タートル・スープから読み解くオーダーブロック

今回は、ブレイクアウト手法として有名な「タートル・ブレイクアウト・システム」を逆手に取った「タートル・スープ」について考察します。

この二つの手法は基本的に相反する手法で、例えばタートル・ブレイクアウトでロングするタイミングは、タートル・スープではショートするタイミング・・・といった感じで、真逆の発想になっています。

本記事では、タートル・スープのコンセプトを解説し、タートル・スープのエントリーポイントこそ「大口のストップ狩りのポイント」であるという仮説から、より有効性の高いオーダーブロックの見つけ方までをご紹介していきます。

タートル・ブレイクアウト・システムについて

タートル・ブレイクアウト・システムは、ドンチャン・ブレイクアウト・システムを改良した、超が付くほど有名な手法です。

後に「マーケットの魔術師」でインタビューを受けることになる「リチャード・デニス」と「ウィリアム・エックハート」は、「優れたトレーダーは育成できるのか?」を知るために投資育成集団「タートルズ」を作りました。

タートルズで使用する手法としてタートル・ブレイクアウト・システムが採用され、二人から教えを受けたトレードの初心者たちは、たった4年間で1億ドル以上の利益を稼ぎ出しました。

当時の1億ドルは現在の1億8500万ドルに相当し、1ドル130円としても何と240億5000万円!です。

当時は手法については秘密にされていましたが、タートルズをクビになった人が公開したことで世間に知れ渡ることになりました。

この辺のストーリーについては以下の記事をご覧ください。

ちなみにリチャード・デニスは1986年の1年間だけで8000万ドルを稼いでいます。
これは同年のジョージ・ソロスの1億ドルやマイケル・ミルトンの8000万ドルと並ぶ数字です。

タートル・ブレイクアウトシステムのルール

ルールは以下のようになっています。

ロングエントリールール(ショートは逆)

  • 過去20期間の高値をブレイクしたらロング
  • 過去10期間の安値を割ったら決済

エントリーポイントは以下のようになります。

このチャートでは、赤や青色のチャネルが20期間の高値や安値、灰色の点線が10期間の高値や安値を示しています。

20期間の高値(赤色)をローソク足がブレイクするとロングエントリーとなり、逆に20期間の安値(青色)をブレイクすると、ショートエントリーとなります。

使用しているインジケーターは以下の2つです。

シンプルなルールですので機械的にトレードできますし、現在ではインジケーターが自動でシグナルを出してくれます。

手法としては勢いのある一方向のトレンド相場が大得意で、例えば、2022年のドル円の上昇相場では大きな利益を出しました。

下のチャートが2022年のドル円の日足チャートです。

この時は明確な上昇トレンドでしたので、ロングのみのエントリーをしてやれば、高勝率・高リスクリワードのトレードが出来たことになります。

その一方でレンジ相場はからっきしダメで、損切りが連続します。

一般的に言われているように、相場の7割がレンジ相場ですから、タートル・ブレイクの勝率も低いものになります。

そのため、コツコツと負けを繰り返すわけですが、たまに勢いよくブレイクするとホームラン的なトレードになるため、そこで一気に損失分を取り返すスタイルになります。

タートル・ブレイクアウトシステムの弱点

このタートル・ブレイクアウトシステムの弱点は、「勝率が低い」に尽きます。

かつて私がタートル・ブレイクを実戦していたところ、勝率が約3割程度に落ち着きました。

実際にこのルールで機械的に取引していくと「負けばかりで相場にお金を捨てに行っている」ような辛い気持ちになります。

勝率3割を実際に続けると本当に負けてばっかりに感じられるのです。
(人間は損失が出た時の方が強く記憶に残るため)

ですから、トレードをするのが嫌になり、「どうせ次も負けるだろ?」と思ってエントリーを見送るようになります。すると皮肉なことに、そこがビッグトレンドの始まりで、しっかりとエントリーしていたら、それまでの損失を軽く上回る利益が出ていた・・・・なんてこともよくありました。

損小利大で低勝率の手法は、トータルで勝てたとしても、大きく勝てるエントリーを1回でも見逃してしまうと、その後の結果が大きく違ってきます。これが最大のデメリットだと私は思っています。

しかも、タートル・ブレイクアウトシステムを続けるのは「しんどい」です。
負けてばかり、たまに大きな含み益出ても「利食いしたくて仕方がない」気持ちでいっぱいになります。

実際にタートルズのメンバーでも、ルールに従ってトレードできずにクビになった人もそれなりにいたようです。

補足:現在の相場でタートル・ブレイクアウトシステムは勝てるのか?

「タートル・ブレイクが勝てたのは昔の相場だけで、現在の相場は複雑化して勝てない」

といった意見を見ます。
しかし、実際に検証すると、銘柄や時間足では勝てるものもあります。

また、フィルタリングを強化したり、利食い・損切りのアレンジを加えることで、トータルで勝てるルールにすることは可能です。

タートル・スープについて

タートル・スープは、ラリー・コナーズによって考案された手法で、超高額の投資書籍として有名な魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門で公開されています。

コンセプトとしては、タートル・ブレイクアウトシステムがダマシになることを期待しての逆張りです。

つまり、タートル・ブレイクがロングすべきところでショート、逆にショートすべきところでロングしていきます。

イメージとしてはタートルズを相場の食い物にされるのを期待するような感じでしょうか。

元々タートル・スープとは、その名前の通り、具材に亀が入ったスープ料理です。

タートル・スープのルールについて

タートル・スープのルールは以下の通りです。

ロングエントリールール(ショートは逆)

  • 過去20本分の最安値を更新する
  • 前回の過去20本分の最安値は、当日を含めて4本以上前になくてはいけない(超重要)
  • 過去20本分の最安値を更新したら、前回の20本の安値より少し上に買い注文を入れる(安値を更新した足が、当日中に前回の安値を上回らなければエントリーにならない)

「前回の過去20本分の最安値は、当日を含めて4本以上前になくてはいけない」とは直近で安値をガンガン割ってきているところではエントリーせず、安値更新から少しバウンドして再度安値を割ったところでエントリーするイメージです。

実際のエントリーポイントは以下のようになります。
タートル・スープを認識するインジケーターは見当たらなかったので、自作しました。

どうでしょうか?
タートル・ブレイクアウトとは真逆のこの手法も、意外と良いところでサインが出ています。

「どこで利食うか?」で結果は大きく変わってくるとは思いますが、タートル・スープの方は高勝率を狙う短期決済型の手法です。

本格的にブレイクする可能性もあるので、損切りは早くして、順行すればサッと利食うスタイルが好きな方には面白い手法だと思います。

ちなみに、「タートル・スープ」では安値を更新したその足が、前回の安値を上回る必要があります。
次の足で前回の安値を上回るとエントリーとなるのが、タートルスープ・プラスワンです。

タートル・スープの弱点

タートル・スープの弱点はトレンド相場です。

今年のドル円相場だとまず勝てません。

ですが、横ばいになっている通貨ペアや時間足を積極的に狙っていけば、実は良い感じで勝てるんじゃないかと思います。

タートル・スープのエントリーポイントは、「ストップ狩り」のポイント

ここまで、タートル・スープについて解説してきましたが、実はタートル・スープのエントリーポイントは、「スマートマネー(相場を動かせるくらいの機関投資家)によるストップ狩りのポイント」と考えることもできます。

以前の記事でも書きましたが、ストップ狩りのポイントはこのようになっています。

タートル・スープにおける前回安値や高値はストップロスが溜まっているレートと言えます。

例えば、前回安値の少し下には、買いの損切り注文(売り注文)が沢山入っています。

スマートマネーは、このレートにまで価格を下落させて買いの損切り注文を発動させて、市場の流動性を上昇させます。

流動性が上がって取引量が大きくなっているところで本命のロングを入れるわけです。

このスマートマネーがロングを仕込んだポイントは、タートル・スープのエントリーポイントと全く同じですよね。

・・・ということは、タートル・スープのエントリーポイントは、後に「オーダーブロックとして機能するポイント」と言えます。

特にタートル・スープのエントリー後、FVGが生じるような動きがあった場合、その価格帯はより有効なオーダーブロックとして利用できそうです。

色々と試行錯誤して、下のチャートのようにタートル・スープ&OBIMでサインを出すインジケーターを作成しましたので、次回ご紹介したいと思います。

このシグナルは製作途中のものです。

続編及び完成版は以下からご覧ください。

 

基礎から学べる商材

応用的な裁量商材

トレードの神髄をメルマガでこっそりお伝えします

現在3500人以上が購読中!

購読特典として将来の価格の値動きを予測するツールウォルフ波動の詳細な解説とウォルフ波動を認識する本当に使えるインジケーターをプレゼントします。このメルマガで、あなたが「勝ち組」に変わります。

Twitterのフォローお願いします。

おすすめの記事