私がトレードのコーチをしていた頃の話です。
トレードの事がある程度分かるようになった方たちから、
「トレードの調子が一気によくなりました。今月は勝ち越しです!」
と嬉しい報告を受けることがよくありました。
こういった報告は、教える側にとってはやりがいを感じるひと時ですし、「コーチをやっていてよかったなぁ」と心の底から嬉しく思えます。
しかし残念なことに、このような報告をしてくれる方の多くが、その後のトレードで調子を崩して、相談に乗ることがよくありました。
今回の記事では、勝てるようになった人が、なぜか調子が悪くなってしまう理由について考えてみたいと思います。
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短期的に勝てる=ずっと勝てるわけじゃない
それまでずっと勝てなかった人が、週単位、月単位で利益が出てくると、嬉しくて嬉しくて舞い上がった気持ちになります。
「ようやく自分も相場から利益が出せるようになった」
「今まで相場に支払ってきた授業料を回収する番だ!」
「勝つためのコツがつかめたぞ!」
私も経験がありますのでこのような気持ちになるのはよくわかります。
しかし、実はこのような「嬉しい」感情が落とし穴となる可能性もあるのです。
慢心、自惚れ、驕り、驕心・・・
負けていた人が、短期的に勝つようになると、それまでの考えがガラリと変わります。
トレードに対してネガティブで卑屈になっていた状態から、急に人が変わったかのように自信に満ちた状態になります。
特に思い込みの強い人は、
「もう自分はトレードで負けることが無い」
とすら考えます。
こういった考えは非常に危険で、次回以降のトレードでは「勝って当然」とか「負けるわけがない」と勘違いするようになるのです。
「勘違い」の状態は本人では認識することが難しく、他人から見る方がよくわかりますので、「相場は思うようにいかないものですから、気を付けてくださいね」とアドバイスはするのですが、ほとんどの場合で聞き入れてもらえません。
そのまま好調が続き、更に思い込みが強くなると、その時点のレベルでは無謀としか思えないほどのロットに変更して、大勝負を仕掛けることもしばしば。
その後の結果は悲惨なものです。
もっとアドバイスするべきだっただろ!と怒ってくる人、
恥ずかしそうに大損したことを告白してくる人、
など様々でした。
こうなった原因は言うまでもなく自分が負けるわけないという過信です。
無駄な過信は、トレードルールを無視させ、損切りを遅らせるのです。
調子に乗りやすい人は、実は○○なんです。
何人もの生徒さんと関わってきた経験から、トレードで少し勝てるようになるとすぐに調子に乗ってしまって、その後一気に不調に陥る人の特徴が分かってきました。
その特徴とは、「勝つための技術を持っていない人たち」だったのです。
トレードで一時的にも調子がよかったのは、単にその時の相場と相性が良かったから。
例えば日足レベルのトレンドが出ているときに、その方向へガンガンエントリーしてルールを無視して損切りをせずに放置していただけだった…と言う感じです。
つまり、サイコロを振り続ければ6の目が連続することがあるように、技術がないのにも関わらず、運よく勝ちが続いて舞い上がっていただけだったのです。
ですから相場の流れが変われば強運も続かないにも関わらず、本人は「勝てる」と信じているために強気の高ロットで仕掛けて、大ダメージを受けてしまうのです。
負け組から急に勝ち組に変わることの方が珍しい
私の経験上、そして私がコーチとして生徒さんを見てきた経験から言えるのは、「負け組から急に勝ち組に変わることは珍しい」という事です。
普通の人は、負け組⇒大負けも大勝もしない状態⇒徐々に利益を出す⇒勝ち組といった流れで、玉ねぎの薄皮を剥いでいくかのようにゆっくりと成長します。
調子が良いと勘違いしていた人たちは、負け組と大負けも大勝もしない状態の間をさまよっているだけなのです。
本当に勝ち続けられるようになる人は何度も何度も勝ちと負けのサイクルを経験して、相場に対する謙虚さを嫌と言う程学んでいます。
ごく稀に天才といえるこんな人もいましたが、本当にレアなケースです。
数年勝ち続けたトレーダーですらスランプが起こり得る事実
今回の話の趣旨とは少し逸れますが、長年勝ち組として相場から利益を得てきた人ですら、調子を崩して勝てなくなることがあります。
・生活スタイルが変わった、愛する人がいなくなった(亡くなった)
・トレードに対する考えが変わった
等々理由は様々ですが、勝ち続けることは大変なのです。
トレードに謙虚さは必要であっても、過剰な自信や慢心は一切必要ありません。
むしろ好調が続いたら「危険信号」と捉えて慎重にトレードをしていく事をお勧めしています。
良い時もあれば悪いときもあります。相場の動きと同じく波があります。
多少調子が悪くなっても、ルールを疑わずに取引を続ける事も、長期にわたって勝ち続けるコツです。
また、その一方で手法が相場に合わなくなってきたらそれに見切りをつけて他の手法へ移る見極めも大事になります。