ビットコイン。
もう多くの方がこの新しい仮想通貨の名前を聞いたことがあるのではいでしょうか?
2014年のマウントゴックスの破綻によって胡散臭くてダーティーナイメージが拭えない状態のビットコインですが、それでもジワリジワリと仮想通貨としての存在感を高めてきています。
もしかしたら今後、新たな発想の通貨として発展する可能性のあるビットコインについて詳しく勉強していきましょう!
Contents
ビットコインの特徴
中央銀行も国籍もない
ビットコインは、2008年10月31日にサトシ・ナカモト氏によって配信された論文によって全てが始まりました。
https://bitcoin.org/bitcoin.pdf
この論文の中にビットコインのアイディアが記載されており、実際に2009年にはビットコインの運用が開始されました。
ビットコインはそれまでの通貨の概念とは全く違っています。
通貨を管理する中央銀行もなければ、国籍もないのです。
通常の通貨の場合は、国の経済状態によって、中央銀行が通貨の供給量を調節するのに対して、ビットコインは発行主体すらなく、最初から総量が2100万ビットコインと決まっているのが大きな特徴です。
論文の内容について
概要
この論文では、銀行などの第三者機関を介さずに、直接お金を送金できる電子決済システム「ビットコイン」を提案しています。
従来の電子決済は信頼に依存しており、不正防止のためのコストや取引反転の可能性が存在しますが、ビットコインではこれらの問題を克服し、詐欺や二重支払いを防ぐ仕組みを導入しています。
仕組みの概要
取引と電子コインの定義
電子コインは、デジタル署名で所有権を表すチェーンです。取引ごとに各所有者がコインに署名し、所有権の移転が行われます。
タイムスタンプサーバー
ビットコインは、タイムスタンプサーバーで各取引の時系列を記録します。これにより、特定の取引がいつ発生したかを証明し、取引の順序が保証されます。
プルーフ・オブ・ワーク(PoW)
各取引はPoWを用いてブロックに記録され、ブロックチェーンに追加されます。PoWにより、ブロックの改ざんは非常に困難となり、ネットワーク全体が改ざんを拒否することで信頼性が担保されます。
ネットワークの運用
新しい取引が発生すると全ノードに送信され、ノードはPoWを用いてブロックを生成します。長いブロックチェーンが正しい履歴と見なされるため、ネットワークは常に長いチェーンの更新を続けます。
インセンティブ
PoWに貢献するノードは、新規コイン(ビットコイン)を得ることで報酬を受け取り、取引手数料も得られます。これにより、ネットワーク参加者が自発的にシステムの維持に協力します。
ディスク容量の節約
古い取引データは削除しても問題なく、ブロックの情報は効率的に圧縮されるため、ストレージ容量の負担が軽減されます。
簡易決済確認
フルノードを運営せずとも、最も長いブロックチェーンのブロックヘッダーだけを確認することで支払いの検証が可能です。
プライバシーの保護
取引内容は公開されますが、ユーザーの個人情報は公開されないため、匿名性が確保されます。
結論
ビットコインは、信頼に依存しない新しい電子取引システムとして、取引履歴の公開やPoWを活用することで、セキュリティと信頼性を確保しています。システムはシンプルで強固な構造を持ち、ネットワーク全体のCPUパワーを利用して不正を防止する画期的な仕組みとなっています。
ビットコインを得るには?
ビットコインを得るには、取引所でお金と交換するか、自分でコンピューターをつかって「採掘」する必要があります。
総量が最初から決まっており、自分で採掘できる・・・ということから、ビットコインは「金」のような性質を持ち合わせているのです。
そして今では、ビットコインで普通に買い物ができたりしているのです。
国の保証がないのにもかかわらず、お金としての「価値」をもつビットコイン。
全く新しい概念として言って良いでしょう。
ビットコインの価格の推移
ビットコインの最初についた価格は1ビットコイン=0.0076米ドルでした。
1ドル120円として日本円に換算すると、約0.9円。
そんな小さなスタートだったビットコインでしたが、様々な事情によって大きな需要が生まれ、2013年後半には1200ドルを超える価格にまで上昇しました。
この価格に達するまでにおいて、2つの大きなイベントがありました。
キプロスショック
キプロス共和国とは、トルコの南の地中海に位置する共和制国家です。
タックスヘイブンとして有名な国で、海外FXのブローカーもここを拠点にしているところが多く、金融業の盛んな国です。
キプロスの公用語はギリシャ語で、隣国でもあるギリシャとは密接な関係にあり、多くのギリシャ国債も保有していましたが、2013年のギリシャショックにより大きな損害を受けました。
これを受けて、ユーロ圏がキプロスへの金融支援に乗り出しましたが、条件としてキプロスの全預金に最大9.9%の課税を導入することを決めたのがキプロスショックです。
この他にも、1000ユーロ以上をキプロス国外への持ち出し禁止、1日の預金引き出し上限を300ユーロ以内に制限することも決まったため、キプロス国民は持っているお金を逃げさせることも出来ない状態でした。
そこで目をつけたのがビットコイン。
国籍も管理者もないビットコインなら課税もされず、資産にもなりません。
どうせ自分のお金が自由にできないのなら、せめてビットコインに・・・。
ということで一気にビットコインの人気が高まりました。
中国のビットコインバブル
中国は共産主義のために、土地を資産として購入することができません。
また、厳しい資本規制のために容易に大金を海外に送金することも難しい国です。
それでも中国の富裕層は何とかして世界各国で土地等の資産を買い漁っている状態が続いています。
そしてキプロスショックで世界中で注目されたビットコインは、中国人が自分の資産を自国から逃がす手段として、そして投機の対象として使われるようになったのです。
そのビットコインバブルのおかげで2013年の終わりには1200ドルを越えましたが、中国の中央銀行が
ビットコインに高い投機やマネーロンダリングのリスクがある」
という通達を出したせいでビットコインは暴落し、バブルは一時終焉を迎えたのでした。
ビットコインの日本におけるの法的な取り扱い
ビットコインはそれまでに無い発想の通貨であるため、国によってその対応や規制状況が大きく異なっています。
これらについては、Wikipediaに詳しくまとめられています。
以下は2015年4月の時点の話です。
その中で日本の場合は以下の通りです。
現行の銀行法および金融商品取引法に照らしてビットコインは通貨でも有価証券でもないとして、銀行や証券会社が本業でビットコインを扱うことを禁止した。この決定ではまた、財やサービスの提供に対してビットコインにより報酬を受け取ることを一律に禁止する法律はないともした。ビットコインは課税対象となることが検討されている。
2017年4月には仮想通貨法が施行され、仮想通貨が資産として認められました。
現に日本でもビットコインによる決済が可能なお店やネットショップが増えて来ています。
まだまだ数としては少ないですが、これから増えていきそうですね。
2018年11月追記
2017年終わりにビットコインは200万円を超えましたが、その1年後である2018年11月終わりには40万円まで下落しています。
しかし、2019年5月から再度盛り返し、一時は140万円付近まで上昇しました。
今後どうなるのか気になるところです。