今回はThe ICT Silver Bulletという手法を解説します。
名前の通り、SMCの総本山であるICTさんが公開されている手法で、特定の時間帯に条件を満たした時に取引をするスキャルピングになります。
Silver bullet entryというパターン。
①ニューヨーク時間にレンジを破って勢いよく戻る。
②FVGを伴って反発し、再度FVG内に入り込んだところでエントリー pic.twitter.com/5I7eiYYlIL— 正太郎@FX専業トレーダー (@shotaro_forex) June 13, 2023
1日に3回、各1時間のスパンの中でチャンスが来たらトレードするだけですので、トレードに時間を取れない方や、長時間チャートが監視できない方にも実践しやすいのが特徴です。
また、これまで解説してきたSMCを理解している方であれば、それほど難易度も高くありませんし、アレンジもしやすいと思います。
特定の時間帯だけでパパっと稼ぎたい方は是非ご覧ください。
しかし、ICTならではの曖昧さもあって、手法の解釈についてはそれぞれ若干の違いがあります。
本記事でご紹介するやり方も、正太郎の解釈による一つのやり方としてご覧ください。
ICT Silver Bulletのルールについて
それでは早速手法のルールについて解説していきます。
トレード可能な時間について
- ニューヨーク時間の3時~4時(夏時間で日本時間の16時~17時)
- ニューヨーク時間の10時~11時(夏時間で日本時間の23時~24時)
- ニューヨーク時間の14時~15時(夏時間で日本時間の3時~4時)
ICT Silver Bulletでは上記の3つの時間帯のみでエントリーが可能です。
通常のMT4で採用されているGMT+3(夏時間)の場合は、下のチャートのラインで囲われている時間帯になります。
- 10時~11時
- 17時~18時
- 21時~22時
これらの時間帯はスマートマネーが入ってきやすく、ストップ狩りの値動きが頻繁に見られます。
Silver Bulletでは、このストップ狩りが発生した後に逆行していく値動きを狙います。
通常のSMCの手法では、相場の構造(Market Structure)を非常に重要視しますが、Silver Bulletではそれよりも時間帯を重要視することで、煩雑になりやすい相場の構造分析を少し省略しながらも高精度のトレードができます。(とは言っても、やはり相場の構造は重要です)
特定の時間帯に縦線を引くMT4インジは以下をご覧ください。
使用する時間足
ICT Silver Bulletで使用する時間足は5分足以下が望ましいです。
取引時間が1時間しかないため、必然的に1分足になるかとは思います。
それ以下の30秒足や15秒足でも利用できますが、その分だけダマシも多くなります。
重要なライン
ICT Silver Bulletで重要なのが流動性のある価格帯です。
これらの価格帯を一時的にブレイクした後に、それがダマシとなって反転してきた所を狙います。
具体的に流動性のあるラインは以下のものがあります。
- 直近の目立った高値・安値
- 前セッションの高値・安値
- 前日の高値・安値
- 前週の高値・安値
- 当週の高値・安値
特にこれらのレートに初めて当たった際は、多くの流動性が得られます。
ここから反転してきた場合は良いエントリーが出来ることが多いです。
エントリー条件
それではエントリー出来る条件について解説していきます。
- トレード可能な時間帯にLiquidityのある価格帯に到達する(Liquidity sweep)
- それから強く反転してFVGが生じてCHOCHする
- 再度FVGの価格帯まで戻したらエントリー
エントリーまでの流れについては、これまでに解説してきたSMCの手法を理解されている方なら馴染みがあるはずです。
ただ、通常のSMCではFVGの先にあるオーダーブロックまで戻してからエントリーを仕掛けますが、Silver BulletではFVGに戻してきた時点で仕掛けます。
値動きの早い時間帯の場合、オーダーブロックまで戻さずにFVGで反転することが多いからです。
実際のチャートでエントリーポイントの確認
それでは実際のチャートでエントリーポイントを確認していきます。
トレード開始前のチャート
これはニューヨーク時間3時(日本時間で16時)のチャートです。
この時点ですでに直近の高値を勢いよくブレイクしており、特に16時の足(一番右の足)では「高値更新⇒強い下げ」と反転の兆しを見せています。
トレードプランとしては、ここからFVGを含む下げとトレンド転換のCHOCHが生じた後に、再度FVGまで上げてきたところでショートを仕掛けます。
FVG+CHOCHの発生
それから少しして、トレンド転換のCHOCHとなりました。
CHOCHする前の足を見ると、目立って大きなFVGが生じています。(FVGが大きいほど良い)
コレで条件が揃いました。
このままFVGにタッチしたらショートを仕掛けます。
ショートエントリー
FVGにタッチしたのでショートエントリーです。
損切りは直近の高値に置いて、利食いはそれまでの流れの中で目立った安値に置きます。(この辺はリスクリワードを考えながら調整してください)
その後の値動き
その後は順調に下げました。
右側の赤い縦線がトレード時間終了を示すラインです。
この時間内にポジションを手仕舞わないといけないというわけではありませんので、伸ばしたい場合は更に伸ばしてもいいかなと思います。
次の時間帯のトレード
では同日の次のエントリー(日本時間23時~24時)のチャートも見ていきましょう。
トレード開始前のチャート
トレード開始前の時点では、少しレンジ的な動きになっています。
その結果、流動性(liquidity)のある価格帯が上下に出来ています。
とりあえずは、時間内にliquidityのラインをブレイクして、反転するのを待ちたいところです。
FVG+CHOCHの発生
それからしばらくしてliquidityのあるライン2本を大きく上にブレイクして下落してCHOCHしました。
CHOCHする前の下げの勢いは強く、FVGが連なっています。
このようにFVGが連なって非常に大きな価格帯となっている場合は、損切り幅が非常に広くなって割に合わないトレードになりやすいので、FVGの半値(50%)のラインでエントリーします。
タイムアウト
その後、エントリーチャンスを待ちましたが、FVGの50%ラインに届かずトレード時間の終了。
エントリーならず・・・でした。
ICT Silver Bulletの特徴
では最後に、私が検証・実践して感じたSilver Bulletの特徴についてまとめます。
取引時間帯が決まっているので楽
Silver Bulletの一番の特徴は取引時間が決まっていることです。
このおかげで、1日3回やってくる特定の時間帯前後だけトレードに集中することができます。
取引時間も短いことから必然的にスキャルピングになりますが、相場が動きやすい時間帯に絞りますので、効率よくトレードが出来るのは間違いありません。
また、エントリー終了時間が決まっているため、スキャルでやってしまいがちな「負けるまでダラダラと取引を続ける」と言ったことも避けられます。
リスクリワードは低め
Silver BulletはSMCの中ではリスクリワードレシオは低めです。
その一番の要因はFVGタッチでエントリーするからです。
SMCの基本は、FVGの先にある「オーダーブロック」に到達して仕掛けますが、Silver Bulletはそれよりも早いタイミングで仕掛け、損切りはオーダーブロックの上限もしくは下限に置きます。
その結果、必然的に損切り幅が広くなり、リスクリワードが低下します。
しかしそれでも、リスクリワード2程度なら問題なく取れると思います。相場の状況に応じて柔軟に調整すると良いでしょう。
liquidityは大事
Silver Bulletは、liquidity sweepの起きやすい時間帯を利用して、sweep後の反転を狙ってエントリーします。
そのため、Liquidityの有りそうな価格帯をチェックしておくのは非常に重要です。
各セッションの高値安値を把握するのに使えるインジは以下をご覧ください。
当日・前日高値安値、週の高値安値を表示するインジは以下をご覧ください。
時間帯によってチャンスの頻度が大きく変わる
前述の通り、Silver Bulletは3つの時間帯でエントリーが可能です。
- ニューヨーク時間の3時~4時(夏時間で日本時間の16時~17時)
- ニューヨーク時間の10時~11時(夏時間で日本時間の23時~24時)
- ニューヨーク時間の14時~15時(夏時間で日本時間の3時~4時)
私が検証した限りでは、欧州勢が入る日本時間16時~17時の値動きが一番激しく、エントリーチャンスも多くて、取れる値幅も広いです。
このロンドンオープンが一番のオススメです。
その次が日本時間23時~24時です。
ロンドン中盤からニューヨーク時間がレンジだったらそれなりにチャンスがあります。
そして日本時間3時~4時は市場参加者も少なく、あまりチャンスはありません。
大して値幅も取れないので、夜更かししてチャンスを待つ価値はそれほど無いかな?と思います。
そのため、日本時間16時~17時、23時~24時をメインにトレードすることをお勧めします。
まとめ
今回はSilver Bulletについてご紹介しました。
Silver BulletはオーダーブロックではなくFVGでエントリーする手法です。
FVGでエントリーする手法の場合、どちらかといえば短期決戦型で低リスクリワードになりがちですが、その分だけトレードしやすくてチャンスが多いのも特徴です。
liquidityについて深く学べる手法でもあるので、検証してみるだけでも学びがあると思います。