今回は、ボックス理論を考案した「ニコラ・ダーバス」と彼の実践した「ダーバス・ボックス」について解説します。
ボックス理論とは、価格の動きをボックスで囲み、それをブレイクしてきたら仕掛けるモーメンタムを利用したトレード手法です。
ボックスブレイクアウトとも呼ばれ、今となっては良く知られた・・・というよりは、もはやクラシカルなやり方と言えます。
ボックスの囲み方は時間帯や価格のスイングなど様々ありますが、ボックスをブレイクしてきた勢いに乗って大きな利幅を狙う点は共通しています。
本記事では、前半で二コラ・ダーバスとダーバスボックスについてご紹介し、後半ではMT4用のインジケーターを利用した戦略についても触れていきます。
動画もありますので是非ご覧ください。
Contents
二コラ・ダーバスについて
ニコラ・ダーバスの生涯
ボックス理論を考案したニコラ・ダーバスの生涯をまとめると以下のようになります。
- 1920年ハンガリー生まれ
- 1943年にナチスの支配を恐れてトルコへ逃亡
- 戦後に妹と再開しダンスチームを結成
- 世界でも高給取りの超売れっ子ダンサーとなり、主にヨーロッパやアメリカで活躍。ジュディ・ガーラント等とも共演
- 興業の報酬の一部としてカナダの鉱山会社の株をもらったことで市場に夢中になる。ダンサーをする傍ら、投資を猛勉強し、独自のダーバスボックスを生み出す
- 株取引で大成功し、1960年に「How I Made $2,000,000 in the StockMarket(邦題:私は株で200万ドル儲けた)」を出版
- 1977年死去
二コラ・ダーバスは、ダンサーになる前は大学で経済学を学んでいたようです。
元々教養があったようですが、ダンサーとして忙しい毎日を過ごす中で、1日何時間も本を読んで投資を勉強して、独自の理論を生み出して成功するのは並大抵のことではないと思います。
その結果、株式投資で200万ドルを稼ぎ出しました。
当時のドル円レートは360円なので、日本円に換算すると7億2000万円です。
この価格を消費者物価指数を用いた金銭価値の変換をすると、現在では約23億6500万円になるそうです。
有終の美を飾れなかった?
しかし、林輝太郎氏の著書の「脱アマ相場師列伝」によると、彼の最期は残念なものだったと書かれています。
二コラ・ダーバスは上記の本(私は株で200万ドル儲けた)を1960年に出した。14年後の1974年に「ウォール・ストリート・ギャング」という本を書いたと言われる。そしてさらに10年後のの1984年、ロンドンの下町で落ちぶれた彼の姿が目撃されたのを最後に消息不明になったといわれている。
要するに、彼は相場において有終の美を飾れなかったのだ。
ただ注意点として、「1984年を最後に消息不明」となっていますが、二コラ・ダーバスが亡くなったのは1977年です。これは単に年の記載の間違いなのか、それとも人間違いだったのかは不明です。
ハンサムな顔つきで、個人的には「ジェシー・リバモア」を思い出しました。
ボックスブレイクアウトとは?
本記事のメインであるダーバス・ボックスの話に入る前に、基本的なボックスブレイクアウトについて解説しておきます。
ボックスブレイクアウトはとてもシンプルで、特定の価格帯を上下する「ボックス」を見つけて、それを明確にブレイクした所でエントリーするトレード手法です。
これは上にブレイクした図です。
ボックス内では多くのショートやロングのポジションが入っており、それを明確にブレイクした所でショートポジションを保有していた人たち(ショーター)が損切りを入れます。
ショートの損切り注文は買い注文になりますので、価格が上昇していきます。
これを見て新規の買いが入り、更に売りのストップ注文を巻き込んで価格が上昇していくのが典型的なボックスブレイクアウトです。
やり方としては簡単で、多くのリワードが狙えますが、勝率としては決して高くはありません。
そのため、「相場の値動きを予測して入る」というよりは、相場の動きに身を任せて、機械的に入っていくスタイルの手法です。
タートルズが実践したタートルブレイクアウトシステムも、この手法の一つになります。
ダーバス・ボックスについて
では、ダーバス・ボックスについて解説します。
二コラ・ダーバスのルール
ニコラ・ダーバスが用いたルールは以下の通りです。
- 52週目の高値を更新している銘柄を探す
- 最高値を更新後、3日連続で最高値を更新していない
- 最高値がボックスの上値となり、最高値を付けてから3日間連続で安値を更新した所を底とする
- ボックスの上値をブレイクしたらロングする
- ボックスの底値を割ったら損切る
- 新たなボックスを形成したら、ポジションを追加する
買いルールの場合は、最初にボックスの高値が決まって、その後に底値が決まるようになっています。
下のチャートはドル円の週足です。
上記のエントリーポイントに該当するところに矢印を置いています。
2021年後半からの上昇相場を見事にゲットできています。
ブレイクアウト系の手法ですので、思惑通りに動いたら買い増しして・・・を繰り返すと、一連のトレードが終わるころにはひと財産築けるレベルの爆発力があります。
ダーバス・ボックスが得意とする相場・苦手な相場
ダーバス・ボックスが得意とするのは明確な上昇、もしくは下落相場です。
中途半端なレンジ相場でエントリーするとダマシに合って損切りを連発します。
ニコラ・ダーバスもこれを理解していたようで、銘柄を選ぶ際は、明らかな上昇トレンドのものばかりをスクリーニングしていたようです。
特にその時代の成長産業の中で明らかな上昇トレンドをしている銘柄がベストと言えます。
ダーバス・ボックスをFXで利用する
ダーバス・ボックスは、株式で使用された手法ですが、FXで応用することもできます。
ダーバス・ボックスを自動で表示するMT4用のインジケーターがありますので、それを使いながら解説します。ダウンロードは以下のリンクからどうぞ。
ダーバス・ボックスを利用したFX戦略
DarvasBoxes mtfをチャートにセットするとこのようになります。
サインのリペイントはありません。
サインの数は多いですが、
- 明確なトレンドが出ている時
- トレンドの勢いがある時
- できればボリュームも上がってきている時
この3点に注視することで、勝率の高いポイントを厳選できます。
エントリー例
まず絶対条件として、エントリーできるボックスは、それまでの流れとして「明確なトレンドが出ている」「トレンドの勢いがある」この2つの条件を満たしている必要があります。
そして、ボックスをブレイクしてサインが出た足のボリュームが、前の足よりも大きくなっていることが望ましいです。
このチャートの一番右側の黄色い丸のサインがロングエントリーポイントです。
それまでの流れは勢いのあるトレンドで、ボックスをブレイクした足のボリュームは、前の足よりも大きくなっています。
損切りポイントとしては、ボックスの安値、もしくはボックスの半値が望ましいです。
利食いはリスクリワード2以上がおススメです。
その後の値動きです。
ブレイクしてから上昇しました。
そして高値圏で再度ボックスを形成してサインが点灯しています(赤い◎のサイン)
ここも、明確な上昇トレンドでボリュームが上がってきているためエントリーできます。
その後の値動きです。
サイン点灯後はまた勢いよく上昇していきました。
このように、勢いのある上昇トレンドの場合、買いサインが連続します。
特に直近の高値をブレイクして、小さめのボックスを形成してまた高値をブレイクする・・・という流れの場合、勝ちやすいです。
逆に言えばこれ以外の相場は勝率が安定しないためお勧めはしませんが、しっかりとダーバス・ボックスと合った相場環境を認識することが出来れば、良い感じで勝てると思います。
まとめ
今回は、ダーバス・ボックスについて解説しました。
ボックス理論の元祖のため、現在では古い手法ではありますが、シンプルなだけ応用しやすく、他の指標や考え方と組み合わせやすいメリットがあります。
ブレイクアウト系はその爆発力が一番の売りです。
リスクリワードの大きなトレードがしたい方や、積み増しなどを使って資金を大きく増やしたい方にオススメしたい手法です。
興味のある方は検証してみてはいかがでしょうか。