
本記事では、Liquidityのある価格帯であるLiquidity Zone(流動性ゾーン)とオーダーブロックの違いについてわかりやすく解説します。
Liquidity Zoneは、相場の大きな流れを把握するために有効であり、オーダーブロック(Order Blocks)はスマートマネーの売買ポイントを特定するためのツールです。
この2つを組み合わせることで、相場の方向性とエントリーポイントを同時に見極めることができ、勝率・リスクリワードの改善が期待できます。
Contents
Liquidity Zone(流動性ゾーン)とは?
「Liquidity Zone(流動性ゾーン)とは、相場の中で売買注文が特に多く集まる価格帯のことです。
過去に多くの取引が行われたレベルや、リテールトレーダー(個人投資家など)の損切り注文(ストップロス)が集中している場所などが該当します。
基本的に価格は流動性が溜まっている場所に向かって動きます。
なぜなら、「そこに注文が集中している=取引相手が見つかりやすい」からです。
機関投資家にとっては「大量注文を効率よく通すためのターゲット」とも言えます。
具体的には
- 同時高値や同時安値
- 長いヒゲによる強い反発
- レンジの高値や安値
- トレンドラインの上下
などに多くのLiquidityがあります。
以下がliquidity zoneのモデル図です。
ここに示す灰色(liquidity zone)は、スマートマネーに狙われやすい価格帯と言えます。
そのため、liquidity zoneに価格が到達した際は、今後スイープするのか、それともブレイクしていくのかをローソク足のサイズやヒゲなどから判断していく必要があります。
オーダーブロックとは?
オーダーブロックは、主に特定のローソク足を通して、スマートマネーが大きな注文を入れたと考えられる価格帯のことです。
特に以下の条件を満たすと信頼性が高まります。
- 直前にliquidityをスイープ(吸収)している
- 反発時にFVGが生じている
- オーダーブロック形成後に、一度も価格が戻ってきていない(unmitigated)
以下が理想的なオーダーブロックのモデルです。
明確なスイープ後にFVGを伴う反発が非常に重要になります。
実際のオーダーブロックの例
■買いのオーダーブロック
安値を付ける直前に以前の目立った安値を一時的に割ってから反発して、トレンドを上にブレイク(BOS)しています。
■売りのオーダーブロック
以前の高値(ダブルトップ)を一時的に上抜けするsweepが発生した直後に勢いよく下落してBOSとなっています。
Liquidity Zoneとオーダーブロックの比較表
Liquidity Zoneとオーダーブロックの違いについて比較表を作りましたのでご覧ください。
特徴 | Liquidity Zone | オーダーブロック |
形成の根拠 | 市場参加者の注文が集中している価格帯 | スマートマネーが入ったと考えられる価格帯 |
判断方法 | レンジ、ヒゲ、特定のパターン | Liquidity Sweep、FVG |
価格帯の広さ | 状況によるが広いときもある | ローソク足1本~数本レベル |
トレードでの役割 | 市場全体の動きを把握 | スマートマネーの売買意図を読む |
使い方 | トレンドとスイープもしくはブレイクしやすい価格帯を把握 | 精度の高いエントリーに活用 |
両者の根拠として大きく違うのが、
- liquidity Zoneはリテールをはじめとした一般市場参加者のストップロスが多くある価格帯
- オーダーブロックはスマートマネーが入ったと考えられる価格帯
という点です。
これをしっかりと理解しておけば、混同することはないと思います。
ただし、オーダーブロック自体が目立った高値や安値を含む価格帯になりやすいため、その周辺は自然とリテールトレーダーのストップロス注文が必然的に集まる傾向があります。
その結果として、Liquidity Zoneとオーダーブロックは重なりやすい傾向があります。
相場の状況によっては、オーダーブロックをスイープしてから反発することがあるのは、このような理由からです。
スイープ&リバーサル戦略
最後にLiquidity Zoneとオーダーブロックを把握して仕掛けるトレード例をご紹介します。
4時間足の把握
4時間足の動きは以下のようになっていました。
トレンド方向としては下ですが、現在はスイングレンジの中で小さな上下の波を描いており(インターナルスイング)、流れとしては上向きにになっています。
つまりは、「大きな流れは下ではあるけども、短期的にみれば上向きの流れになっている」ということですね。
そして現在の足は以前生じたFVGに付近にあり、ここから更にFVGを埋めるような動きが期待できます。
15分足の把握
4時間足から15分足にチャートを切り替えるとこのようになっていました。
現在は上昇トレンド中です。
直近では何度も上昇を止められたレートを上にブレイクしており、スイングの安値付近が目立ったオーダーブロックになります。
Liquidity Zoneを形成
その後15分足では、小さな上下を繰り返してから更に高値を抜けていきました。
小さな上下の安値あたりを見ると、近いレートで止まっては反発して・・・を繰り返いしていますので、これらはLiquidity Zoneと考えることができます(灰色)。
つまり、この価格帯に多くのストップ注文が入っていると考えるわけです。
急激なSweepからの・・・
その後、急激な下げが発生してLiquidity Zoneをスイープしていきました。
これはFOMCの発表直後の動きです。
超重要指標ですので、スマートマネーの動きが関与していると言えます。
そして価格はオーダーブロックに下ヒゲを付けています。
その後の動きを見てみましょう。
勢い良く反発して上昇していきました。
結果的にFOMC時の動きはストップ狩りで、その下にあるオーダーブロックで大きな買いが入ったことになります。
このように、liquidityの多くある価格帯とオーダーブロックをしっかりと把握しておくことで、スイープ→オーダーブロックの反発の値動きで上手にエントリーすることができます。
まとめ
今回は混同しやすいLiquidity(Zone)とオーダーブロックについて、それぞれの特徴や違いについて解説しました。
Liquidity Zoneは市場参加者のストップロス、オーダーブロックは機関投資家の意図を読み取るためのツールです。
両者を組み合わせて考えることで、より精度の高いエントリーポイントの特定、リスクリワードの改善、スイープの予測・判断などに活用できます。
ぜひ検証して、うまく使いこなしてください。