今回はワイコフ理論とスマートマネーコンセプトを組み合わせた考え方について解説します。
ワイコフ理論とSMCの相性は非常によく、両者を一緒に考えることで、相場分析の精度が上がります。
SMCを実践されている方はぜひご覧ください。
尚、本記事は前回の記事の続きになっております。
前回のワイコフ理論について書いた記事を読まれていない方は、まずは以下のリンクからご覧ください。
Contents
ワイコフ理論とSMCを絡めるポイント
ワイコフ理論は非常に奥が深く、様々な角度から相場を見ることができますが、SMCと絡めるポイントとしては、以下に示すAccumulationとDistributionの値動きがあります。
ここで注目すべきがAccumulationやDestributionの最終局面で出現するSpringです。
Springは所謂ストップ狩りやダマシと言われる値動きで、トレンドの最高値や最安値を更新するも、すぐに否定されて逆行する流れになります。
このSpringを意識しつつ、上位足のオーダーブロックと一緒に考えることで、より自信のあるエントリーが可能になります。
Springで即エントリーは無謀な逆張り
ワイコフ理論のspringはトレンドの最終局面ではありますが、それまでに何度も高値や安値を更新しているため、「これがSpiringだ!」という値動きは、それからトレンドが反転した後でないとわかりません。
そのため、ちょっと高値や安値をブレイクして戻ってきたところで、Springと決めつけてエントリーするのは単なるハイリスクで無謀な逆張りになります。
そこで考えるのがマルチタイムフレーム分析です。
上位足のトレンド方向とオーダーブロックをシッカリと見極める必要があります。
例えば上位足は上昇トレンド中で、その押し目として下位足では下降トレンド中。
さらには下位足ではAccumulationが発生している・・・という状況でこの考え方が非常に役立ちます。
ここからは、ロングエントリーとショートエントリーに分けて解説していきます。
ロングエントリーポイント
ロングエントリーポイントとしての理想は以下の流れです。
- 上位足のOB付近まで下落(下位足セリングクライマックスが止まる)
- 下位足ではOBより少し上でAccumulationが始まる
- 最終局面のspringでようやく上位足のOBにタッチして反発
- 下位足で反転してCHOCH
- 下位足のOBまで戻したらエントリー
下の図は太い線が上位足の流れで、灰色の細い線が下位足の流れです。
上位足は上昇トレンド、一方で下位足は下降トレンド。
緑色の上位足のオーダーブロック(OB)の少し上でセリングクライマックス⇒Accumulationが始まり、最後の安値ブレイクのSpringで初めて上位足のOBにタッチして反発します。
その後、下位足レベルでもCHOCHとなりトレンドが転換して、再度下位足のOBまで下げてきた所でエントリーします。
これがロングエントリーの流れです。
ロングエントリーの例
それでは実際のチャートでエントリーポイント例をご紹介していきます。
(この例では1時間足を上位足、5分足を下位足とします)
まずは上位足である1時間足チャートを見ます。
流れとしては明らかな上昇トレンドです。
チャート右端では、大きく上昇する前のオーダーブロックまで下げてきています。
この時の状態を下位足の5分足で見ると以下のようになります。
チャート右端では1時間足のオーダーブロックにタッチしています。
それまでの流れを見るとオーダーブロックより少し上で下げが止まって反発、また下げる⇒反発、という値動きがありました。
これはAccumulationの流れで、現状はSpringが発生していると考えてよさそうです。
しかし、この時点でエントリーするのはハイリスクです。
しっかりと「下位足レベルでのCHOCH⇒オーダーブロックタッチ」の確認が必要です。
その後の値動きです。
Springと考えた下落後、しっかりと反発してCHOCHとなりました。
1時間足のオーダーブロックからFVGを伴う上昇だったため、5分足レベルでも分かりやすいオーダーブロック(ピンク)が描画できます。
あとは価格が5分足のピンク色のオーダーブロックにまで戻して来たらエントリーです。
オーダーブロックに到達したので矢印のポイントでエントリーします。
損切りはピンクのオーダーブロックの下限に置き、利食いは5分足もしくは1時間足の節目で行います。
その後の値動きです。
週末を跨いだので、エントリーからしばらくは大きな動きはありませんでしたが、それから大きく上昇しました。
ショートエントリーポイント
ロングエントリーポイントとしての理想は以下の流れです。
- 上位足のOB付近まで上昇(バイイングクライマックスが止まる)
- 下位足ではOBより少し下でDistoributionが始まる
- 最終局面のspringでようやく上位足のOBにタッチして反発
- 下位足で反転してCHOCH
- 下位足のOBまで戻したらエントリー
下の図は太い線が上位足の流れで、その後の灰色の細い線が下位足の流れです。
上位足は下降トレンド、一方で下位足は上昇トレンド。
緑色の上位足のオーダーブロック(OB)の少し上でDistoributionが始まり、最後の安値ブレイクのSpringで初めて上位足のOBにタッチして反発します。
その後、下位足レベルでもChochとなりトレンドが転換して、再度下位足のOBまで上げてきた所でエントリーします。
ショートエントリーの例
ショートエントリーについても、実際のチャートで解説していきます。
(この例では4時間足を上位足、15分足を下位足とします)
まずは上位足の4時間足チャートを見ます。
流れとしては明らかな下降トレンドです。
チャート右端では、大きく下落する前のオーダーブロックまで上げてきています。
この時の状態を下位足の15分足で見ると以下のようになります。
チャート右端では1時間足のオーダーブロックにタッチしています。
それまでの流れを見るとオーダーブロックより少し下で一度上昇が止まってレンジ的な動きが続いて、更に高値を更新してきます。
これはDestributionの流れで、Springが発生していると考えてよさそうです。
しかし、この時点でショートするのはキケンですので、しっかりと「下位足レベルでのCHOCH⇒オーダーブロックタッチ」の確認が必要です。
その後の値動きです。
Springと判断してからすぐに急落しました。
通常のCHOCHだけでなく、それより前の安値まで割っています。
下落の中には大きなFVGもありますし、15分足のオーダーブロック(ピンク)まではかなり距離があります。
一番の理想は、ピンクのオーダーブロックまでしっかりと戻してから再度下落するのが理想ですが、現在の下落の勢いで、そこまで戻す可能性も低そうです。
こう言った場合は、FVGの半値(青いライン)まで戻したところでエントリーすると上手く行くことが多いです。
その後の値動きです。
FVGの半値のラインに来たところでショートです。
損切りは少し広くなりますが15分足のオーダーブロック(ピンク)の高値に置いて、利食いは15分足や4時間足の節目で行います。
その後の値動きです。
しっかりと下落して安値を更新していきました。
上位足のOBの中でAccumlationやDistributionが始まったら注意
今回ご紹介したワイコフ理論とSMCを組み合わせた考え方で重要なのは、AccumulationやDistributionが上位足のオーダーブロックの外で発生するという点です。
上位足のオーダーブロックに接するのは最後のSpringのみ、というのが一番の理想です。
これは、Spring前の値動きはSMCで言うところの「Inducemnet」と考えることもできます。
しかし、相場は常にこのような都合の良い動きをすることばかりではありません。
当然ダマシもあります。
特に注意しておくべき値動きとしては、上位足のオーダーブロックに入り込んでからAccumulationが発生するケースです。
この図では、セリングクライマックスが上位足のOB内で発生し、その中でAccumulationが続きます。
上位足OBの中でAccumulationとなると、ダマシでエントリーする可能性が高まりますし、最終的に上位足のOBもブレイクしていくケースが多く見られます。
特ににセリングクライマックス前の流れがダラダラと下げ続けてきた場合は要注意で、上位足OB内でもジリジリと下げては反発してまた安値を更新する・・・という値動きになる可能性が高いです。
この点は注意してください。
まとめ
今回はワイコフ理論とSMCを組み合わせた考え方について解説しました。
上位足のOBと下位足のAccumulationとDistributionを一緒に考えると、より高い精度でエントリーポイントを見極められるだけでなく、ダマシも避けやすくなります。
また、チャートの波が分かりにくい時もあると思いますが、そういった時は総じて勝率が落ちます。チャートがメリハリのある波を描いている時に積極的に仕掛けることで、高勝率のエントリーが可能になります。
ぜひ参考にしてみてください。
以下の記事では勝率の高いオーダーブロックの見極め方について解説しています。
ワイコフ理論も絡むので参考になると思います。