
今回はFVGが重合する価格帯であるBPRを使ったシンプルな手法をご紹介します。
BPRについては、Venom Model等について記事にしていますが、今回は時間帯やトレンド方向で縛らず、純粋にBPRからの反発を狙う手法になります。
本記事ではルールについて詳しく解説し、加えて実際に検証した結果もあります。
あえてシンプルなルールにすることで、BPRの素のポテンシャルが見えてくると思います。ぜひご覧ください。
また、過去のBPRに関する記事は以下からご覧ください。
Contents
BPR(Balanced Price Range)とは
BPRの基本
まずは本手法における重要な価格帯であるBPR(Balanced Price Range)から解説します。
BPRとは、FVG(Fair Value Gap)が重合する価格帯のことです。

FVGは価格が一方向に勢いよく進んだ不均衡(imbalance)な価格帯ですが、BPRはその不均衡が上下に重なって、買い手と売り手のバランスが取れた(ぶつかり合った)価格帯となります。
その結果として、価格が再度このレートまで戻してくると反発しやすい特徴を持つことになります。
BPRの注意点
BPRは同じ価格帯で2つのFVGが生じるものですが、本記事では2つのFVG間にローソク足の実体やヒゲが入っている場合はBPRとしては認めません。

解説によっては、2つのFVG間に足が入っていてもBPRとみなすところもあります。
しかし、途中で何も入っていない完全なBPRの方が効果が高いため、本記事では上の画像のような値動きはBPRと判断しないことにします。
使用する時間足について
今回の手法では、上位足と下位足の2つの時間足を利用します。
具体的には、上位足でBPRが生じた後に、価格がBPR内に入ってきたところで下位足に切り替えます。そして下位足でタイミングを図ってエントリーします。
時間足の組み合わせとしては以下が理想的です。
- 日足と1時間足
- 4時間足と15分足
- 1時間足と5分足
- 15分足と1分足
ロングエントリー
ロングルール
ロングエントリーモデルは以下の通りです。(クリックで拡大)
- 上位足でBPR形成後に価格が再度BPRまで下げてきたら下位足に切り替える
- 下位足で強い反発が生じてFVGが出来たら、FVGの上限に買い注文を置く
- 損切はスイングの安値に置いて、利食いは損切幅の2倍のところに置く(リスクリワード1:2)
上位足のトレンド方向や下位足のトレンド反転などは一切考慮しません。状況によっては順張り、逆張りのどちらにもなり得ますが、関係なくエントリーします。
もし下位足の反発の過程でFVGが生じなければエントリーはありません。
また、エントリー前に上位足の実体がBPRを下抜けて確定してしまった場合もその後のエントリーは見送りとなります。
ロングエントリーの例
ではロングの例を見ていきます。
例として上位足を1時間足、下位足を5分足とします。
まずは1時間足でBPRが出来て、価格がBPR内に入ってくるまで待ちます。
以下はユーロドル1時間足です。
水色のゾーンがBPRで、チャートの右端ではBPR内に価格が入り込んできています。
この状態になったら、5分足に切り替えます。
以下がこの時の5分足です。
直近でかなり勢いよく下げています。
ここから下げが止まって反発し、買いのFVGが出るまで待ちます。
このチャートの一番右でFVGが確定しましたので、FVGの上限でロング注文を入れます。
損切は直近の安値、利食いは損切幅の2倍になるところに置きます。
その後の動きです。
価格がFVGにヒットしてロング注文が入り、利食いポイントまで上昇しました。
ショートエントリー
ショートルール
ショートエントリーモデルは以下の通りです。(クリックで拡大)
- 上位足でBPR形成後に価格が再度BPRまで上げてきたら下位足に切り替える
- 下位足で強い反発が生じてFVGが出来たら、FVGの下限に売り注文を置く
- 損切はスイングの高値に置いて、利食いは損切幅の2倍のところに置く(リスクリワード1:2)
もし下位足の反発の過程でFVGが生じなければエントリーはありません。
また、エントリー前に上位足の実体がBPRを下抜けて確定してしまった場合もその後のエントリーは見送りとなります。
ショートエントリーの例
ショートエントリーの例も上位足を1時間足、下位足を5分足で解説します。
下のチャートはユーロドル1時間足です。
上位足のトレンド方向や下位足のトレンド反転などは一切考慮しません。
指標で大きく上げた後に、更に強く下げて全戻ししたため、複数のBPRが出来ています。
現在はその真ん中あたりのレートにあるBPRまで戻しています。
ここで5分足に切り替えます。
5分足レベルだとかなり強い上昇です。
上昇が止まって、反発して下げのFVGが出るまで待ちます。
このチャートの一番右で下げのFVGが出来ていますので、FVGの下限にショートエントリー注文を入れます。
損切は直近の高値、利食いは損切幅の2倍になるところに置きます。
その後はエントリー注文にヒットしてから下落し、利食いに到達しました。
Forex Tester Onlineで検証した結果
今回の手法をForex Tester Onlineで過去検証した結果についてまとめます。
検証条件は以下の通りです。
- 検証期間:2025年1月~10月
- 通貨ペア:ユーロドル
- 検証時間足:1時間足と5分足
- 資金管理:10000ドルスタートで1トレード当たりその時の口座資金の1%のリスクを取る複利方式
パフォーマンス分析の結果
まずはパフォーマンス分析です。
- トレード回数:85回
- 勝率:49.41%
- ショートの利益:2244.85ドル
- ロングの利益:1056.27ドル
リスクリワードが2で勝率5割程度ですので、かなり良好な結果です。
ただし約10か月間でトレード回数が85回ですので、それほどチャンスは多くはありません。
その他の統計
その他の統計です。
純利益が3301ドル(33%)と悪くない結果です。
取引リスクを少なくしながらも多くの利益が出せたかなと思います。
そしてプロフィットファクターが1.54ですので、やはりしっかりとした優位性があることが分かりました。
ドローダウンは797ドルですが、これは資金が増えてきた終盤付近で発生したため、割合としては6%程度となっています。
分析インサイト
FTOでは、検証結果を様々な視点から分析してアドバイスをくれる「分析インサイト」という機能があります。
今回の検証結果について最も気になったのが以下のトレード時間帯についてでした。
この結果によると、ロンドン&ニューヨークシルバーバレットの時間帯は勝率が著しく低下して足を引っ張っていることが分かりました。
- ロンドン・シルバーバレット:日本時間で16時~17時(サマータイム時)
- ニューヨーク・シルバーバレット:日本時間で22時~23時(サマータイム時)
これらの時間帯を避けるだけで、700ドル近くの利益が多く得られたことになります。
こんなにも明確に負のエッジが出ることも珍しいかなと思います。
絶対にエントリーは避けるべき時間帯ですね。
まとめ
今回ご紹介した手法は、BPR(Balanced Price Range)という強力な反発ポイントに価格が戻ってきた瞬間だけを狙う、非常にシンプルなモデルです。
上位足でBPRを確認し、下位足で反発+FVG発生をトリガーとすることで、無駄なエントリーを大幅に減らし、効率よくトレードできる点が大きな特徴でした。
実際にForex Tester Onlineで10か月間のデータを検証した結果、
- 勝率:約49%
- RR 1:2
- プロフィットファクター:1.54
という堅実なパフォーマンスが確認でき、再現性の高さが裏付けられました。
一方で、ロンドン・NYのシルバーバレット時間帯は大きく足を引っ張っていたため、時間帯フィルターを加えることでさらに成績が改善する可能性もあることが分かりました。
BPRの素の実力が見える結果になったんじゃないかなと思います。
気になった方は是非お試しください。







































