特定時間帯の「スイープ」反転を狙うシンプル手法解説

今回は特定の時間帯に生じたliquidityをスイープして反転する動きを狙う手法について解説します。

この手法は、これまでに解説してきたSMC関連の手法の中で最も簡単で、だれでも実践できる手法と言えます。

マルチタイムフレーム分析不要で、特別なインジケーターも不要。
そして裁量判断も不要です。

15分足を使うためチャンスは多くはありませんが、対応できる通貨ペアも多く、ロンドン時間やニューヨーク時間でトレードできる方にお勧めです。

トレードする時間帯について

今回ご紹介する手法で最も重要なのが時間帯です。

具体的にはアジアレンジキルゾーンの高値や安値をスイープした後やロンドンオープンキルゾーンの高値や安値をスイープした後の値動きを狙います。(スイープの定義については後述します)

キルゾーンとは、特定の市場参加者が活発に取引する時間帯のことです(例:ロンドン時間の始まりなど)。
スイープとは、注文の集まっている価格を一時的に突破し、その後すぐ反転する動きのことです。

各キルゾーンの時間帯は以下の通りです。

時間帯

日本時間

(サマータイム時)

日本時間

(通常時)

NY時間

(EST)

アジア・レンジ・キルゾーン

9:00 - 13:00

10:00 - 14:00

20:00 - 0:00

ロンドン・オープン・キルゾーン

15:00 - 18:00

16:00 - 19:00

2:00 - 5:00

ニューヨーク・オープン・キルゾーン

20:00 - 23:00

21:00 - 24:00

7:00 - 10:00

これらの時間帯に生じた高値や安値を、次のキルゾーンでスイープしたことを確認したら逆張りします。

そのため、必然的にトレードできる時間帯もロンドンオープンキルゾーンとニューヨークオープンキルゾーンの2つの時間帯のみになります。

スイープの定義について

スイープの考え方については色々とありますが、今回の手法におけるスイープとは、「高値や安値を実体では抜けず、ヒゲだけで突破した後に反転する動き」を指します。条件は次の2つです。

  1. 前のキルゾーンの高値や安値をヒゲだけでブレイクする(実体では抜けない)
  2. 次の足で逆線が出る

イメージとしては以下のような感じです。

前のキルゾーンの高値や安値を実体でブレイクした時点でスイープとは判断しません。
あくまでもヒゲだけで抜けて、終値レベルではレンジ内に戻ってきている必要があります。

そして次の足で逆向きの足が確定したらスイープと判断します。
上の画像では2本のローソク足でスイープ成立となっていますが、高値をヒゲで抜けて陰線が確定した場合は、それ1本だけでもスイープと判断します。

スイープについても裁量判断が不要となります。

手法について

それでは今回ご紹介する手法について詳しく解説していきます。

使用するのは15分足のみです。
ルールは以下の通りです。

  • アジアレンジキルゾーンの高値や安値を、次のロンドンオープンキルゾーンの時間帯でスイープしたら逆張りでエントリー
  • ロンドンオープンキルゾーンの高値や安値を、次のニューヨークオープンキルゾーンの時間帯でスイープしたら逆張りでエントリー

エントリーポイントとしては以下のようなイメージです。

時間帯も決まっており、スイープの定義もしっかりとしていますので、裁量判断無しでトレードが出来るのが大きなメリットです。

損切はスイープした高値や安値に置きます。
利食いルールについては後述します。

実際のエントリー例

では実際のチャートでエントリー例をご覧ください。

これはロングエントリー例です。
アジアレンジの時間帯の安値をロンドンオープンでスイープして反発した所でロングエントリーです。

ショートエントリーの例です。
アジアレンジの高値をスイープして反転し、しかもその値動きは包み足になっています。

本手法のスイープの定義では包み足になる必要はありませんが、ここで包み足が出ると信頼性が大きくアップします。

手法の注意点

本手法では、前のキルゾーンの高値や安値をスイープした所で逆張りを仕掛けますが、キルゾーンではない時間帯にスイープもしくはブレイクが生じた場合、その後のエントリーは見送ります。

このチャートではアジアレンジとロンドンオープンの間の時間帯で、アジアレンジの安値をスイープしています。

このような値動きが生じた場合、ロンドンオープンの時間帯に入って更に安値をスイープしたとしてもエントリーはしません。(アジアレンジの高値はスイープしていないので、ロンドンオープンでアジアレンジの高値をスイープした場合はショートエントリー可能)

そのため、キルゾーン間の時間帯の値動きは、高値や安値をブレイク&スイープしないことがエントリーするための前提条件となります。

手法の優位性と利食いルールについて

今回ご紹介した手法について、過去のチャートで検証した結果をまとめます。

  • 検証期間:2025年5月から7月の3か月間
  • 検証通貨ペア:ユーロドル、ドル円、ゴールド
  • 損切:スイープの高値/安値
  • 利食い:損切幅の1~5倍(1R~5R)

利食いについては損切幅の何倍にするかを変えて検証しています。(1R~5R)

例えば1Rのルールであれば、損切幅分と同じ値幅だけ順行したら利食い、3Rのルールであれば、損切幅分の3倍順行したら利食いとなります。

各利食いルールについて、3か月分の検証でトータルでどれだけのRが取れたかを比較します。

ユーロドル

EURUSD

トレード回数

トータルR

勝率

1Rルール

17

5R

64.7%

2Rルール

17

10R

52.9%

3Rルール

17

14R

47.1%

5Rルール

17

9R

23.5%

3R設定で高い総利益(14R)を記録

ユーロドルでは3か月間で17回のチャンスがありました。

リスクリワード1の1Rルールでは勝率が64.7%で、完全無裁量にも関わらず高勝率になっています。
この条件でもトータルで5R取れていますので、優位性があることが分かります。

しかし、利食い幅を大きくすると更に取れるRは多くなり、3Rルールになるとトータルで14Rにもなりました。もし1回のトレードでリスクを口座資金の1%とした場合、14%も資金が増えることになります。

ドル円

USDJPY

トレード回数

トータルR

勝率

1Rルール

13

1R

53.8%

2Rルール

13

2R

38.5%

3Rルール

13

7R

38.5%

5Rルール

13

11R

30.1%

利確幅を伸ばすほど総利益が増える傾向

ドル円は3か月間で13回のチャンスがありました。

リスクリワード1の1Rルールではトータルで1Rと微妙な結果でしたが、3Rルールでは7R、5Rルールでは11Rと利食いを伸ばすと結果が向上するのはユーロドルと同じでした。

ゴールド

5R設定では総利益15R

ゴールド

トレード回数

トータルR

勝率

1Rルール

15

1R

53.3%

2Rルール

15

3R

40.0%

3Rルール

15

5R

33.3%

5Rルール

15

15R

33.3%

ゴールドでは3か月間で15回のチャンスがありました。

こちらも1Rルールでのトータルは1Rでしたが、利食い幅を伸ばせば伸ばすほどトータルRは多くなる結果となりました。

ちなみに7月が特に結果が良かったです。

利食いは3Rあたりベスト

3つの通貨ペアについて検証した結果としては、どれも優位性があることが分かりました。

リスクリワードを1にした場合はそれほど優位性はありませんが、3R程度設定すれば、無裁量にも関わらず十分すぎる利益が得られると思います。

もちろんその分だけ勝率は下がってしまいますが、優位性を信じてトレードし続ける価値はあるでしょう。

補足「R」について

今回の検証結果で出てくる「R」という単位は、トレードにおけるリスクの大きさを基準化したものです。

1R = そのトレードで設定した損切幅分の損失を意味します。

なぜRを使うのか?

同じ戦略でも、相場状況によって損切幅は毎回変わります。

例えばある日は15pips、別の日は40pipsかもしれません。
そのため、単純に「何pips勝ったか」だけでは戦略の性能を正確に比較できません。

Rを使えば、損切幅が違っても成果を同じ基準で評価できるようになります。

ロット調整の考え方

Rの考え方を実践するには、1回のトレードで口座資金の何%をリスクに取るかをまず決めます。
多くのトレーダーは1〜2%程度に設定します。

例えば:

  • 口座資金:100万円
  • 1回のリスク:1%(= 1万円)

この場合、損切幅が違っても、損切にかかったら必ず1万円負けるようにロットを調整します。

Rでの利益計算例

1R = 損切額(= 口座資金の1%)

もし1回のトレードで3R獲得したら、そのトレードでは口座資金の3%分を増やしたことになります。

今回の検証ではユーロドルの3Rルールでトレードを行った場合、3か月間で14Rの利益を得ることが出来ました。14Rということは、1回の損切額の14倍の利益が得られたことになり、1%ルールであれば口座資金が14%も増えたことになります。

まとめ

今回はキルゾーンの高値や安値をスイープした後に仕掛ける逆張り手法について解説しました。

「時間帯」「スイープ定義」「損切位置」が明確ですので、完全無裁量でも実践可能なのが大きなメリットです。

特に利確幅を3R程度に設定すると高い総利益が得られる傾向にあります。

デメリットとしてはチャンス自体は多くないことや勝率がそれほど高くないことが挙げられますが、ロンドン・NY時間にトレードできる人には相性が良いと思います。

裁量判断を減らし、シンプルなルールで一貫性あるトレードをしたい方におすすめの戦略です。

 

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