
今回は、SMCでよく使われる「Inducement」という考え方について解説します。
Inducementを簡単に言えば、市場参加者をエントリーさせるダマシの動きです。
例えば自分がエントリーしたのにすぐに損切になった後に、狙っていた方向へ動き出した経験はないでしょうか?
このような動きがInducementです。
本記事を読むことで、ダマシの理屈とそれを避ける方法、そしてInducementを利用したエントリーポイントが分かるようになります。
ぜひご覧ください。
本記事の動画版もあります。
以前書いたInducementの記事は以下からご覧ください。
Contents
Inducementとは
Inducementは日本語にすると「誘導」「誘い込み」といった意味になります。
SMCにおけるInducementとしては、「いかにもエントリーしたくなる形を作ったあと、そのポイントを一度否定してから、本来の方向へ動く」といった値動きをInducementとして捉えます。
例えば、
- きれいなブレイクアウトが起きたので買った
- きれいなオーダーブロックができたので入った
- FVGまで戻ってきたので反発を期待した
こういったエントリーをしたとします。

ところが、その直後に価格が逆方向へ動いて損切り。
そのあと、自分が最初に予想していた方向へ価格が伸びていく・・・

こうした経験は、トレードをしていると珍しくありません。
- ピンポイントで狩られて自分はマイナス。
- だけど相場は狙ってい方向に動いていた。
これはストレスのたまるトレードですよね。
人によってはイライラが増大してリベンジトレードを仕掛けるきっかけにもなりそうです。
SMCでは、このようにトレーダーを早い段階でエントリーさせ、その損切り注文が溜まったあとに流動性を取りにいくような値動きをInducementとして説明します。
2種類のInducement
今回の記事ではInducementを2つに分けて解説します。
- Structual Inducement(構造的なインデュースメント)
- Liquidity Based Inducement(流動性をベースとしたインデュースメント)
ではそれぞれについて解説していきます。
1. Structural Inducement
1つ目は「Structural Inducement」というもので、市場構造を利用した誘い込みです。
これはBOSやCHoCHといった市場構造の変化が、一見すると成立したように見えるケースです。
例えば上昇トレンドを考えてみます。
価格が高値を更新し、BOSが発生しました。

普通なら、「上昇トレンドが継続している」と考えます。
そこでBOSを作った起点のオーダーブロックまで価格が戻ってくれば、「ここから買おう」と考えるトレーダーが増えます。

ところが、価格はそのまま下落して、オーダーブロックで買いを入れた人たちのポジションは損切りされてしまいます。

こういった動きが生じやすいのは、特に勢いのあるトレンド相場の局面で、以下の画像のように直近のbosとなる前の押し目が比較的浅い時です。

実際のチャートで確認
以下のチャートは、上昇トレンド中の値動きです。

強い上昇中で、チャートの右端では押し目を作っています。
ここで押し目買いを入れるのであれば、以下のオーダーブロックが理想となります。

直近の上昇スイングの起点辺りの価格帯ですね。
ではその後の動きはどうなったかというと・・・

オーダーブロックの存在を無視したかのように下げました。
この要因を探ってみると、直近の押し目のスイングがその前のスイングに対して非常に小さくなっていることが分かります。

押しのスイングはその前の上昇スイングの38.2%よりも小さくなっています。
スイング判断は個人に委ねられますが、38.2%以下のスイングは小さく、人によっては一つのリトレイスメントとして認めない人もいるほどです。
そこで、先ほどの小さな下げの部分を「押し目」とせずに一つの波とすると、以下のような波になります。

この場合、黄色いゾーンが強い反発が見込めるオーダーブロックになります。
では更にその後の動きを見てみましょう。

オーダーブロックに当たって反発しています。
このように勢いのあるトレンドがあって、その中で生じる比較的小さな押しや戻りからBOSとなる場合は要注意です。
2.Liquidity-Based Inducement
2つ目が「Liquidity-Based Inducement」というもので、流動性を利用した誘い込みです。
こちらは、おそらくチャート上で最も頻繁に見るタイプです。
例えば、「小さな高値」「小さな安値」「同高値」「同安値」といった「誰でも見つけやすいポイント」がダマシ、つまりはinducementとなってしまうケースです。
まずLiquidity-Based Inducementがどんなものか図で見てみましょう。

この図は上昇トレンド中で、青いゾーンがオーダーブロックになっています。
その押し目の過程の中で、画像のように一時的に安値を作ってから反発したり、小さなダブルボトムを作って反発することがあります。
この形を見ると、「もうここで反発するかもしれない」と考えて、早めに買う人が出てきます。
その買いポジションの損切りは、当然その小さな安値の下に置かれやすくなります。
つまり小さな安値の下にSell-Side Liquidityが形成されます。
その後価格が再び下落。

先ほどの安値あたりにあったsell side liquidityを使ってさら下げることになります。
そして買いポジションのストップを巻き込んだあと、本来注目していたオーダーブロックまで到達して上昇。
これがよくあるinducementです。
実際のチャートで確認
では実際のチャートで確認しましょう。
下のチャートは上昇トレンド中で、オレンジのゾーンがオーダーブロックです。

その後押し目を作って下げてきましたが、狙っていたオーダーブロックではないところでレンジを経て反発のような動きを見せています。

ここでは反発を見越して買いが入っていると考えられます。
しかし、その後は下落。

この下落によって、オーダーブロックより上に生じた上下の動きはInducementで、更に下げるために流動性を作っていたと考えることができます。
そして価格はオーダーブロックに到達してから反発を見せます。
その後の動きです。

しっかりと反発していきました。
このように、本命の狙いたいポイントの手前に分かりやすい形ができた場合、それをすぐに本物の反転ポイントと判断するとInducementにやられることがあります。
Inducementをどうトレードに使うのか
Inducementを覚えたからといって、「この形は全部罠だ」と考えてしまうのも危険です。
チャートを後から見れば、どんな値動きでもInducementだったと説明できてしまうからです。
ですから実際には、
- 上位足の方向
- 執行時間足の方向
- 主要な高値・安値
- Premium・Discount
- FVG
- Order Block
などの要素と組み合わせて判断する必要があります。
そして重要なのは、「最初に予定していたエントリーしたい水準に到達していないところで反発の兆しが見えた場合は要注意」という事です。
逆に、「エントリーしたい水準に到達する前の段階で、明らかなダマシの動きがあったなら、自信をもって入れる」という事ができます。
これらを意識することで、Inducementという考え方はかなり実戦的になります。
チャートを見る際の参考にしてもらえれば幸いです。

























