前回はSMCにおいて重要な時間帯である「キルゾーン」について解説しました。
今回は特定の時間帯の価格である「CBDR」についてご紹介します。
CBDRを知っていると、その日の高値や安値がどのあたりに来るのかが予測しやすくなったり・・・とトレード戦略を組み立てる上で非常に役立ちます。
日によって使える時とそうでない時もありますが、特定の値幅内であれば精度は高いです。
ICTで解説されている概念ではあるものの、SMCから独立して他の手法と組み合わせることも可能です。
本記事ではCBDRの定義から使い方までを詳しく解説していきます。
CBDRとは?
CBDRとは「Central Bank Dealers Range(セントラルバンク・ディーラーズ・レンジ)」の略で特定の時間帯の値幅のことを指します。
CBDRは、「中央銀行、マーケットメーカー、金融機関等が価格を管理している」と仮定する時間帯のレンジになります。
この値幅を知ることで、当日の高値や安値がどの辺に来るのかの予想を立てることができます。
そのCBDRとなる時間帯は以下の通りです。
(時間の流れが分かりやすいように、キルゾーンも一緒に掲載します)
時間帯 | 日本時間 (サマータイム時) | 日本時間 (通常時) | NY時間 (EST) |
CBDR | 3:00 - 9:00 | 4:00 - 10:00 | 14:00 - 20:00 |
アジア・レンジ・キルゾーン | 9:00 - 13:00 | 10:00 - 14:00 | 20:00 - 0:00 |
ロンドン・オープン・キルゾーン | 15:00 - 18:00 | 16:00 - 19:00 | 2:00 - 5:00 |
ニューヨーク・オープン・キルゾーン | 20:00 - 23:00 | 21:00 - 24:00 | 7:00 - 10:00 |
ロンドン・クローズ・キルゾーン | 23:00 - 25:00 | 24:00 - 26:00 | 10:00 - 12:00 |
CBDRを求める時間帯は、アジア・レンジ・キルゾーンの前の6時間になります。
日本時間では深夜~東京時間開始後くらいですので、1日の中では値動きの小さな時間帯です。
一般的には取引量も少なく、重要視されない時間帯ですが、コレが意外な影響力を持っています。
CBDRの求め方
CBDRは、ニューヨーク時間の14時~20時の値幅を求めるわけですが、単にこの6時間の高値と安値を求めるのではありません。
1時間足を表示して、この時間帯のローソク足の実体レベルでの高値と安値をCBDRとします。(ヒゲも含めるやり方もありますが、実体ベースの方が信頼性が高くなります。)
下のチャートの四角で囲ったところがCBDRです。
CBDRが求められたら、その上下に、同じサイズ(値幅)のレクタングルを追加していきます。
下のようなチャートになります。
追加したレクタングルは、中央のCBDRに近いものから「1SD~3SD」という名前になります。
CBDRはそれ単品で利用するのではなく、一緒に1~3(もしくは1~4)SDを表示させます。
これでCBDRの準備が出来ました。
CBDRの利用方法
CBDRは当日の高値や安値を求める際の参考に使えます。
(CBDRは冬時間であれば日本時間で午前10時に決まります)
多くの場合、当日の高値や安値は3SD以内に収まることが多いです。
前出のチャートは、2SDを少し抜けた辺りが当日の高値となりました。
もう一例ご紹介します。
こちらは大きく3SD間を大きく上下する推移となりました。
指標やサプライズ等で4SDを抜けることはありますが、普通の相場であれば3SD内を推移すると想定できます。
このように、CBDRを利用することで当日の値幅の範囲が視覚化され、「どのあたりが高値、安値になるか」の検討もできるようになります。
さらに以下のようなことが言えます。
- 上昇する日であれば、1SD~2SDまで下げてから上昇することが多い
- 下落する日であれば、1SD~2SDまで上げてから下落することが多い
「今日は上げる!」と思える日に、CBDRの下の1SDまで下落して、他の条件がそろっていたらロングする・・・といった戦略と相性が良いのです。
また、2SD~3SD辺りをデイトレの利食い値としての参考できます。
CBDRの注意点
CBDRの精度はなかなか高いのですが、注意点があります。
それが値幅のサイズです。
CBDRのレンジが大きすぎると信頼性が大きく落ちます。
理想としては20~30pips程度になります。(通貨ペアやその時のボラティリティによる)
ですので、40pips未満のCBDRだけを使うようにしてください。
また、CBDRの信頼性が上がるのは火曜日~木曜日です。
特に週を跨ぐ月曜日はあまり参考になりません。
CBDRを表示するインジケーター
CBDRを求めるのは簡単ですが、チャートに描画するのは少々面倒です。
また、過去の検証をする際もちまちま四角を描画していくとかなり時間がかかります。
そこでCBDRを描画する便利なインジケーターである「_ICT_CBDR_V2」をご紹介します。
このインジは、自動でCBDRとその上下にSDを表示します。
レンジの値幅も表示してくれるので、信頼性のあるCBDRかどうかも一目でわかりますし、その後のキルゾーンの時間帯にもラインが引かれます。
これを使えば、当日の高値と安値の検討をつけやすくなりますし、過去検証もやりやすくなります。
以下が設定例です。
Include wicks to calculate CBDRはfalseにしてください。
(falseにすると、ヒゲを含まずに計算します。)
TradingViewでもCDBRを表示するインジケーターがあります。
CBDRを使うトレード戦略
最後にSMCを絡めたCBDRを使うトレード戦略をご紹介します。
具体的には、オーダーブロックとCBDRが重なる時に積極的に仕掛けるやり方です。上手く行けば当日の高値や安値からピンポイントで逆張りできるので、大きな利益が期待できます。
まずは1時間足でCBDRを求めて、15分足に切り替えます。
CBDRのレンジは小さいため信頼性がありそうです。
ここから15分足のオーダーブロックを探します。
今回のケースでは、15分足のオーダーブロックは上下の1SDの付近にありました。
このようにCBDRとオーダーブロックが重なる場合、オーダーブロックまで戻ってから反発する確率が上がります。
その後の動きです。
最初に上のオーダーブロックと1SDに当たってから下落しました。
(ここが当日の高値となりました)
その後、下のオーダーブロックと1SDまで下落して、CBDR内に入り込んでから再度下落して3SDに到達しました。
このように1~3SDとオーダーブロックが重なると、その価格帯で反発する可能性が大きく上昇します。特にKill Zoneの時間帯にSDに向けて動くことが多いです。
まとめ
今回はCBDRについて解説しました。
KillZoneと比べるとあまり言及されないことの方が多いのですが、実際に使ってみると結構使える指標になります。
もちろん検証は必要ですし、CBDR単品だけでトレードするのは推奨しませんが、CBDRのSDとオーダーブロックが重なっている時や、他の指標が反転を示しているときなどには、エントリーを強く後押しする情報として利用できると思います。
ただし、CBDRのレンジが大きすぎると参考になりませんので40pips以下の時だけを利用してください。