなパターンですので、人間の目で認識することも簡単ですが、インジケーターを使った方が楽ですし確実です。
慣れていない方は、インジケーターを使って検証したほうが効率よく包み足について学べます。
そこで包み足を認識するインジケーターをご紹介していきます。
Inside OutBar_mtf
名前の通りインサイドバー(はらみ足)とアウトサイドバー(包み足)の両方を認識するインジです。
デフォルト設定でははらみ足と包み足の両方を表示ますが、設定で上のチャートのように包み足だけを表示させることも可能です。
また、マルチタイムにも対応していますので、上位足が包み足になっている個所を確認することもできます。
Tsutsumi
自作インジです。
包み足の中でも「陽の包み足なら前の陰線の高値を終値で超える」、「陰の包み足なら前の陽線の安値を終値で割る」という条件を満たした時のみサインが出るようにしています。
私は、この包み足を「完全包み足」と呼んでいます。
前出のInsideOutbarは、ヒゲレベルで前の足の高値や安値を抜けたものも包み足として認識するのですが、それは包み足としての優位性はありません。
そこでしっかりと終値レベルで包んでいる包み足を認識するためにこのインジを作りました。
自作インジです。
前出のTsutsumiで認識する包み足の足でも、包む側の足の実体が大きいものだけを認識します。
包む側の足が、ひときわ目立つ大陽線や大陰線の場合、包み足としての効果は倍増します。
包み足を更に厳選するためのシグナルインジです。
Outsidebarsとグランビルの法則を組み合わせたインジです。
移動平均線にタッチした足が、目立って大きな包み足となった場合にサインが出ます。
MAからの反発が包み足ということで、必然的にサインの頻度は少なくなりますが、その分だけ精度が高く、エントリーシグナルとして利用することが可能です。
Outsidebarsとボリバンを組み合わせたインジです。
ボリバンの±2σから反発してきた足が、目立って大きな包み足となった場合にサインが出ます。
こちらの方もサインの頻度は少ないですが、ピンポイントで天井や底を当てるポテンシャルを秘めています。
Candle_OutsideBar_HL_LEV
包み足を認識すると足の色が変わり、その高値と安値に水平線を引くインジです。
ラインをブレイクした所でアラートが鳴りますので、包み足出現後のブレイクを狙う際に便利です。
Engulfing_2_sizes
包まれる側と、包む側の足それぞれに条件を付けて2種類の包み足をサインで表示するインジです。
条件が少し複雑なので詳細は以下のリンクをご覧いただければと思いますが、このインジを使うことでダマシになりにくい条件で包み足のサインを出すことができます。
細かい調整は必要なものの、条件を変えながら細かく検証していきたい方にお勧めします。
包み足はシンプルで奥が深い
今回は包み足についてまとめました。
私自身、ローソク足のパターンの中では包み足を一番意識していますし、トレードの参考にしています。
必ず勝てるというわけではありませんが、相場の転換時には包み足がよく出現するのは紛れもない事実です。
様々なトレード手法との親和性も高いですから、ぜひ取り入れてみてください。
エンゴルフィンバーについては以下の記事をご覧ください。
また、包み足を利用したキーリバーサルというプライスアクションもあります。
こちらも併せてご覧ください。