
今回はボリュームプロファイルを利用したトレード戦略について解説します。
ボリュームプロファイルとは価格帯別出来高とも呼ばれる指標で、どの価格帯にどれだけのボリューム(出来高)があったかを示します。
これを利用することで、チャート分析の精度が大きく上がり、より高い確率で反発しやすい価格帯を見つけることができるようになります。
特にスマートマネーコンセプトやフィボナッチ・リトレイスメントとの相性が良いですので、本記事でもそれらと組み合わせたやり方・考え方をご紹介していきます。
Contents
ボリュームプロファイルとは
ボリュームプロファイルは指定した期間の値動きについて、どの価格帯にどれだけの出来高があったかを示す指標です。
通常のボリュームのインジケーターは各ローソク足1本が確定するまでのボリュームを示しますが、ボリュームプロファイルは価格帯ごとにボリュームを示す点が異なります。
それに伴って、通常のヒストグラムを右に90度回転したような見た目になります。
ボリュームプロファイルを使うことで、通常の価格と時間で判断するチャート分析に加えて出来高分析もできますので、より多角的な分析が可能になります。
また、ほかのトレード手法との相性も良く、様々な手法や考え方と組み合わせることで、より精度を高めることができます。
ボリュームプロファイルの概要については、以下の記事でも詳しくまとめています。
ボリュームプロファイルの使い方・見方
まずボリュープロファイルは出来高を集計する期間を指定する必要があります。
インジケーターによって集計期間が決まっているものもありますが、今回は自由に指定できる無料MT4インジの「Volume Profile Draggalbe」を利用して解説していきます。
Volume Profile Draggalbeは、以下に示すように赤い四角形で囲まれた期間・価格帯のボリュームプロファイルを表示する優れたインジです。
赤い四角形は自由にサイズの変更が可能で、動作も軽くて使いやすいお勧めです。
ボリュームプロファイルでは、指定した期間の値動きについて、各値幅ごとにどれだけのボリュームがあったかを示します。
例えば、下のチャートでは赤い四角で囲った期間の値動きについてボリュームプロファイルを表示しています。
集計されるのは4月11日0時~23:45の足が確定した期間のみですので、それより前、もしくは後の値動きについてはボリュームプロファイルは反映されません。
ボリュームプロファイルは様々な山を描きますが、右側に伸びているところほど、それだけボリュームがあったことを示します。
多くのボリュームがあった価格帯は、多くの取引があった価格帯となりますので、価格がそこに戻ってくると反発しやすい性質があります。
逆に伸びていない価格帯は取引量が少なかったため、価格が戻ってきた時には反発しにくく、ブレイクしやすかったり、すっと伸びてくる価格帯となります。
まとめると以下のようになります。
- ボリュームのある価格帯:その後に戻ってきたときに反発しやすい
- ボリュームの無い価格帯」その後に戻ってきたときは無反応もしくはブレイクしやすい
ボリュームプロファイルで覚えておきたい用語
ボリュームプロファイルの基本的な用語として重要なものが3つあります。
- POC
- HVN
- LVN
それぞれについて解説します。
POC(Point Of Control)
最もボリュームがあった価格のことをPOCと呼びます。
POCがその期間では最も反発もしくは滞留しやすいゾーンと考えることになります。
ボリュームプロファイルを利用する場合は、まず最初にPOCがどこにあるかを探しましょう。
HVN(High Volume Node)
HVNは、ボリュームプロファイル内で見られる目立った山になります。
多くの取引があった価格帯ですので、価格が戻ってきた場合に反発・滞留しやすいゾーンと考えます。特にPOCを含むHVNは効果の高いゾーンになります。
LVN(Low Volume Node)
LVNは、取引量が少ない価格帯で、ボリュームプロファイルの中でも特に目立った「谷」の部分になります。
このようなゾーンは、価格が急速に動くエリアになりやすく、サポートやレジスタンスとして機能するよりはむしろブレイクしていきやすい価格になります。
FVGが発生した価格帯もLVNになりやすいです。
LVNは、価格が素早く通過するゾーンであり、ブレイクアウトやトレンドの加速ポイントとして利用されることがありますが、単独での信頼性は低いといえます。
ボリュームプロファイルの表示方法
ボリュームプロファイルは有名な指標ですので、様々なプラットフォームで表示可能です。
MT4、MT5、TVそれぞれでボリュームプロファイルを表示するインジケーターのページをご紹介します。
TradingViewでボリュームプロファイルを表示するインジケーター集
前日の値幅にボリュームプロファイルを当てるトレード手法
それではこれからボリュームプロファイルを利用したトレード戦略をご紹介していきます。
ロングエントリー
まずは前日の値幅に対してボリュームプロファイルを当ててやります。
こうすることで、前日の値動きの中で、どこで取引が活発に行われたかが客観的に分かります。
例えば4月8日のユーロドルのボリュームプロファイルは以下のようになっていました。
黄色いラインが一番ボリュームのあったPOCで、値幅全体の真ん中あたりにボリュームが集中する形になっています。
これを踏まえて、翌日に、この日の高値か安値をブレイクした後に、再度POCあたりまで戻ってきたときにエントリーします。
以下が翌日の流れです。
翌日である4月9日は大きく上昇して前日の高値をブレイクしてから下げてきましたが、POIを少し割ってから反発しています。
POIを割ってから反発の動きはLiquidity Sweepと言える動きですね。
ちなみに、このスイングについてオーダーブロックを表示すると以下のようになります。
見事に黄色いオーダーブロックで反発していることになります。
このように、ボリュームプロファイルでボリュームの高い価格帯は、それだけLiquidityがあり、それをSweepしてオーダーブロックに到達すると高勝率のエントリーができることになります。
ショートエントリー
次がショートの例です。
3月24日のユーロドルのボリュームプロファイルは以下のようになっていました。
下げに動いた流れの中で、半値よりも少し上にPOCがあります。
そして、POCのすぐ下はLVNとなっている点も要注意です。
では翌日の動きを見てみましょう。
翌日は前日の安値を割ってから反発。
LVNを勢いよくブレイクしてPOCをSweepしてから反転して下げていきました。
この値動きについて、スイングの高値から安値にかけてフィボナッチリトレイスメントを当ててやると、POCの価格付近は61.8%のラインの近くにありました。
ボリュームプロファイルのPOCに加えて、オーダーブロックやフィボナッチなど、スイングにおいて反発しやすい価格帯と組み合わせて考えることで、より精度を高めることができます。
まとめ
ボリュームプロファイルは、ただのインジケーターではなく、市場参加者の意図を視覚化するための優れた分析ツールです。
本記事で紹介したように、
- POC(Point of Control):最も反発・滞留しやすい価格帯
- HVN(High Volume Node):過去に取引が集中したゾーンで、サポート・レジスタンスとして意識されやすい
- LVN(Low Volume Node):価格が素早く通過しやすいゾーンで、トレンドの加速点やブレイクアウトゾーンになりやすい
といった特徴を理解しておくことで、より精度の高いエントリーポイントや利確・損切りラインの設定が可能になります。
特に、前日の値動き+Volume Profile+Order Blockやフィボナッチを組み合わせることで、どこで待ち構えるべきか?が明確になり、感情に流されない戦略的なトレードが実現できます。
ぜひ今回の内容をもとに、実際のチャートでもボリュームプロファイルを活用してみてください。
あなたのトレードに、確かな「根拠」と「自信」が加わるはずです。