
今回は3つ以上のFVGが重なる価格帯について考察・解説します。
当ブログではこれまでにFVGや2つのFVGが重なるBPRについて、それぞれの特徴・使い方について詳細に解説してきました。
FVG、BPRは共に重要なゾーンで、価格が止まって反転したり、場合によっては逆に一気にブレイクしていく傾向のある、言わば節目として機能する価格帯です。
私もこれまでにFVGやBPRについて数多くの検証をしてきました。
その中で非常に面白い特徴のある価格帯を発見しました。
それが、FVGが3つ以上重なる価格帯です。
この価格帯の端に到達すると、中で反発するよりも、完全に埋めていく可能性が非常に高いことが分かりました。
今回の記事ではFVGが重なる価格帯をFVG Cluster(FVGクラスター)と名付け、その詳しい特徴やそれを利用した手法についてご紹介していきます。
Contents
FVG Clusterとは
FVG Clusterとは、3つ以上のFVGが重合する価格帯です。
例えば、以下のような値動きがあります。
下げ→上げ→下げの流れになっており、それぞれの中でFVGが生じています。
ここでは3つのFVGが重合する価格帯がFVG Cluster(灰色)となります。
3つのFVGが重合するわけですので、出現頻度は高くありません。
また、値幅自体も広くはありませんが、この価格帯はまさに真空地帯のように、価格を強く吸い寄せます。
FVG Cluster注意点
本記事におけるFVG Clusterの定義として、3本のFVGが生じる途中で、FVGとなる足以外の実体やヒゲが入っていたらFVG Clusterとは認めません。
例えば下のチャートでは同じ価格帯で3つのFVGが生じていますが、その途中にFVGでないローソク足が挟まっています。
これは2本のFVGが重なるBPRが一度埋められて、その後に同じ価格帯でFVGが生じただけのパターンとなります。
FVG Clusterの名前の由来
3つ以上のFVGが重なる価格帯については、まだ名前が付いていなかったので、私がFVG Clusterと命名しました。
名前の候補をChat GPTに挙げてもらったのですが、その中で一番シンプルでイメージしやすかったのがFVG Clusterだったからです。
「ファントムレイヤー」や「スタックド・ディスプレイスメント・フィールド(SDF)」も少年マンガの技っぽくて捨てがたい所ではありました。
FVG Clusterの特徴
FVG Clusterの大きな特徴は、「価格がFVG Cluster内に入ってくると、その後、非常に高い確率で埋めてくる」という点にあります。
相場環境によっては、FVGやBPRにも共通することではありますが、FVG Clusterはそれらとは比較にならないほど超高確率で埋まります。
この傾向から、「価格がFVG Cluster内に入ってきたタイミングでエントリー、埋めたところで決済」とすることで、高勝率のトレードが出来ることになります。
FVG Clusterの例
では実際のチャートでFVG Clusterが生じた例をご覧ください。
ドル円、ユーロドル、ポンドドルについて複数の時間足のFVG Clusterのチャートを掲載します。
FVG Clusterの価格帯は灰色のゾーンで示しており、始点が最初のFVGで、終点がFVG-Clusterを埋めたあたりになります。
ドル円
ユーロドル
ポンドドル
FVG Clusterを埋めた後はブレイクしたり反転したり・・・と様々ですが、とりあえずFVG Clusterに入り込んできたら、強い反発無しに埋める動きが生じたことが確認できたかと思います。
FVG Clusterを使う手法
価格がFVG Cluster内に入ると完全に埋める動きになりやすい、という傾向が強いですので、価格がFVG Cluster内に入ってきたらエントリーして、埋まったら決済するのが基本になります。
FVG Clusterは前もってわかっています。
そのため、事前にFVG Clusterの上限や下限に指値エントリーを置いて、埋まったところで決済するIFO注文を入れることで、楽にトレードが出来ます。
手法の弱点
この手法の弱点は3つあります。
- チャンスが少ない
- 取れる値幅が小さい
そもそもFVGが3つ以上重なるFVG Cluster自体、それほど頻繁にみられるものではありません。
しかも、3つのFVGが重合する価格帯自体がそれほど広くはありませんので、得られる値幅も限定的です。
15分足レベルだとスプレッド分を差し引いて数pipsでも取れたら十分すぎるレベルで、5分足レベルだとスプレッド負けすることもあります。
そのため、しっかりと利益を出すのであれば4時間足以上の利用が前提となり、さらにチャンスが減ることになります。
結果的として、「チャンスが来るまでじっくりと待てる人向け」になります。
FVG Clusterの多様な用途
他にもFVG Clusterの用途はあると思います。
例えば、ロングポジションを持っていて、すぐ上にFVG Clusterがあるのなら、FVG Clusterを埋めるまで利食いを伸ばせば、より多くの利が得られます。
また、押し目買いや戻り売りを狙う際に、FVG Cluster内では反発する可能性は低いため、少なくともFVG Clusterを明確に抜けた後でエントリーすることで、より高いリスクリワードでのトレードが出来ます。
このようにアイディア次第で様々な用途やチャート分析で使えると思いますので是非FVG Clusterの傾向を頭の中に入れておいてください。
まとめ
今回ご紹介した「FVG Cluster(FVGクラスター)」は、3つ以上のFVGが重合した価格帯であり、価格がこのゾーンに入ると高確率で完全に埋めにくるという非常に強い傾向があることが分かりました。
FVGやBPRといった従来のゾーンと比較しても、FVG Clusterはより強力な吸引力を持つ“真空地帯”のような存在であり、戦略的に活用すれば高勝率・高精度のトレードが可能です。
ただし、「出現頻度が少ない」「値幅が狭い」といった弱点もあるため、特に中長期足(4時間足以上)での活用が前提となり、「じっくり待てるトレーダー向け」と言えるでしょう。
また、エントリーポイントとしてだけでなく、利確目標の設定や押し目・戻りのフィルタリングとしても使えるため、FVG Clusterをチャート分析のひとつの軸として取り入れる価値は非常に高いです。
今後の検証や応用によって、さらに有効な使い道が広がっていく可能性を感じさせる概念ですので、ぜひ実践の中でも活用してみてください。