負けが連続しやすい「ペイバックサイクル」を避けて勝率を上げられるか?

1つの手法についてシステム的にトレードを続けていると、勝ちが連続する時や負けが連続する時があることに気づきます。

裁量トレードであっても、使っている手法と相場の値動きが合わない時は勝てませんし、逆に手法と相場がピタリとはまれば面白いように勝ちが続きます。

皆さんもこのような勝てるサイクルや負けるサイクルを経験したことがあるのではないでしょうか?

このようなサイクルは、トレードを始めとした確率を対象としたゲームでは避ける事は出来ません。

しかし、何とかして「負けのサイクルだけを避ける方法は無いのか?」と考えたところ、とあるアイディアが浮かびましたので検証してみたいと思います。

ペイアウトサイクルとペイバックサイクル

ボー・ヨーダーの著書「トレーディングエッジ入門」では、勝ちが続くサイクルを「ペイアウトサイクル」、逆に負けが続くサイクルを「ペイバックサイクル」と呼んでいます。

「トレードは勝ち負けを繰り返して利益を上げていく」というのが基本ですが、その「勝ち負け」の中には、「何をやっても勝てる気分」にさせてくれるペイアウトサイクルと、「この手法の賞味期限は終わったんじゃないの?」と思わせるペイバックサイクルがあるのです。

トレーディングエッジ入門では、ペイアウトサイクルとペイバックサイクル(通称PPサイクル)がもたらすトレーダーへの影響について以下のように解説してあります。

トレーディングには、スタイルごとに「完璧」なマーケット環境が存在する。

マーケットが自分の戦略に合っていれば、仕掛けたトレードがスムーズに行き、損失がでることはほとんどないため、積み上がっていく利益を見ながら最高の気分になるだろう。

連勝が続いて簡単に儲けを手にすれば、興奮と自信は高まっていく。

しかし、残念ながら、この素晴らしい連勝が望み通り長く続くことはめったにない。

マーケットの環境はいずれ変化する為、たとえそれがほんのわずかでも、再び損失が出始める。

トレードの勝率が少しずつ低下していくと同時に、躁うつ病的サイクルが始まってトレーディングが以前のように上手くいかなくなると、それまでの興奮と高揚感がいら立ちと痛みへと変わっていく。

この「ゼロ」から「ヒーロー」に駆け上がってから再び「ゼロ」に戻る定期的なサイクルこそ、ビジネスとしての投機が失敗する確率が高い理由だと筆者は考えている。

私がかつてコーチをしていた時に気づいた事があります。
それは、生徒さんの調子が明らかに崩れるのは、好調なトレードが続いた後である、ということです。

好調なペイアウトサイクルの後には不調なペイバックサイクルがやってきます。
この時にメンタルまで狂わされて、必要以上に大きな損失を出して心理的にやられてしまうケースが非常に多いわけです。

PPサイクルをイメージしてみよう

ではPPサイクルを更に理解するために、とあるトレードシステムの例を考えて見ましょう。

ローソク足が10EMAを上抜いたらロング、ローソク足が10EMAを下抜いたらショートする、というドテンルールです。

このルールで下のチャートでトレードしたら、ペイアウトサイクルとペイバックサイクルは明確に見えてくるはずです。

すでに上のチャートにも記載してありますが、左半分はローソク足が明確な波を描いているため、損小利大で面白いくらいに勝てるペイアウトサイクルです。

しかし右半分はレンジになっているため、往復ビンタだらけのペイバックサイクルです。

この例では非常にシンプルな例ではありますが、どんなトレード手法であっても、得意とする値動きの後には苦手とする値動きが出現するものです。相場の変化こそがPPサイクルが起きる要因となるのでしょう。

ペイバックサイクルを避けるには?

トレーダーであれば、負けが連続するペイバックサイクルを避けたい、と思うことでしょう。
そうすれば、勝ちトレードだらけになります。

現実としてはペイバックサイクルだけを完全に避ける事は出来ませんが、トレード手法について深く検証することで、勝ちやすい相場や負けやすい相場を理解することはできます。

そして負けやすい相場でトレードしなければ、結果的にはペイバックサイクルを多少なりとも避ける事は可能になるでしょう。

 

そして一点、面白いことを思いつきました。
それが「トレード手法の勝率が限りなく下がったところでトレードを始めて、勝率が上がったところで一端トレードを止める」というやり方です。

負けの続くペイバックサイクルが起きれば、当然のように勝率は落ちます。
勝率が完全に落ちてくると、次は勝ちの続くペイアウトサイクルがやってくるはずです。

つまりこのやり方はペイアウトサイクルが始まる頃合いを見計らってトレードを開始し、逆にペイバックサイクルが始まる前にトレードを休止するのです。

斬新ですね。
ここからが本題ですので詳しく解説していきます。

勝率は常に変動している

例えば、勝率50%の手法があったとします。

勝率50%と言えば、勝ち⇒負け⇒勝ち⇒負け・・・というサイクルをイメージしがちですが、現実にはそうはならず、勝ちが集中したり、負けが集中することもあります。

勝率は、それまでのトレード結果から「トレード回数」と「勝ちの回数」のみから導き出されたものに過ぎません。ですから、その過程の一部を取り出してみれば、勝率2割りだったり8割だったりするのです。

エクセルのランダム発生機能を使ってシミュレーション

では、勝率の変動の波は一体どれくらいあるのか?を調べるために、エクセルのランダム発生機能を使って、勝率5割のトレードを500回行ったシミュレーションをしてみました。

このランダム発生で得られたデータは以下の通りです。

トレード回数:500回
勝ちトレード:251回
負けトレード:249回
勝率は50.2%)

(一応設定としては損益率1.0の全くエッジのないルールとしています)

細かい結果はコチラよりご覧ください。

正に勝率5割のトレード結果を吐き出したわけですが、各トレードについて「直近10回分のトレード結果から得られた勝率の推移」をグラフ化してみると以下のようになりました。

どうでしょうか。
トータル500回分のトレードでは勝率5割です。

しかし、その中の10回毎のトレードの勝率について細かく見ていくと、勝率はオシレーターのように大きく波を描き、正にサイクルとなっています。

勝率が下がってきたらトレード開始

では、勝率が著しく下がったときにトレードを始めて、逆に勝率が上がってきたらトレードを休止する、としたらどうでしょうか?

上のグラフの赤い矢印は、直近10回分の勝率が2割まで下がったらトレード開始、そして8割まで上がったらトレードを休止する、としています。

ここだけでトレードしたとしたらどういう結果になるのでしょうか?

結果は以下の通りです

トレード回数:242回
勝ちトレード:125回
負けトレード:117回
勝率:51.7%

勝率が1.5%だけ上昇しただけでした・・・。
グラフで見ると、勝率が上がるところだけでトレード出来ているようにも見えますが、やはりいいとこ取りは難しいのでしょうか。

直近10回分の勝率を移動平均化してみたらどうだろうか?

勝率が下がって来たところでトレードを開始、勝率が上がったら休止、というやり方ではあまり良い結果とならないことが分かりました。

確かに上の勝率グラフを見るとかなりギザギザしているのは否めません。
そこで直近10回分の勝率の値を更に移動平均化(MA5)して少し滑らかにしてみました。

これを先ほどと同じように勝率2割まで下がったらトレード開始、8割を超えたらトレード休止、というルールで検証してみます。

トレードする所は上の赤い矢印のポイントになります。
結果は以下のようになりました。

トレード回数:116回
勝ちトレード:69回
負けトレード:47回
勝率:59.5%

何とか勝率が10%ほど上げられました。
ただ、パラメーター次第ですので偶然な感じもします・・・。

 他にも直近20回分の勝率をグラフ化して見てみる、直近10回の勝率が直近20回の勝率を超えたらトレード開始・・・など思いつきましたが、数字遊びになるだけですので止めておきます。

勝率のサイクルを見て、勝率を大きく上げるのは難しい

今回、エクセルのランダムデータを利用して、「勝率が著しく落ちたところでトレード開始、勝率が大きく上がったところでトレード休止」としたら勝率が上がるのかを検証しました。

結果としては、一応勝率を上げられましたが、実際にシミュレーションした私の感想としては、あまり手応えがありませんでした。

しかし、上手くやればエッジのない手法であってもエッジを持たせることは不可能ではないでしょうし、エッジのある手法(特に勝率低めの損小利大型)であれば、さらにそのエッジを研ぎ澄ます事も可能かもしれません。

自分自身のトレード結果から勝率のサイクルを見る価値はあるでしょう。

本記事の続編があります。
興味のある方はこちらもご覧ください。

 

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