今回は以前ご紹介したICT Silver Bulletを少し応用したトレード手法について考えてみたのでご紹介します。
Silver Bulletは、特定の時間帯に条件を満たした時にエントリーするスキャルピング手法です。
予めトレードできる時間帯が決まっているため、長時間チャート監視する必要が無く、SMCの中では比較的ルールがシンプルなのが特徴です。
しかし、それでもLiquidityなどの多少の裁量判断が必要です。
そこでもう少しルールを明確にしつつ的確に入れないかな?と考えていたところ、面白い案が出て、結構勝てることが分かりましたので解説していきます。
参考までに今回解説する手法をドル円でバックテストした所、以下のようになりました。(期間は2023年11月1日~12月19日)
今回の記事の動画版もありますのでご覧ください。
Silver Bulletのおさらい
まずはおさらいとしてSilver Bulletの概要から解説していきます。
Silver Bulletは特定の時間帯で生じるLiquidity Sweepからの反転を狙う手法です。
具体的には以下の時間帯でLiquidity Sweepが生じたらエントリーを考慮することになります。
- ニューヨーク時間の3時~4時(冬時間で日本時間の17時~18時)
- ニューヨーク時間の10時~11時(冬時間で日本時間の24時~25時)
- ニューヨーク時間の14時~15時(冬時間で日本時間の4時~5時)
これらの時間帯では値動きが反転しやすく、特に多くの注文が入っている価格帯を一時的にブレイクしてから戻ってくる値動きが発生しやすいとされています。
この反転を主に1分足で狙っていくのがSilver Bulletです。
Silver Bulletのコンセプト自体は分かりやすいのですが、Liquidityのあるラインをどう判断するかで結果が変わる手法でもあります。
そこでLiquidityを明確化するために1時間足のフラクタルを利用することにしました。
改良版Silver Bulletについて
通常のSilver Bulletでは主に15分足を利用してLiquidityラインを決めていましたが、今回は1時間足にフラクタルを表示して、それを特定の時間でブレイクしたらLiquidity Sweepとします。
ルールは以下の通りです。
- NY時間の3時、4時(冬時間で日本時間の16時、17時)の1時間足が、直近の未ブレイクフラクタルをブレイクする。
- それから1分足で、FVGを伴う反転が生じてCHOCHする
- 再度オーダーブロックまで戻して来たらエントリー(NY時間の6時まで)
では詳しく解説していきます。
NY時間の3時、4時の1時間足が、直近の未ブレイクフラクタルをブレイクする
まずは1時間足チャートにフラクタルを表示します。
(フラクタルはMT4に最初から入っています。挿入⇒インディケータ⇒ビル・ウィリアム⇒Fractalsをクリック)
フラクタルを入れると、下のチャートのように少し目立った高値や安値にサインが表示されるようになります。
1時間足チャートはこれで行きます。
1時間足でNY時間の3時か4時の足が、直近で未ブレイクのフラクタルの高値や安値を抜けていることを確認します。
(多くのMT4ではNY時間3時の足が9時、NY時間4時の足が10時になっています。)
このチャートではMT4時間で10時の足(NY時間で4時、日本時間で17時の足)が直近のまだブレイクしていないフラクタルの高値を抜けてきています。
抜けてきていることを確認したら、1分足に切り替えます。
補足:フラクタルについて
MT4に入っているフラクタルは、5本のローソク足の内、3本目の高値が一番レートが高い、もしくは3本目のレートが一番安いとサインが出ます。
MT4のフラクタルでは、5本揃う前にサインが出ることがあり、その場合はリペイントすることもあります。
しかし、本手法においては影響はありません。
1分足でFVGを伴う反転が生じてCHOCHする
1時間足で未ブレイクのフラクタルを抜けてきたら、1分足に切り替えます。
先ほどの1時間足を1分足に切り替えると下のチャートのようになっていました。
1分足レベルでは既にFVGを伴うCHOCHが発生しています。
ですので、FVGよりも上の価格帯をオーダーブロックとして、ここまで戻して来たらエントリーします。
再度オーダーブロックまで戻して来たらエントリー
先ほどから少ししてオーダーブロックに届いたのでショートエントリーです。
損切りはオーダーブロックの少し上に置いて、利食いはリスクリワード2を目標にします。
その後の値動きです。
利食いターゲットに届いてトレード時間終了となりました。
他のエントリー例
1.ロングエントリー
まずは1時間足からです。
10時の確定足でフラクタルの安値を割っています。
この時の1分足は以下のようになっていました。
既に底値からFVGを伴うCHOCHをしています。
あとは灰色のオーダーブロックまで戻したところでエントリーするだけです。
オーダーブロックに入ってきたのでエントリーです。
その後は利食いターゲットに到達して上下していきました。
ショートエントリー(損切り)
まずは1時間足です。
10時の確定足で直近のフラクタルをブレイクしています。
この時の1分足は以下のようになっていました。
この時点では上昇動意が強く、まだCHOCHはしていませんので待ちます。
その後、FVGを伴うCHOCHが発生して、オーダーブロックまで戻してきたのでショートエントリーです。
しかし、更に上げてオーダーブロックを明確に上に抜けてきたので損切りです。
ロングエントリー
まずは1時間足です。
結構目立つ前回安値を少し割っています。
この時の1分足は以下のようになっていました。
かなり長く続くダウントレンドの最中です。
ここからFVGを伴うCHOCHになるまで待ちます。
しばらくして反発してオーダーブロックまで戻してきたのでエントリーです。
その後は大きく反発していきました。
エントリー出来ない時
今回の手法でエントリー出来ないポイントについて解説していきます。
1.1時間足でフラクタルをブレイクしない
まず当然ですが、1時間足で未ブレイクのフラクタルに到達していなければエントリーはできません。
このチャートの四角の部分は判定時間ですが、フラクタルに到達していないのでエントリー無しとなります。
1分足のオーダーブロックまで戻さない
反発の勢いが強い時は1分足のオーダーブロックまで戻さないこともあります。
下は1時間足です。
9時の足の安値は複数のフラクタルの安値をブレイクしています。
このような目立った安値をブレイクして反発する場合は、所謂「ストップ狩り」のような勢いある上昇を見せることがあります。
この時の1分足です。
明らかに強い上昇で、目立ったFVGを伴ってCHOCHしています。
その後の値動きです。
オーダーブロックに届かず上昇を続け、トレード時間終了となりました。
今回はFVGではなくオーダーブロックまで戻したところで入るルールにしているため、このようなエントリー出来ないケースがそれなりにあります。
手法のまとめと考慮すべき点
今回はSilver Bulletを応用したやり方をご紹介しました。
具体的な変更点は以下の通りとなります。
- Liquidityを1時間足のフラクタルで判定することで、客観的な判断ができるようにした
- FVGではなくオーダーブロックまで戻したところでエントリーすることにした
それぞれについて解説します。
Liquidityを1時間足のフラクタルで判定することで、客観的な判断ができるようにした
Silver BulletではLiquidityを探すのが最初の難関ですが、それを無裁量で出来るようにしたいと考えたのが、今回の応用の始まりでした。
その中でいくつかの候補を挙げて、分かりやすさとトレードの勝率が良かったのが1時間足フラクタルです。
基本的にはNY時間の3時と4時の確定足を見れば良いというルールにしています。
これならトレードの負担は限りなく小さくなり、フラクタルのレートを抜けていたら監視を始める、そうでなければ何もしない、という流れになります。
確定前のフラクタルを抜けてきたタイミングからチャートの監視してエントリーしても大丈夫ですが、1時間足が確定するのを待ってからでもチャンスはしっかりと残っていることが多いです。
FVGではなくオーダーブロックまで戻したところでエントリーすることにした
オリジナルではFVGまで戻したところでエントリーしますが、今回はFVGの上や下にあるオーダーブロックまで戻してエントリーします。
こうすることで、より低いリスクでのエントリーが可能になりました。
しかし良いことばかりではありません。
元々値動きが激しい時間帯ですので、フラクタルを抜けた後に強いストップ狩りとなった場合は、オーダーブロックまで戻さずにFVGだけで反発することもあります。
このような時はエントリー出来ずに大きく反発する値動きを指をくわえて見るだけとなります。
複数の未ブレイクフラクタルを一気に抜けてきた後で反発し、1分足で勢いよくCHOCHした後はFVGでエントリーすることを考慮するのも良いと思います。
まとめ
今回はSilverBulletを改良した手法をご紹介しました。
フラクタルを利用することで、より客観的なliquidity分析が可能になり、その分だけ再現性が上がったと思います。
とてもシンプルですが、チャンスも多くて優位性があります。
ぜひ使いこなしてください。