今回はストップ狩りが起きている最中に、それを見極める方法について解説します。
ストップ狩りとは、スマートマネーによって仕掛けられるダマシの値動きです。
例えば、サポートを一時的に下抜けて「ブレイクした!」と思わせて、すぐに勢いよく反発して上昇する値動きを見たことはないでしょうか?それがストップ狩りです。
スマートマネーは多くの注文が集まっているレートを一時的に割ることで、流動性(Liquidity)を確保し、そこから本来仕掛ける方向へ相場を動かします。
このストップ狩りが起きているかどうかは、リアルタイムで判断するのは非常に困難です。
しかし、今回ご紹介する方法を利用すれば、高い確率でストップ狩りかどうかが分かります。
もちろん全てのストップ狩りが分かるわけではありませんが、ストップ狩りが発生した時にエントリーを仕掛けることで損小利大のトレードが可能になります。
Contents
ストップ狩りとは
ストップ狩りとは、相場を動かせるくらいの資金力を持つトレーダー(スマートマネー)が、他のトレーダーの注文が多く集まる価格までレートを動かして損切りを誘発させることです。
下のチャートの黄色い〇がストップ狩りの発生したポイントです。
赤いラインは過去にサポートとして機能していた価格です。
ここには多くのロングの損切り注文(売り注文)が入っており、スマートマネーがこのレートを割るように仕掛けます。
赤いラインを一時的にブレイクすると、多くのロングポジションを持つトレーダーの損切りが発動します。
この時、相場に多くの資金が流れ込み、さらに下落する動きになります。(流動性:liquidityを得た状態)
この下げている最中にスマートマネーは逆方向にエントリーすることで、結果として赤いラインのブレイクはダマシとなり、下ヒゲだけを残して勢いよく上昇することになりました。
スマートマネーがストップ狩りを行うのは、流動性を作り出すためです。
こうすることで、自身が本当に取ろうとするポジションを可能な限り有利な価格で約定できるようにするわけです。
ストップ狩りについては、以下の記事をご覧ください。
ストップ狩りを見極める方法
ストップ狩りについてはリアルタイムで判断するのは難しいです。
基本的にはブレイクがダマシになって、大きく逆方向に反発した後に「コレはストップ狩りだったんだな」と判断することになります。
しかし、流動性のある価格に特定の動きが出ると、それがストップ狩りとなることが多くなります。
その動きとはピンバーです。
Liquidityのある価格(多くのトレーダーが損切り注文を置いている価格)をピンバーのヒゲでブレイクすると、それがストップ狩りのシグナルとなって反転していくことが多くあります。
これはストップ狩りをリアルタイムで判断する非常に重要な情報です。
しかし、Liquidityのある価格やピンバーについては、どちらとも分析者の「判定」が必要になり、どうしても裁量判断が混じることになります。
そこで今回は裁量の余地を限りなく減らして検証するために、インジケーターを利用して詳しく定義して本当に効果があるかを確認しました。
ピンバーを使ってストップ狩りを見極める条件
使用するインジケーター
使用するインジケーターは以下の2つです。
- Zigzag(MT4に最初から入っているインジ)
- PinBar All Types With Alert
ZigZag
ZigZagは相場の波を示す有名なインジケーターです。
今回はデフォルトパラメーターのZigZagの頂点や底をLiquidityのある価格とします。
ZigZagのロジックやパラメーターの意味合いについては以下をご覧ください。
PinBar All Types With Alert
PinBar All Types With Alertはピンバーを認識するインジです。
ピンバーには条件が設定できて、「ローソク足全体の長さに対して、実体の長さが何割以下のピンバーだけサインを出す」という機能が付いています。
今回は、実体の割合が全体の20%以下のピンバーのみを利用して検証しました。
デフォルトではPBratioが0.25(25%)ですが、今回の検証では0.2(20%)とより条件を厳しくしています。
このインジケーターは以下からダウンロードしてください。
ストップ狩りと判断する条件
ストップ狩りと判断する条件は以下の通りです。
- まだ実体でブレイクされていない過去のZigZagの頂点や底をブレイクした足がピンバーとなる
- 実体でブレイクされてしまった後にピンバーが出てもストップ狩りとは判断しない
ZigZagの高値安値ラインをピンバーのヒゲでブレイクするのが絶対条件です。
このチャートでは、長い下ヒゲが過去にブレイクされていない2本の白いラインを一時的に割ってから急上昇しています。
2本を一気に下抜いて反発するのは珍しいですが、これこそが一番の理想形です。
また、ピンバーが出る前に、一度でも実体でLiquidityの白いラインをブレイクしたら、それはストップ狩りにはならないと判断します。
過去のストップ狩りのポイント
では過去のチャートのストップ狩りのポイントを見ていきましょう。
矢印に白い〇を付けたのが今回のルールのストップ狩りのポイントになります。
このチャート内では2つストップ狩りと判断したポイントがあります。
左側の方はダマシとなりましたが、右側の大きく上昇後に出現したピンバーは本物となりました。
以前大きく下げたポイントの高値をliquidityとして、そこまで戻してピンバーが出現しています。
以前のFVGを埋めて、そのオーダーブロックとなる価格も少しだけブレイクしてから急下降という流れです。
FVGを伴うオーダーブロック(OBIM)は非常にLiquidityがありますので、これは信頼性のあるシグナルと言えます。
これはピンバー出現後に陽線が1本続きましたが、再度下落しました。
結果としては本物のストップ狩りにはなり得ませんでした。
下降局面で下げのシグナルということで、決して悪くはないのですが、サインが出てから陰線が2本連続したものの、再度上昇しました。
レンジ性の強い中での2連続のシグナルです。
ボラティリティが小さいので明確なストップ狩りがあったとは言いにくいですが、結果としてはサインが出てそれなりに反発しています。
上昇局面の中で、前の安値を少し割ってからピンバーが出ています。
これは非常に良い流れの中でのストップ狩りで、その後も大きく伸びています。
上昇トレンドの最終局面で出たサインです。
サインが出る直前の下げでは押し安値を一時的にブレイクしており、そこから高値を更新してピンバーとなりました。
トレンドの終わりではこのように波が拡大するような値動きをすることがあり、その中で生じるピンバーはスマートマネーによるストップハントである考えることができます。
ストップ狩りを利用するポイント
最後に今回ご紹介したやり方を実際のトレードでどう使うかについて解説していきます。
- ストップ狩りが来たと判断したら即エントリー
- オーダーブロックになるまで待ってエントリー
ストップ狩りが来たと判断したら即エントリー
ストップ狩りが来たと判断したら即エントリーするのが最もシンプルなやり方です。
今回ご紹介したやり方であれば、リアルタイムでストップ狩りのタイミングが分かるわけですから、ピンバーが確定したタイミングで入ることで、スマートマネーと同じ方向のエントリーをしたことになります。
損切りをピンバーの高値や安値にけば、損切り幅は非常に狭くできますし、上手く決まれば大きなリスクリワードのトレードができます。
オーダーブロックになるまで待ってエントリー
ストップ狩りのピンバーが出現後、トレンド転換のCHOCHとなれば、ピンバーの出た価格帯は信頼性のあるオーダーブロックになります。
もしピンバーが確定したタイミングでのエントリーを逃したとしても、再度ピンバーの出た価格帯(オーダーブロック)まで戻してきたところでエントリーすれば高勝率のトレードができます。
ストップ狩りは深い!
今回はスマートマネーによるストップ狩りをリアルタイムで見極める方法について解説しました。
ストップ狩りと思われるパターンは色々とありますが、「Liquidityのあるラインをピンバーだけでブレイクするパターン」は非常に分かりやすい上に信頼性も高いです。
もちろんピンバーにならずに包み足等を形成して反転するストップ狩りのチャートパターンもありますが、分かりやすさで言えばピンバーの方が圧倒的でしょう。
これに加えて相場の構造も一緒に考えながら使っていくことで、より勝率を上げることができます。
損小利大のトレードの参考にしてみてください。