当サイトでは、これまでに沢山のスマートマネーコンセプト(Smart money concetps:SMC)に関する考え方・手法を解説してきました。
SMCは日本ではあまり知られてはいませんが、2020年頃から英語圏のトレーダーから爆発的に人気の出たトレード手法です。特に2022年以降はその人気が加速しています。
「スマートマネー」という大口投資家の動きを理解する戦略、「オーダーブロック」「BOS」「CHOCH」など革新的な言い回し、そして考案者のMichael J. Huddleston氏の自信マンマンの発言等が組み合わさって、カルト的な支持を得ています。
しかしその反面、SMCの手法だけでなくMichael J. Huddleston氏に対する批判も少なからずあります。
今回はそういった批判(主に英語圏の掲示板やサイト、ツイッターからの情報)についてまとめ、SMCを実践する私の見解も述べていきたいと思います。
動画もありますのでご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=74_Tlgoxzwk&t=313s
Contents
スマートマネーコンセプトの経緯
スマートマネーコンセプトは、Michael J. Huddleston氏が提供する「The Inner Circle Trader(ICT)」内で解説されているトレード手法及びトレード哲学です。
元々、Michael J. Huddleston氏は10年以上前に英語圏の超有名FXサイトである「babypips」の掲示板内で「ICT」というハンドルネームで現在のスマートマネーコンセプトの原型を解説をしていました。
その後、babypips内のコンテンツを全て削除した後は、自身のYouTubeチャンネル(The Inner Circle Trader)やtwitter等で情報発信を始め、多くのフォロワーを獲得していきます。
そしてフォロワーたちが、自身が学んだSMCについて色々と発信していった結果、2020年頃から英語圏で爆発的に人気が高まり、その考案者であるMichael J. Huddlestone氏は教祖的な扱いを受けることになります。
Huddlestone氏のキャッチコピーは「I am the Mentor of your Mentor.(私はあなたのメンターのメンター)」です。「あなたのトレードの師匠も私から学んでいる」という意味合いになりますので、この時点でかなり自信家な印象を受けます。
スマートマネーコンセプトの基本概念
スマートマネーコンセプトは、その名前の通りスマートマネー(銀行やヘッジファンドなどの相場に大きな影響を与えられるほどの資金を持った機関投資家)の動きを理解してトレードすることを目的としたトレード手法です。
スマートマネーは相場を操る存在で、リテールトレーダー(個人トレーダー)を損させて、自身が利益を得ようとしている・・・というのがSMCの根底にあります。
そこから派生して、スマートマネーのポジションの取り方・考えを理解して、「いつも食い物にされているリテールトレーダーとは違ったトレードをやりましょう!」というのがSMCです。
スマートマネーコンセプトの記事一覧
スマートマネーコンセプトに対する批判
それでは、スマートマネーコンセプトに対する批判について以下の3点でまとめていきます。
- スマートマネー対する考え方への批判
- SMC手法に対する批判
- 考案者への批判
- SMCt御レーダーへの批判
スマートマネー対する考え方への批判
- スマートマネーにとって個人トレーダーのポジションなんて狙う価値もないくらい小さい
- スマートマネーと一言でいっても、市場には資金量や考えの異なるスマートマネーがゴロゴロいる
- スマートマネーとはいえ、そう簡単に思い通りに相場を動かせるわけがない
「スマートマネーが相場を動かせる説」に対する批判です。
SMCでは、スマートマネーは「相場を操作できる」「常にリテールトレーダーのポジションを狙っている」といった考えがあります。
巨大な力を持っているスマートマネーを、個人トレーダーの資金を脅かす存在として扱うわけです。
こうすることで、SMCを実践する個人トレーダーにスマートマネーを共通の「敵」として、そして分析すべき対象としてを分かりやすくイメージさせることができます。
また、スマートマネーに良いように食い物にされるトレーダーを「damb trader(馬鹿なトレーダー)」と呼び、「SMCを実践する自分たちこそ賢く、上手く相場から利益を引き出せるトレーダーである」といった差別意識を持たせることもできます。
しかし、「スマートマネー」の定義は曖昧でぼんやりとしたもので、「どれだけの資金力を持てばスマートマネーになり得るのか?」は不明です。
また、「本当にスマートマネーが相場を意のままに動かしているのか?」という疑問についても確かめようがありません。(実証も反証も難しい)
統計的に見ても、個人トレーダーの占める取引量はスマートマネーと比べれば圧倒的に少ないですので、スマートマネー同士が潰し合っていることの方が多いかとは私は思います。
日本は世界の中でもトップレベルで個人のFX取引高が多い国です。
世界中の個人トレーダーを足してもそれほど大きな割合にはならないため、やはりスマートマネー同士の戦いも多いことが考えられます。
SMC手法に対する批判
- SMCの手法は古典的な手法と一緒
- 言い回しを変えただけ
- 独特の用語が分かりにくい
- ワイコフを再利用したものに過ぎない
SMCでは「BOS」「CHOCH」「Order Block」など、様々な専門用語が出てきます。
それらはどれも他の解説書等にはないオリジナルの専門用語です。
そのため、英語圏のトレーダーであっても用語を覚えるのに苦労する様です。
しかし、それぞれの用語をひも解いていくと、実は昔からあった用語や概念を別の言葉で言い直したものも少なくありません。
SMCでは、需要と供給、プライスアクション、サポレジ、トレンド(日本語で言うところのダウ理論)といった伝統的なテクニカル分析手法の概念を使用しているものの、それらの多くについて新しい名前を付けて、新たな解釈で解説していることは事実です。
つまり、SMCは伝統的な手法をリパッケージしている点は否定できない事実ではあります。
SMCは斬新な考え方に見えるところもありますが、実は昔ながらの考え方を踏襲していますので、この批判は的を得ていると思います。
ただ、全てが伝統的な手法をリパッケージしたわけでは無く、これに「スマートマネー」という圧倒的な存在を付け加えて、それらを上手く利用することを根底にしたコンセプトが受けているのだと思います。
SMCが優れていると思える点
SMCでは様々な専門用語が存在しますが、個人的に優れていると思うのは、各高値安値のラインやゾーン、特定の値動きに対して意味を持たせている点です。
例えば、一般的な水平線を用いるライントレードでは「波の高値や安値」や「何度も反発しているレート」を中心にラインを引いていきます。
これらのラインは現在のレートより上ならレジスタンス、下ならサポートとして考えるわけですが、ラインが多いと「一体どれが重要なの?」と混乱することに繋がります。
しかしSMCでは以下のように値動きやラインに細かく名前を付けてそれぞれの役割を明確にして考えます。
こうすることで、相場の動きを深く理解して自分の狙いたいポイントを明確にすることができます。
これは非常に素晴らしいアイディアだと私は思います。
考案者への批判
- 複雑で難しいテーマを、さらに難しくしている
- 説明が分かりにくい
- カルト宗教の教祖の様だ
ハッキリ言って、SMCは難解で複雑です。
それをより難しくしているのがMichael J.Huddlestone氏(ICT)の解説・・・。
ICTはYouTubeで多くの動画を出していますが、それらはどれも長い反面、無駄話や自身の自慢話が多く分かりにくいと私は感じます。
「これは自分がネイティブではないからかな?」と思っていましたが、英語圏の人たちも同様に感じているようです。
また、ICTでは自分たちの戦略が他よりも圧倒的に優れていて、ICTやSMCに従わない人は間違っているといった思想もあります。
共通の敵や目標(ここではスマートマネー)を見つけ出し、そして「自分たちは他の者たちとは違う」と信じ込ませるのはカルト的な集団のやり方でもあります。
地球はどう見ても平面なのに、球面だと科学者は言っているが、それは陰謀だ。
嘘をついて利益を得る科学者の陰謀に負けてはならない。
我々は地球は平面であることを証明していくぞ!
このような宗教臭さや、自身をより高く持ち上げようとする態度から見ても、かつて自殺したmilk氏のワールドワイド版に感じられなくもありません。
ただ、個人的にはSMCはアイディアの宝庫であることは間違いないと思っていますし、上手く使えば相場の解釈の幅広がると思っています。
また、ICTは出金額を捏造していたなどの指摘もあります。
アンチが徹底的に追求した証拠画像なども多く、一部では「ICT=I Can’t Trade」などとも言われています。
特に解説が冗長で自慢話も多いことから、個人的には彼のYouTubeから学ぶのではなく、彼の手法を実践して勝てるようになった他の人の動画を見て学ぶ方が良いと思います。
また、アマゾンではSMCに関する電子書籍が数多く出ています。(アマゾンでSmart money conceptsと検索)
ほとんどが英語版ですがkindle unlimited参加者なら無料で読むことができます。
SMCトレーダーへの批判
SMCは一種のカルト的な人気があると書きましたが、熱狂的なSMC信者は、他の手法のトレーダーを見下したり、馬鹿にしたりする傾向があります。
更には同じ手法であるSMCを実践するトレーダーに対しても、ネット上で「お前は全然わかっていない」というコメントもよく目にします。
所謂「SMC警察」というSMCに関する知識量でマウントを取るような人たちです。
こういった人たちがネット上に多く出てくると、SMC自身やSMCを実践する人たちの印象が悪くなり、批判の対象になっています。
個人的には手法にや考え方に絶対的な正解は無く、「アイディアをどう使うか?、どうやって自分のやり方として落とし込むか?」が重要だと考えています。
アイディアを自分なりのやり方で検証して、トータルで勝てるなら採用する、そうでないなら使わない、これだけで良いと思います。
たったシンプルなことにも関わらず、他人のやり方等について批判したりマウントを取りたがる人たちの多いのです。おそらく彼らはトレードで利益を出せていない残念な人達なのでしょう。
SMCの長所と短所
最後に私がSMCを検証・実践して分かった長所と短所をまとめます。
SMCの長所
- 色々な思想的な考えはともかく、確かに低リスク・高リワードなトレードが出来る
- 基本は伝統的なライントレードの一種なので、王道から外れてはいない
- 水平線候補となる個所それぞれに名前を与えて、役割を持たせている
SMCはアイディアの宝庫です。
従来の王道的なライントレードを実践している方にとっては「こんな考え方もあるのか!」と思えるようなことや仕掛け方が沢山あります。
それらを自分なりに咀嚼して、検証して「自分のやり方」として確立できたらSMCを学んだ価値は十分すぎるほどにあると思います。
また、スマートマネーが個人トレーダーをターゲットにしているという説は疑わしいですが、大手金融機関が中小の金融機関を狙うことは確かにあるようです。その結果、liquidity sweepのような現象が見られるようです。
SMCの短所
- 裁量の範囲が広い
- 伝統的手法のリブランディング
- スマートマネーに対する考えについては、どうしてもファンタジーの領域を出ない
SMCは超裁量手法です。
基本的にはインジケーターは使いませんので、自分自身の目で波を見極めたり、各ラインの意味合いを考えていく必要があります。
そのため、情報を知っただけでは再現性の低いトレードしかできませんので、自分自身で検証していかなくてはいけません。
その点で言えばトレード初心者にとってはハードルが高いかなと思います。
また、SMCは伝統的手法をリブランディングしている点は否めませんが、伝統的手法を学んでいる人にとっては取っつきやすく感じられるメリットにもなるかなと思います。
「スマートマネー」の動きについては、証明も反証もできないのが現状です。
あくまでも推測の域を出ないものであることは頭に入れておきましょう。
まとめ
今回はSMCに関する批判についてまとめました。
SMCについては、どうも計算されたカルト臭がするのは否めませんし、手法の全てが完全に新しいものでもありません。
しかし、それでもトレーダーを魅了する斬新な考え方やエントリー方法があるのは間違いありません。
SMCを実践する方は、自分にとって納得のいく考えを取捨選択して、トレードの中に組み込んでいくと良いかなと思います。