今回はロブ・ホフマンという方が考案した「Inventory Retracement Bar」というローソク足のパターンとそれを利用したトレード手法をご紹介します。
ブレイクアウトを狙う手法ですが、エントリーポイントは少し意外な所になります。
本記事では、Inventory Retracement Barとそれを利用した手法について詳しく解説します。
また、IRBを表示するMT4インジケーターについてもご紹介しています。
Contents
考案者のロブ・ホフマン氏について
Inventory Retracement Barの考案者であるロブ・ホフマン氏は様々なトレーディング大会でチャンピオンとなった実績のあるトレーダーです。
彼のサイトによると、以下のような実績があるようです。
- Salon DU Trading:CTAやヘッジファンドマネージャーなど16人の選りすぐりのトレーダーで1日かけて行われる大会。ロブは3回優勝
- The International Traders EXPO:75分のリアルタイムトレードを対決をする大会。ロブは11回優勝
- Infiity futures:インフィニティ・フューチャーの開催した第1回目のライブトレードチャレンジで優勝
他人の監視下のある中で取引をするのは、通常のトレード以上にプレッシャーがあるものだと思いますが、それでもこれだけの実績を残せるのは凄いと思います。
ロブ・ホフマン氏の詳細については、彼の公式サイトからご覧ください。
Inventory Retracement Barについて
それでは本ページのメインであるInventory Retracement Bar(IRB)について解説します。
IRBはヒゲの長いローソク足のことで、具体的には以下の条件になります。
- 買い:上ヒゲの長さが足全体の45%以上を占める足(ロングエントリーする際に利用)
- 売り:下ヒゲの長さが足全体の45%以上を占める足(ショートエントリーする際に利用)
条件としては非常にシンプルですので、以下のような形の足がIRBに含まれます。
ピンバーや同時足などもIRBに含まれることになります。
Inventory Retracement Barを使ったトレードルール
IRBは上昇トレンドもしくは下降トレンドが出ている際に、ブレイクアウトを狙う水準として利用します。
ルールは以下の通りです。
- 現在が明確な上昇トレンド中で、過去20本以内の足に買いのIRBが出現している
- IRBの高値をブレイクしたらエントリー
ショートエントリールール
- 現在が明確な下降トレンド中で、過去20本以内の足に売りのIRBが出現している
- IRBの安値をブレイクしたらエントリー
ロングエントリーの例
買いのIRBの高値をブレイクした赤いラインの所でエントリーになります。
損切りはIRBの安値に置きます。
ショートエントリーの例
売りのIRBの安値をブレイクした赤いラインの所でエントリーになります。
損切りはIRBの高値に置きます。
トレンドの判断方法について
IRBを使ったブレイクを狙う場合、しっかりとしたトレンドが出ていることが絶対条件になります。レンジ相場でエントリーしても勝てません。
そのため、本手法ではトレンド判断が特に重要なポイントになります。
トレンドの判断方法については色々とありますが、ホフマン氏は20EMAと上位足の利用を推奨しています。
20EMA
20EMAは様々な手法やトレーダーから利用されるインジケーターです。
リンダ・ラシュキの考案した「聖杯」も20EMAを利用する手法ですので、トレンド判定基準としては信頼性が高いと言えます。
ホフマン氏は、「20EMAの角度が約45度の時にエントリールールを満たしていれば良い」としていますが、チャートの縮尺によってEMAの角度は大きく異なるため、参考になりません。
そこでお勧めしたいのが、angleofmaというインジです。
これは移動平均線の角度を客観的に示すオシレーターで、MAの角度からトレンドの強さを定量的に分析することができます。
以下から無料でダウンロードできます。
例えば下のチャートでは、メイン部分に20EMAを表示し、サブチャート部分に20EMAに設定したangleofmaを表示しています。
角度については、現在の足の20EMAと20本前の20EMAの値の差から求めるようにしています。
オシレーターの値が0より上にあればMAは上昇中、0より下にあれば下降中になり、絶対値が大きいほどそれだけ急角度で上昇・急下降をしていることになります。
この値が少なくとも30以上、もしくは-30以下でオシレーター自身が勢いよく上昇・下降時に仕掛けるのが理想かなと思います。(-30~30の値の時はレンジと判断する)
どの値がベストかを検証する際にも使えます。
参考として上のチャートの設定は以下の通りになります。
マルチタイムフレーム分析
トレンド判断のもう一つとしてマルチタイムフレーム分析があります。
ホフマン氏は、一つ上の上位足(5分足なら15分足)を参考にしてトレンド判断するとよい、としています。
IRBを表示するMT4インジケーター
IRBを表示するMT4インジケーターをご紹介します。
以下のボタンをクリックでダウンロードできます(無料)
チャートにセットすると以下のようになります。
- 買いのIRBは上ヒゲに赤い♦
- 売りのIRBは下ヒゲに緑の♦
が表示されるようになります。
また、チャート上にのボタンをクリックすると表示のオンオフができます。
IRBの条件は足1本だけで決まりますので、思いのほかIRBが多く出現していることに気づくはずです。
単にサインの出た足の高値や安値をブレイクしたころでエントリーしても勝つのは難しいですので、しっかりとしたトレンドが出ている時だけにエントリーすることを心がけてください。
パラメーター設定は以下の通りです。
設定ではIRBのヒゲの比率の変更やアラート変更ができます。
理想のエントリーポイント
それでは今回ご紹介したIRBやインジケーターを利用して理想的なエントリーポイントをご紹介したいと思います。
ロングエントリー
これが理想的なロングエントリーポイントです。
白色の20EMAが勢いよく上昇中で、サブチャートのオシレーターも値が約40で右肩上がりになっています。
そして重要なこととして、直近で赤い♦の出た足が1つしかありません。
IRB自体はよく見られる足ですが、エントリーする際に、直近で沢山エントリー方向の♦があると伸びにくく、損切りに当たりやすい傾向にあります(私が検証した限り)。
そのため、上のチャートのようにIRBを示す♦の出現頻度が少なくなっている時が理想です。
その後の値動きです。
エントリー後、ある程度進んでから下落して損切り(IRBの安値)にタッチしました。
リスクリワード2に設定していたら勝ちトレードになっています。
ショートエントリー
これも理想的な流れです。
20EMAはしっかりと下を向いており、オシレーターも下向きで-45に近い値です。
直近で2個緑の♦が出ていますが、個人的には過去20期間の中で一番安値を付けた緑♦ブレイクでエントリーが良いかなと思います(ロングの場合は逆)。
その後の値動きです。
しっかりと下げて、リスクリワード2以上は取れました。
IRBまとめ
今回はロブ・ホフマン氏の考案したInventory Retracement Barについてご紹介しました。
IRB自体は比較的簡単に見つかりますが、単にIRBをブレイクした所で入ることはオススメしません。
出来ることなら以下の条件を満たしたところで入ることをお勧めします。
- IRBの出現頻度が少ない所(目立ったヒゲが目立たない値動きの所)
- 明確にトレンドが出ている(20EMAにしっかりと方向が出ている)
これらについて自信を持って判断するためにも、インジケーターを利用して総合的に判断することをお勧めします。