本記事ではZigZagやZigZagを応用したMT4インジケーターをまとめてご紹介します。
ZigZagは相場の波を無裁量で視覚的に分かりやすく表示するインジケーターで、ダウ理論のトレンドを読んだり、水平線を引く際の参考にしたり、相場のパターンを見る際によく利用されています。
「相場の波の描き方」というのはとても曖昧で、人によって大きく異なってくるのですが、ZigZagを使えばだれでも簡単に客観性の高い波を描けるため、多くのトレーダーに愛用されています。
ZigZagはMT4に最初から入っているインジですが、それを改良したものや、より使い勝手を向上させたカスタムインジケーターが沢山あります。
今回はその中でも特に役立つものをピックアップしていますので、気になるものがあったらお試しください。
Contents
- 1 ZigZagとは?
- 2 ZigZagのパラメーターについて
- 3 ZigZagを表示するタイプのMT4インジケーター
- 3.1 Z1 Indicator
- 3.2 DT_ZZ
- 3.3 ZigZagZug_v1_3
- 3.4 VelocityWaves
- 3.5 MZZ9 button
- 3.6 zulufx_HHLHLLHL2
- 3.7 ZigZag_HH-HL-LH-LL-Button
- 3.8 ZigZag_wSwing_ATR_average
- 3.9 DT ZigZag Lauer HTF
- 3.10 zigzagtriad-mtf+alerts2
- 3.11 ZigZag Corrected Fibo button
- 3.12 ZigZag_DowT
- 3.13 ZUP_v14
- 3.14 ZZ_vlines_legs_sr
- 3.15 ZigZag_ws_Chanel_RV_2
- 3.16 mtf_zigzag_separate_nmc
- 3.17 ZigZag_HH-HL-LH-LL_B BT sw
ZigZagとは?
ZigZagは、Arthur A. Merrill氏が考案した指標です。
彼が1977年に出版した「Filtered Waves, Basic Theory: A Tool for Stock Market Analysis」という書籍内でZigZagの概念が公開されました。
Arthur A. Merrill氏は相場の形成する様々な波の研究をしており、波を基準化・定義化する一つの手段としてZigZagを考案したようです。
ZigZagは相場の波を認識するインジケーターで、これを利用することでテクニカル分析の初心者であっても、
- 他のトレーダーが意識しやすい価格
- トレンドの方向やパターン
- トレンドの切り替わるタイミング
などが分かってしまう画期的な機能を持っています。
仕様上、どうしても波のリペイントは発生しますが、ZigZagの特徴を理解すれば、これも許容できるかと思います。下のGif動画が、ZigZagがリペイントする例です。
波が頂点を作っているように見えても、浅い押し目から高値を更新すると、波も伸びていきますので「ここが頂点だ!」と考えて逆張りするのは危険です。
ZigZagの波が確定するのは、次の波が始まった時です。
現役の波はリペイントするため参考にはせず、それまでの波を利用して相場分析をするのがZigZagの正しい使い方になります。
この点はぜひ理解しておいてください。
ZigZagのパラメーターについて
MT4で表示するZigZagには3つのパラメーターがあります。
- Depth
- Deviation
- Backstep
MT4のZigZagのパラメーターについては様々なサイトで解説がしてありますが、そのほとんどが間違っています。
その理由としては、Arthur A. Merrill氏の考案したオリジナルのZigZagとMT4のZigZagは違う計算式になっているからです。
3つのパラメーターについて解説していきます。
Depth:デフォルトは12
ZigZagの中でも最も重要なパラメーターで、どれだけの期間の高値と安値をブレイクしたら波が切り替わるかを決めます。
ハッキリ言ってしまうと、このパラメータでジグザグの波のほとんどが決まるレベルです。
下のチャートはデフォルト設定のZigZagと12期間のハイローバンドを一緒に表示したものです。ローソク足が上バンドにタッチしたら波が上に切り替わり、下バンドにタッチしたら波が下に切り替わっているのが分かります。
つまり、MT4のZigZagは、Depthで決めた期間の高値や安値をブレイクしたら波が切り替わるインジケーターと言えます。
Deviation:デフォルトでは5
Deviationについては、一般的には波の継続・更新を決めるパラメーターとして解説してありますが、実際は以下のようになっているようです。
このパラメータは、偏差値的なものを指定していると思われそうですが実は違います。
Depthで指定した期間の最高値または最安値と現在の高値と安値を比較してその差が何ポイント(1point=0.1pips)以内であるかを指定します。
なのでDeviationは、ポイント値(1point=0.1pips)を指定してるのです。
デフォルトは、5となっているので5ポイント(0.5pips)、Depth期間中の最高値または最安値と現在のレートを比較してDeviationで指定した範囲内に入ると高値または安値更新となります。
言い方を変えると、現在のローソク足の高値(安値)とDepth期間中の最高値(最安値)の差が指定値以内になると、山または谷が更新されるようです。
この差をDeviationとして指定しています。
実際にはほとんどが0で更新されます。
簡単に言えば、Deviationでどんな値を入れても、直近の波の高値を0.1pipsでも上抜ければ波は更新されることになります。
私の方でもDeviationに色々な数字を入れましたが、表示の違いはありませんでした。
Backstep:デフォルトでは3
Backstepは、波が切り替わる際に最低何本足が続く必要があるかを決めるパラメーターです。
例えばデフォルトでは3になっていますので、上昇の波の頂点が決まって、次の波が始まるためには最低3本以上の足が必要ということになります。
BackstepについてはZigZagの波の描画に少ないながらも影響を与えます。
しかし、Depthがデフォルトの12であれば、Backstepは他の数値に変えてもほとんど変化はありません。Backstepで波に変化をつけるにはDepthの値をもっと大きくする必要があります。
詳しくは次項をご覧ください。
もしDepthよりも大きくするとZigZagがチャートから消えてしまいます。
DepthとBackstepの関係性
DepthとBackstepは波が切り替わるタイミングを決めるパラメーターです。
重要なのはDepthの方で基本的にはDepthで決めた期間の高値や安値をブレイクしたら波が切り替わります。
これに加えて、波が切り替わるために必要なローソク足の本数を決めるのがBackstepです。
デフォルトではDepthが12、Backstepが3ですので、下げの波が上げの切り替わるためには
する必要があるということになります。
逆に言えば、直近12期間の高値をブレイクしても、波の底から2本以内であれば波の転換はしないことになります。
前項で、Depthがデフォルトの12であれば、Backstepの数値を変えてもほとんど変化はないと書きました。しかし、ここでDepthの値をもっと大きくしたときにBackstepの影響が出てきます。
下のチャートをご覧ください。
赤色のジグザグと黄色のZigZagがあります。
これらのパラメーターはそれぞれ以下の通りです。
赤いZigZag
- Depth:30
- Deviation:5
- Backstep:15
- Depth:30
- Deviation:5
- Backstep:3
違いがあるのはBackstepだけです。
- 赤いZigZagは、30期間の高値や安値をブレイクかつ、前の頂点や底から15本以上足が続いていないと波が切り替わりません。
- 黄色いZigzagは30期間の高値や安値のブレイクかつ、前の頂点や底から3本以上続いていれば波が切り替わります。
上のチャートでは黄色いZigZagの方だけで小さな波が出来ていますが、これは頂点から底まで足が6本しか続いておらず、赤いZigZagでは波の切り替わりと認識しなかったからです。
このようにDepthのデフォルトより値を大きくして、Backstepの値を変えてやると波に違いが出やすくなります。とは言っても上記の2本のZigZagの設定であっても波に違いが出てくるのはごくわずかで、ほとんどの場合同じ波を描画します。
下のチャートは2つのZigZagをより長期間表示したものですが、ほとんどで同じ波になっているのが分かります。
このことから、ZigZagで最も重要なパラメーターはDepthであると言えます。
ZigZagを表示するタイプのMT4インジケーター
それではZigZagを表示するMT4インジケーターをご紹介していきます。
Z1 Indicator
ZigZagの頂点や底になるポイントにドットを表示するインジです。
ZigZagと言えば相場の波が視覚的に分かりやすくなるメリットがありますが、その一方で移動平均線などの指標と組み合わせるとチャートがゴチャゴチャしてしまいがちです。
しかし、このインジを使うことでZigZagの頂点と底だけが視覚的に分かりますので、他の指標も一緒に表示したい場合や、水平線を引く際の参考になります。
DT_ZZ
ZigZagとドットを表示するインジです。
ドットは過去にZigZagが頂点だったポイント(リペイント前の頂点や底)を示すため、どのような変遷を経て波が確定したかの軌跡が見えます。
色の変わった最初のドットは、波が切り替わった足になりますので、ZigZagを利用した過去検証をする際に便利です。
ZigZagZug_v1_3
ZigZagと一緒にハイローバンドを表示するインジです。
相場の波と高値と安値の推移が一緒に見えるため、相場の流れがより分かりやすくなります。
また、このインジも過去の波の頂点だったポイントにドットを表示することができますので、ジグザグを利用した過去検証に使えます。
VelocityWaves
ZigZagの上昇と下落の波をレクタングルで囲み、値幅や期間を示すインジです。
波を見てトレンド方向を判断するというよりは、波の高低、勢い、スピードを分析する際に役立つインジです。
一緒にZigZagも表示することで、より波の分析がしやすくなります。
マルチタイムのZigZagを表示するインジです。
デフォルトでは表示している時間足とそれよりも大きな時間足のZigZagを表示します。
表示する時間足やそれぞれのパラメーターの変更は可能で、チャート左上の「MZZ9」のボタンをクリックすると表示のオンオフもできます。
このインジはマルチタイムでの相場の波が視覚的に分かりやすくなるため、場合によってはローソク足そのものが分析の邪魔になることもあります。下のチャートではローソク足表示をオフにしていますが、こちらの方が波が分かりやすいです。
マルチタイムでZigZagを使って相場の分析をしたい方にオススメします。
zulufx_HHLHLLHL2
ZigZagの波に加えて、それぞの波についてHH、HL、LH、LLの4つに分類して表示してくれるインジです。
4つの意味合いは以下の通りです。
- HH:Highter High=高値を切り上げているところでの高値
- HL:Higher Low=高値を切り上げているところでの安値
- LH:Lower High=安値を切り下げているところでの高値
- LL:Lower Low=安値を切り下げているところでの安値
HH~LLは、海外のトレーダーがよく使う日本で言うところのダウ理論に近い概念です。
HLは押し目、LHは戻りに相当しますので、トレンドの押し目や戻りを狙う際や検証などで役立つでしょう。
ZigZag_HH-HL-LH-LL-Button
「zulufx_HHLHLLHL2」と同じくZigZagからHH~LLを表示し、過去のHHとLLから水平線を引くインジです。
HHやLLは特に目立った高値や安値になることが多いため、無裁量で意識されやすいレートにラインが引けて便利です。
ラインにレートが到達した際にはアラートやメール送信等が可能で、チャート上部にある「ZZ-HH_LL」のボタンをクリックすると表示のオンオフもできます。
ちょっと気になる時にクリックしてラインを見る・・・といったことも可能な便利なインジです。
ZigZag_wSwing_ATR_average
ZigZagに加えて波のサイズをATRで表示するインジです。
「その時のボラティリティに対して波の大きさがどれくらいだったのか」が分かりますので、違う時間足・通貨ペアと波のサイズの比較ができるようになります。
ボラも加味して波を分析したい方にオススメです。
DT ZigZag Lauer HTF
様々な表示方法に対応したZigZagです。
上記のgif動画にあるように、頂点から水平線を引いたり、チャネルのように表示したりもできますので、好みによって使い分けられます。
更にはマルチタイムに対応していますので、上位足のZigZagについても様々な表示が可能です。
zigzagtriad-mtf+alerts2
ZigZagの頂点や底からサポレジラインを描画するインジです。
目立ったレートに自動でサポレジが引かれる上に、ラインタッチでアラートやメール送信も可能です。
設定でZigzaも一緒に表示できますし、マルチタイムにも対応していますので、上位足のサポレジラインも表示できます。
このチャートでは15分足に1時間足のジグザグとサポレジラインを表示しています。
客観性の高い相場環境認識をした時に便利です。
ZigZagの直近3つの波までについてフィボナッチリトレイスメントを表示するインジです。
チャート右下に表示されるボタンをクリックすると、それぞれの波のフィボナッチを表示します。
これを使うことで、現在の波はひとつ前の波からどれくらい押しているのか?といったことがクリック1つで分かってしまいます。
リアルトレード時のエントリー判断で便利です。
ZigZag_DowT
ZigZagに加えてダウ理論のトレンドでサインを出す名作インジです。
このインジでは波が高値と安値を切り上げると青い矢印、高値と安値を切り下げると赤い矢印が出現してトレンド方向を示してくれます。
さらに、トレンド中に直近の波の高値や安値をブレイクしたところでエントリー用の白い矢印が出ます。
相場の状況を見る際にも、実際のトレードのエントリーツールとしても利用できます。
以下のリンクで詳しく解説した動画もあります。
ZUP_v14
ZigZagの波の大きさや期間の比率などを計算して表示するインジです。
波を利用してエリオット波動を分析したり、ハーモニックパターンを見つける際に重宝します。
ZUPシリーズのインジはバージョンアップする度に凄い機能が追加されていますが、普段使いにはこれが一番見やすくて使いやすいかと思います。
ZZ_vlines_legs_sr
ジグザグに加えて、波の高値や安値に縦線を引いたり、水平線を引いたりするインジです。
上のgif動画のようにどのラインを表示するかは選択可能ですので、波に着目して検証したい際に便利かと思います。
ZigZag_ws_Chanel_RV_2
ジグザグをベースにチャネルラインや様々な情報を表示するインジです。
このインジではジグザグの頂点同士や底同士にもラインを引いて全体の流れをチャネルとして示します。
波の高値や安値には、その波の値幅、ローソク足の本数、前の波と比較した倍率も表示します。
ハーモニックパターンを探した入りする際に役立つでしょう。
mtf_zigzag_separate_nmc
ZigZagの波をサブチャート部分に表示するインジです。
マルチタイムにも対応しており、上位足の波も表示できます。
あくまでの波の推移や波の大きさをローソク足に邪魔されずに分析したい方向けです。
ZigZag_HH-HL-LH-LL_B BT sw
同じくZigZagの波をサブチャート部分に表示するインジです。
こちらの方は波の頂点や底に「HH、HL、LH、LL」を示し、現在の波のトレンド方向が分かりやすく表示されるようになっています。
客観的に波の分析をしたい際に役立つでしょう。