
今回は前回記事にした【特定時間帯の「スイープ」反転を狙うシンプル手法】について、他の通貨ペアでも検証を行ったので結果をご紹介します。
これまでの検証で、本手法は特にドル円、ユーロ円のアジアレンジキルゾーンのスイープ(ロンドンオープンでのエントリー)で効果が高いことが分かりました。
これについて、「他の通貨ペアはどうなの?」というご質問を多く頂きました。
確かに多くの通貨ペアでも優位性が認められれば、手法はより堅牢であることが分かります。
今回はドルストレートのポンドドル、豪ドル米ドル、そしてクロス円のユーロ円とポンド円で検証しました。
結論から言えば、「やはりアジアレンジのスイープは優秀」でした。本記事では細かな検証結果や各通貨ペアのパフォーマンスの比較もしていきますので是非ご覧ください。
これまでの記事をお読みでない方や、どんな手法か確認したい方は以下からご覧ください。
Contents
検証方法について
今回の検証条件は以下の通りです。
- 検証期間:2024年1月1日から2025年7月31日
- 検証通貨ペア:ポンドドル、豪ドル米ドル、ユーロ円、ポンド円
- 損切:スイープの高値/安値
- 利食い:損切幅の1~5倍(1R~5R)に変えて検証
これまでと違うのは検証した通貨ペアだけです。
検証については、この手法のエントリー条件を満たしたところでサインを出すインジケーターを利用しました。
詳しくは以下のページからご覧ください。
ポンドドルの結果
本記事では最初からロンドンオープンだけで発生したエントリーの結果と、ニューヨークオープンだけで発生したエントリーの結果を分けて記載します。
ロンドンオープンのみの結果
GBPUSD(LOのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 67 | -5R | 46.5% |
2Rルール | 67 | 11R | 38.8% |
3Rルール | 67 | 21R | 32.8% |
5Rルール | 67 | 17R | 20.9% |
ポンドドルのロンドンオープンのみのエントリーでは3Rでの決済ルールが一番良好で21Rとなりました。3Rの結果が良いのはこれまでの検証結果と一緒ですね。
ただし、一番良くて21Rという結果は、ユーロドルやドル円と比較するとトータルでは劣ります。(後で比較します)
ニューヨークオープンのみの結果
GBPUSD(NYのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 52 | -20R | 30.8% |
2Rルール | 52 | -19R | 21.2% |
3Rルール | 52 | -20R | 15.4% |
5Rルール | 52 | -10R | 13.5% |
ニューヨークオープンの結果は悲惨なもので、全てがマイナスでした。
ルール的に一番勝率が高くなる1Rルールでも勝率30.8%と低く、これなら逆方向にエントリーした方が高い優位性が得られることになります。
つまり、ニューヨークオープンではスイープを狙って逆張りするよりは、ブレイクした方向に順張りした方が良いということですね。これだとリスクリワード1:1で勝率69.2%になります。
ロンドンオープンとニューヨークオープンの比較
ロンドンオープンとニューヨークオープンの1R~5Rルールの結果についてグラフ化しました。
結果が対照的ですね。
ニューヨークオープンでのエントリーについては、明らかにスイープではブレイクを狙った方が良いことが分かります。
豪ドル米ドルの結果
ロンドンオープンのみの結果
AUDUSD(LOのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 46 | -14R | 34.8% |
2Rルール | 46 | -7R | 28.3% |
3Rルール | 46 | -18R | 15.2% |
5Rルール | 46 | -16R | 10.8% |
豪ドル米ドルでは、なんとロンドンオープンのエントリーでも全てがマイナスとなりました。
これは驚きですね。
結論から言えば、ロンドンオープンの全ての決済ルールでマイナスになるのはこの通貨ペアだけでした。
ニューヨークオープンのみの結果
AUDUSD(NYのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 66 | -20R | 34.8% |
2Rルール | 66 | -9R | 28.8% |
3Rルール | 66 | -14R | 19.7% |
5Rルール | 66 | -12R | 13.6% |
ニューヨークオープンでのエントリーも全てがマイナスでした。
そのため、豪ドル米ドルは本手法とは相性が非常に悪いと言えます。
ロンドンオープンとニューヨークオープンの比較
両者ともに大幅なマイナスですね。
レンジになりやすいイメージが強い豪ドル米ドルですが、意外にも今回の条件のスイープは効かないようです。
ユーロ円の結果
ロンドンオープンのみの結果
EURJPY(LOのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 73 | -3R | 49.3% |
2Rルール | 73 | 9R | 38.4% |
3Rルール | 73 | 21R | 32.9% |
5Rルール | 73 | 3R | 17.8% |
クロス円のパフォーマンスはどうなのか?という疑問で検証しましたが、優位性は確認できました。
この中では3Rルールが一番結果が良く21Rとなりました。
しかしそれ以外はパッとしませんし、トレード回数の割にはRが少ないため、これもあまり積極的に選ぶ通貨ペアにはならないかなと思います。
ニューヨークオープンのみの結果
EURJPY(NYのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 49 | -4R | 46.9% |
2Rルール | 49 | 7R | 38.8% |
3Rルール | 49 | 16R | 28.6% |
5Rルール | 49 | 28R | 26.5% |
ニューヨークオープンでの結果が悪い通貨ペアが多い中、ユーロ円は良好な数字が出ています。
特に5Rルールではトータル28Rで期待R倍数としても高い数字(0.57)を出しています。
ロンドンオープンとニューヨークオープンの比較
5Rルールでのニューヨークオープンが飛びぬけています。
この結果も少し珍しいですね。
ポンド円の結果
ロンドンオープンのみの結果
GBPJPY(LOのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 65 | -5R | 46.2% |
2Rルール | 65 | 7R | 37.0% |
3Rルール | 65 | 15R | 30.8% |
5Rルール | 65 | 25R | 23.1% |
ポンド円のロンドンオープンエントリーは全体として良好な結果となりました。
利食いが伸びるほどトータルRも増えていますので、ルール的にも合っていると思います。
ニューヨークオープンのみの結果
GBPJPY(NYのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
1Rルール | 61 | -37R | 19.7% |
2Rルール | 61 | -34R | 14.8% |
3Rルール | 61 | -29R | 13.1% |
5Rルール | 61 | -43R | 5.0% |
ロンドンオープンの結果とは真逆で全てがマイナスです。
今回検証した通貨ペアの中でも特に結果が悪く、これこそスイープからの反転を狙うのではなく、スイープがダマシとなってブレイクしていく動きを狙うべきでしょう。
ロンドンオープンとニューヨークオープンの比較
ロンドンオープンの方は順調に上に伸びる一方で、ニューヨークオープンの方の負のエッジも凄いです。
前述の通りこれなら逆に1Rルールで順張りエントリーしてやれば、勝率80.3%が狙えます(期待R倍数:0.61)
4通貨ペア検証のまとめ
今回はポンドドル、豪ドル米ドル、ユーロ円、ポンド円で検証を行いました。
全体を通して結果を見れば、
- ロンドンオープンでのエントリーは正の優位性がある
- ニューヨークオープンでのエントリーは負の優位性がある
と言えるかと思います。
ただし、豪ドル米ドルはロンドンオープンで負けまくっていますし、ユーロ円はニューヨークオープンでも勝てています。
それでも全体の傾向を考えればロンドンオープンの優位性が強い通貨ペアでスイープを狙ってエントリーするのが理にかなっているかなと思います。
一方でニューヨークオープンの強い負の優位性も見逃せません。
特にポンド円の1Rルールではスイープではなく逆にブレイクを狙うことで大きな優位性が見込めます。この点についても深く検証する必要があると感じました。
全通貨ペア3Rルールでの検証結果
前回までの検証から、本手法では3Rの利食いルールで決済するのがトータルのRと勝率のバランスが良いとしてきました。
そこでこれまでに検証してきた7つの通貨ペアで3Rルールで決済した場合のトータルのRをグラフ化して比較しました。
こう見るとユーロドルとドル円のロンドンオープンのみの結果が圧倒的に良いですね。
続くのがポンドドルやユーロ円となっており、豪ドル米ドルを除けば複数の通貨ペアで優位性が認められる堅牢な手法と言えそうです。
ニューヨークオープン1Rで勝負をした場合
本記事の中でも触れてきましたが、多くの通貨ペアでニューヨークオープンでは負の優位性があることが分かりました。
特に多くの通貨ペアでマイナスとなっているのが1Rルール。
それならば逆向きにエントリーしてやれば正の優位性に切り替わります。
つまり、ニューヨークオープンでスイープしてきたら、順張りエントリーです。
このエントリーで1Rルールで決済した場合、結果は以下のようになります。
1Rルール(NYのみ) | トレード回数 | トータルR | 勝率 |
EURUSD | 59 | 16R | 64.4% |
USDJPY | 66 | 18R | 63.6% |
GBPUSD | 52 | 20R | 69.2% |
AUDUSD | 66 | 20R | 65.2% |
EURJPY | 49 | 4R | 53.1% |
GBPJPY | 61 | 37R | 80.3% |
XAUUSD | 64 | 14R | 61.0% |
何とこれまでに検証してきたすべての通貨ペアでプラスとなりました!
この中でも特にポンド円(勝率80.3%)やポンドドル(勝率69.2%)が優秀です。
- ロンドンオープンではスイープからの反転を狙う
- ニューヨークオープンではスイープから順張りを狙う
とすることで、どちらの時間帯でも優位性のあるトレードをすることが可能になります。
まとめ
今回の検証を通じて改めて分かったのは、ロンドンオープンのスイープ反転は複数の通貨ペアで優位性が確認できる一方、ニューヨークオープンは逆に「スイープからのブレイク狙い」が有効ということです。
特にポイントを整理すると、
- ドル円・ユーロドルに続き、ポンドドル・ポンド円・ユーロ円でもロンドンオープンのスイープ反転は一定の成果を確認
- 豪ドル米ドルは唯一ロンドンでもニューヨークでもマイナスで、手法との相性は悪い
- ニューヨークオープンでは多くの通貨ペアで「反転狙い」は機能せず、むしろブレイク順張りにすることで強い優位性が得られる
- 特にポンド円のニューヨークオープン1Rルールは勝率80%以上という圧倒的な結果
つまり、
- ロンドンオープン → スイープ反転を狙う
- ニューヨークオープン → スイープからのブレイク順張りを狙う
このように時間帯ごとに戦略を切り替えることで、より堅牢で幅広い通貨ペアに対応できる手法となります。
実践に活かす際は、通貨ペアの選定と時間帯ごとの特性を意識しつつ、必ずリスク管理を最優先に取り組んでください。