今回は平均足から派生した平均足MAと平均足スムーズドについて考察します。
平均足MAと平均足スムーズドは、どちらともトレンド表示型の指標です。
両者とも平均足よりも滑らかに表示され、トレンド方向が見やすくダマシを回避できるため世界中で人気が高く、特に平均足スムーズドを利用した手法は数多く存在します。
googleで「平均足スムーズド」と検索すると「最強」といった関連キーワードが出てきます。
果たして本当に「最強」になり得るのでしょうか?
この記事を読めば、あなたも平均足スムーズドについて、かなり詳しいレベルになるはずです。
「平均足スムーズドって何?」という方も分かりやすく解説していますので是非ご覧ください。
更にわかりやすくなります。
Contents
平均足MAと平均足スムーズドの概要
平均足MAと平均足スムーズドはどちらも平均足をベースとしたインジです。
それぞれの詳細については後述しますが、
- 平均足MAは平均足の4本値(始値高値安値終値)をそれぞれ移動平均化したもの
- 平均足スムーズドは平均足MAの4本値を更に移動平均化したもの
と考えてもらえれば大丈夫です。
(人によっては平均足MAも平均足スムーズドとすることもありますが、平均足MAと平均足スムーズドを分けて考えます。)
平均足を移動平均化⇒平均足MA
平均足MAをさらに移動平均化⇒平均足スムーズド
平均足MAは平均足よりも滑らかに推移し、平均足スムーズドは平均足MAよりも更に滑らかに推移します。滑らかに推移するということは、ノイズの影響を受けにくく、真のトレンド方が見やすくなるメリットがあります。
下のチャートは平均足MAと平均足スムーズドの比較になります。
平均足スムーズドは平均足の改良版と考えている人も多いようですが、全てにおいて平均足スムーズドの方が優れているわけではありません。
パラメーター次第で全く違った指標と言っていいほど挙動は変わってきますのでご注意ください。
平均足MAについて
平均足MAの計算方法と仕組み
まずは平均足MAの計算方法について解説します。
平均足MAは平均足で求められた4本足それぞれについて移動平均化したものです。
下のチャートは通常の平均足です。
この平均足から得られる4本値(始値高値安値終値)それぞれについて移動平均線を求め、始値MAと終値MAの値を実体、高値MAや安値MAをヒゲとして表示したものが平均足MAです。
下のチャートの水色や紫色の足は、平均足を10SMA化した平均足MAになります。
平均足MAは平均足を更に移動平均化したものですから、現在の価格レートと乖離が生じます。
これは移動平均線とローソク足に乖離が生じるのと同じことです。
平均足MAの表示は複雑に見えますが、実は通常の移動平均線と考え方は同じです。
移動平均線も平均足MAも過去の値動きを平均化していることに違いはありません。
1日目の計算式
- 始値=(前日始値+前日高値+前日安値+前日終値)÷4
- 高値=当日高値
- 安値=当日安値
- 終値=(当日始値+当日高値+当日安値+当日安値)÷4
2日目の計算式
- 始値=(前日の平均足の始値+前日の平均足の終値)÷2
- 高値=当日高値
- 安値=当日安値
- 終値=(当日始値+当日高値+当日安値+当日終値)÷4
平均足MAのパラメーターについて
平均足MAのパラメーターの考え方は移動平均線と同じです。
つまり、平均足MAのパラメーターには
- 平均足をMA化する期間
- MAの計算方法(SMA、EMAなど)
の2種類があります。
平均化する期間が大きいほど平均足MAは滑らかになりますし、計算方法が違えば挙動が違ってきます。そのため、一言で平均足MAと言っても、パラメーター次第でその動きは全く違ってきます。
例1.平均足をHMA(20)化した平均足MA
例2.平均足をEMA(50)化した平均足MA
このように、平均足MAはパラメーター次第でその形状が大きく変わるということをまず知っておいてください。
平均足MAの使い方
平均足MAは平均足よりも滑らかな推移をしますので、トレンド方向を確認するのに使えます。
また平均足MAは移動平均線としての一面も持ち合わせていますので一種の支持線・抵抗線としての役割もあります。そのため、グランビルの法則的な使い方も可能です。
後述するMT4用のインジでは、平均足MAのマルチタイム表示が可能なものもあり、上位足の平均足MAを表示することで大きなトレンド方向とサポレジゾーンが視覚的に分かりやすくなるメリットがあります。
下のチャートは15分足に1時間足の平均足MAを表示させています。
トレンド相場では、平均足MAの中でも特に実体部分で反発することがよく見られます。
MTF表示することでより視覚的に分かりやすくなるのもメリットの一つです。
正に平均足と移動平均線を足して2で割ったような感じです。
ただし、本記事では平均足スムーズドを更にもう一度平均化してものを平均足スムーズドとしています。
平均足MAを表示できるインジケーター
それでは、平均足MAを表示できるMT4用のインジケーターをご紹介します。
heiken ashi averages
一番オススメできる平均足MA用のインジです。
数多くの平均化の計算方法が選択できる上に、マルチタイムにも対応しています。
また、陽線や陰線が切り替わるとアラートが鳴る機能まで付いています。
基本的な平均足MAからマニアックな平均足MAまでコレ一つで対応できますので、とりあえず平均足MAのインジが欲しい方はheiken ashi averagesが一番いいと思います。
Heiken_Ashi_MA_w_toggle
チャート左上のボタンをクリックすることで平均足MAの表示をオンオフできるインジです。
平均足MAを必要な時だけ見たい!という方にお勧めします。
heiken ashi averages histo
チャート下に、平均足MAが陽線か陰線かを示すインジです。
平均足MAは主にトレンド方向を見るために使うことが多いですので、陽線か陰線かだけを知りたいという方はこのインジだけで十分です。
また、このインジはheiken ashi averagesと同じく数多くの平均化の計算方法に対応し、マルチタイム表示も可能です。
Heiken_Ashi MA T3 new[Alert] mtf
平均足MAの平均化にT3MAを使うことができるインジです。
ちょっとマニアックにはなりますが、T3MAが好きな方向けです。
また、このインジは陰線と陽線が切り替わるとアラートやサインが出現したり、マルチタイム機能も付いています。
Hama Jurik
平均足MAの平均化にJMAが使えるインジです。
またマニアックになってしまいますが、JMAは相場のトレンド相場では急角度になり、逆にレンジ相場ではすぐに横ばいになるため、平均足系が苦手なレンジ相場を回避できるメリットがあります。
hama jurik histo
Hama Jurikのヒストグラム版です。
Hama Jurikの方向だけ分かればいいという場合に使えます。トレンドが切り替わった際にはアラートも鳴ります。
trend heiken ashi(+ histo) 1.1
2つの期間の平均足MAの方向を示すインジです。
上段のバーが短期、下段のバーが長期の平均足MAとなっており、それぞれの陰陽が転換するとサインが出ます。
例えば長期の平均足MAの向きが上で、短期も上に切り替わったタイミングは、絶好の買いチャンスになります。
他にもマルチタイムにも対応しており、上位足の平均足MAのトレンド方向を示すことも可能です。
平均足スムーズドについて
平均足スムーズドのしくみ
平均足スムーズドは、平均足MAの4本値を更に移動平均化したものになります。
つまり平均足、平均足MA、平均足スムーズドの関係性は以下のようになります
↓
↓(平均足の4本値をMA化)
↓
平均足MA
↓
↓(平均足MAの4本値をMA化)
↓
平均足スムーズド
平均足スムーズドは、平均足から数えるとトータルで3回も過去の値動きを平均化していることになります。過去のデータを何度も繰り返し使ってかき混ぜているわけですから、動きが滑らかになるのはイメージしやすいかと思います。
平均足スムーズドのパラメーターについて
平均足スムーズドは、平均足MAを更にもう一度MA化したものになります。
そのため、平均足スムーズドのパラメーターは以下の4つになります。
- 平均足をMA化する期間(平均足MA作成用)
- 平均足MAを作成するためのMAの計算方法(SMA、EMAなど)
- 平均足MAをMA化する期間(平均足スムーズド計算用)
- 平均足スムーズドを作成するためのMAの計算方法(SMA、EMAなど)
下の画像は平均足スムーズドを表示する一番基本的なMT4用のインジケーターである「Heiken_Ashi_Smoothed」のパラメーター設定画面です。
そのうち、片方のMAの期間を1とすると、実質的に平均化が1回しか行われませんので平均足MAが表示されることになります。
また、2つともMAの期間を1にすれば平均足が表示されることになります。
平均足スムーズドのパラメーターは無限大
繰り返しになりますが、平均足スムーズドは平均足を2回平均化したものです。
2回の平均化では、それぞれ計算方法と期間を選択しますので、その組み合わせは膨大です。
例えば1回目の平均化ではSMAを使って、2回目の平均化ではEMAを使って・・・といった感じで選ぶことが多いため、どのパラメーターが良いのかについて悩むことが多いと思います。
そこで、ネットで色々と検索して出てきたのが以下の組み合わせです。
パターン1 | パターン2 | パターン3 | |
1回目のMA種類 | EMA | EMA | SMMA |
1回目のMAの期間 | 3 | 10 | 6 |
2回目のMAの種類 | EMA | LWMA | LWNA |
2回目のMAの期間 | 3 | 20 | 2 |
SMAを使うことは少ないようです。
パターン1~3までの平均足スムーズドを表示したチャートをご覧ください。
期間や計算方法によって全く挙動が違います。
このように平均足スムーズドを構成するパラメーターは多いため、一言で「平均足スムーズドは使える」といっても説得力が無いのが正直なところです。
平均足スムーズドの使い方
平均足スムーズドの使い方は平均足MAと同じです。
より滑らかに表示され、ちょっとしたノイズによるダマシを回避できるため、トレンド方向を見たりエントリーフィルターとしても使えますし、「ほぼMA」なので、グランビルの法則的な使い方も可能です。
他にも上位足の平均足スムーズドを表示させて「一目均衡表の雲」的な使い方もできます。
下のチャートは15分足に1時間足の平均足スムーズドを表示させています。
平均足スムーズドを使った手法は数多くありますが、その例として過去の記事から2つご紹介します。
平均足スムーズドは「最強」なのか?
平均足スムーズドはちょっとインジケーターの中でも少し変わった表示になるため、興味を持つ人は多いと思います。
確かにトレンド方向が明確になってノイズが除去される効果はありますが、使用しているデータの元は過去のローソク足です。平均足スムーズドは、過去のローソク足の4本値を何度も混ぜ合わせたものに過ぎないことは知っておいてください。。
ローソク足の価格を割ったばかりの生卵とすれば、平均足スムーズドは生卵をハンドミキサーでトロットロになるまで混ぜたようなものです。見た目と口当たりこそ変わりますが、何か特別なフレーバーが加わっているわけではないのです。
私は個人的には平均足スムーズドは移動平均線の一種だと思っています。
単体では最強にはなり得ません。
上手に使うことでエッジを生み出すことは可能だとは思いますが、過度な期待や信頼はしないほうが良いと思います。(これはどんなインジケーターについても同じです。)
平均足スムーズドを表示するMT4インジケーター
最後に、平均足スムーズドを表示できるMT4用のインジケーターをご紹介します。
どちらとも値を「1」にすれば通常の平均足になり、1つだけ値を「1」にすれば平均足MAとなります。
Heiken_Ashi_Smoothed
一番基本的な平均足スムーズドです。
「マニアックな移動平均の計算方法は必要ないし、とりあえず平均足スムーズドを表示させてみたい!」という方はこのインジを使うことをお勧めします。
チャート左上のボタンをクリックすることで平均足スムーズドの表示をオンオフできるインジです。
平均足スムーズドは必要な時だけに見たい!という方にお勧めします。
また、色が変わった際にはアラートやメール送信機能も付いています。
AllHeikin-Ashi
平均足系ガチ勢専用のインジです。
このインジでは、様々な移動平均の計算方法から平均足スムーズドを表示することができます。
メジャーなものからマイナーなものまで揃っていますので、平均足系を弄ってみたい方にお勧めします。
また、このインジはマルチタイムに対応していたり、ローソク足の色が変わることで平均足スムーズドの陽転や陰転を示すようにすることも可能です。
AllHeikin-Ashi subwindow
前述のAllHeikin-Ashiのサブウィンドウ版です。
チャート下に平均足スムーズドを表示させることができますので、ローソク足をメインに考えながらも平均足スムーズドも使いたい!といったニーズに応えられます。
4 time frame heiken ashi smothed + alerts nmc
4つの時間足で平均足スムーズドが陽線か陰線かを示すインジです。
マルチタイムで相場の状況を見たい場合に使えます。
まとめ
今回は平均足から派生した平均足MAと平均足スムーズドについてまとめました。
これら2つのインジは平均足のトレンド追従機能を高めていますが、その代償として実際のレートとの乖離や遅延が発生します。これは、トレンドが加速するほど移動平均線と価格に乖離が生じるのと全く同じです。
この特徴を理解したうえで使用すると、有効的に使えるかと思います。
ぜひ参考にしてみてください。