今回は、世界的に有名である無料のシグナルインジケーター「ASCTrend」を利用して勝てるルールについて考察しました。
ASCTrendはかなり良いところでサインが出る反面、サインの数自体が多いため、勝てるサインを選別してやる必要があります。
そこで様々なフィルタリングを施したインジケーターを作成して、無裁量で勝てるサインの出方を検証しました。
この記事を読めば、ASCTrendを知っている人も知らない人も、そのポテンシャルに驚くはずです。
なお、本記事の動画版もあります。
Contents
ASCTrendとは?
ASCTrendは、トレンドフォロー型のサイン型インジケーターで、相場の波が切り替わったあたりでシグナルが出ます。
ロジックはラリー・ウィリアムズの考案したWilliams%Rをベースとしており、WRPが「買われすぎ」になったら買いサイン、「売られすぎ」になったら売りサインが出ます。
オシレーターは上限や下限で逆張りするのが一般的ですが、ASCTrendはその逆の発想になっています。
ASCTrendは2003年~2004年頃にはロジックとして確立されており、その後は多くのトレード手法やシステムに組み込まれています。他にも様々な亜種的なインジケーターも存在しています。
ASCTrendの詳しいロジックやパラメーターの詳細については以下の記事をご覧ください。
ASCTrendの特徴、メリット・デメリット
ASCTrendは相場の波が明確で、しっかりと上下する動きであれば、かなり勝てるシグナルを出します。
例えば下のチャートでは、相場動きの多くを捉えられていることが分かります。
このような動きが続けば、ドテンルールで取引を続けてもトータルでプラスになります。
しかし良いことばかりではありません。
ASCTrendも、トレンドフォロー型のシグナルの宿命である短い期間で相場の上下が見られるレンジ相場は超苦手です。
レンジ相場に入ると、サインの出現頻度が一気に増えてダマシシグナルが連発するのがASCTrendの大きな弱点と言えます。
しかし、この弱点さえ克服できれば、大きく化けるインジケーターになることは想像に難くありません。言ってみれば使い所さえ間違えなければ、有能なシグナルになるのです。
ASCTrendの弱点を解消するために
ASCTrendはレンジ相場に弱い・・・。
逆に言えば、レンジ相場を避けて、トレンド発生中にトレンド方向にのみ仕掛けてやればASCTrendは無敵になります。
そこで様々なアイディアからASCTrendのシグナルが出る条件をフィルタリング(制御)して、勝てるところだけでサインが出るようなインジケーターを作ってみました。
今回試行錯誤しながら思いついたフィルタリングのアイディアは以下の4つです。
- 1本の移動平均線
- 3本の移動平均線
- ボリンジャーバンド
- 移動平均線とボリンジャーバンドの組み合わせ
できるだけシンプルなルールでASCTrendをフィルタリングしましたが、意外にもいい結果が得られました。
移動平均線でフィルタリングする
まず最初に思いついたのが移動平均線でのフィルタリングです。
条件は以下の通りです
- 価格が100EMAよりも上なら、ASCTrendのロングサインのみを表示する
- 価格が100EMAよりも下なら、ASCTrendのショートサインのみを表示する
100EMAを境に上昇トレンドか下降トレンドかをフィルタリングするだけのシンプルなルールですが、効果はあるのでしょうか?
それではEMAフィルター付けたASCTrendを表示したチャートをご覧ください。
なかなか良い感じでフィルタリングできました。
100EMAを境にサインの出る方向を決めるだけで、これだけ精度が高まるのであれば、使う価値がありますね。
しかし、完璧というわけではありません。
下のチャートのように、トレンドが進みすぎて100EMAと大きく離れている時のサインは、高値圏や底値圏での保合いとなることが多くなります。
「トレンドが進みすぎている時のサインを避けることは出来ないか?」
そう考えて、3本のEMAでフィルタリングすることにしました。
3本のMAでフィルタリングする
100EMAを基準にしてトレンド方向を決めるのは同じですが、トレンドの押し目や戻りに特化した形でサインを出すべく、3本のEMAを使ってASCTrendをフィルタリングすることにしました。
ルールは以下の通りです。
ロングサインの条件
- 価格が100EMAよりも上にある
- 100EMA(長期)よりも20EMA(中期)と10EMA(短期)が上にある
- 20EMAと10EMAがデッドクロスしている
この条件を満たしている時にASCTrendの買いサインが出たらロングシグナルとして表示するようにしました。画像で解説すると以下のようになります。
(売りサインはこの逆になります)
それでは作成したインジケーターのサインをご覧ください。
サインの数はかなり絞られることにはなりましたが、トレンドが行きすぎたところでのサインは減ってしっかりと押し目や戻りを狙えるようになりました。
もちろん完璧ではありませんが、リスクリワードの高いサインを出します。
ボリンジャーバンドでフィルタリング
次に考えたのがボリンジャーバンドです。
これで色々と試行錯誤した結果、20期間のボリバンの±1σを跨いだ足でASCTrendのサインが出るとなかなかいい結果になることが分かりました。
条件は以下の通りです。
- ボリバンの-1σを跨ぐ足にASCTrendのロングが出たら買いのサイン
- ボリバンの+1σを跨ぐ足にASCTrendのショートが出たら売りのサイン
チャートに示すと以下のようになります。
かなりシンプルですが、驚きの結果になりました。
作成したサインをご覧ください。
こちらも良いところで取れていますよね。
通常のASCTrendと同じく相場の押し目やトレンドの切り替わりとなるところでサインが出ていますが、こちらの方が明らかに精度が上がっています。
ボリバンとASCTrendの相性も良い感じですね。
ボリンジャーバンドと移動平均線を組み合わせる
ボリバンを使ったフィルタリングが良い結果となったので、「これに100EMAのフィルターを加えたら更に精度が上がるんじゃないか?」と考えてシグナルを作りました。
条件は以下の通りです。
- 価格が100EMAより上で、ボリバンの-1σを跨ぐ足にASCTrendのロングが出たら買いのサイン
- 価格が100EMAより下で、ボリバンの+1σを跨ぐ足にASCTrendのショートが出たら売りのサイン
チャートに示すと以下のようになります。
ではサインをご覧ください。
サインを見た感じとしては、単純な100EMAのフィルタリングよりも洗練されたサインを出します。
また、ボリバンの条件のおかげで自然とトレンドの押し目や戻りに特化した形でサインが出ますし、100EMAを跨ぐレンジ相場では逆張り用のサインとしても使えます。
総合力が高く、信頼性のあるシグナルを出すインジケーターになりました。
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