今回は相場のスイングポイントと値動きの関係性について解説します。
スイングポイントとは価格の作るスイングの高値や安値のことですが、本記事では「最小のスイングポイント(3barsフラクタル)」について考えます。
最小のスイングポイントを理解することで、相場がliquidityを求めて動いていることがよく分かるようになります。
動画もありますのでこちらもご覧ください。
Contents
スイングポイントとは
スイングポイントとは相場の作る波の切り替わりのポイントのことです。
上の画像の赤い〇のポイントがスイングポイントで、必然的に波の高値と安値のことになります。
相場の波を判断する方法は非常に多くあり、どれを採用するかは人によって異なります。
そのため、同じローソク足の値動きを見ていたとしても、トレーダーによって波の描き方、そしてスイングポイントは違うことになります。
以下のローソク足チャートには、3種類の波を描画しています。
相場の波の捉え方次第で、トレンド状況やトレンドの切り替わりのタイミングも変わります。
波の捉え方については絶対的な正解はありませんが、スイングポイントはトレーダーによって異なることは知っておくべきです。
最小のスイングポイントについて
それでは、相場を構成する最小のスイングポイントについて考えてみましょう。
スイングポイントは目立った高値・安値になりますので、その最小は以下のようになります。
左側が高値のスイングポイントで右側が安値のスイングポイントです。
3本の足で形成されて、真ん中の足の高値が一番高ければ「スイングハイ」、真ん中の足の安値が一番安ければ「スイングロー」になります。足の陰陽問わず真ん中の足の高値、もしくは安値で判断します。
この考え方は「3barsフラクタル」というもので、たった3本の足だけで導き出せる相場の波の最小の高値・安値となります。
とてもシンプルで無裁量で判断できるため、インジケーターで表示できます。
3barsフラクタルをチャートに表示すると以下のようになります。
青や赤のドットがスイングポイントになります。
かなり多いことが分かると思います。
3barsフラクタルは、基本的にローソク足が連続して前足の高値を更新し続ける限り(安値を更新しし続ける限り)、ドットは点灯しません。この点も重要です。
3barsフラクタルを表示するインジケーターについて
フラクタルを表示するインジケーターはMT4に最初から入っています。
しかし、MT4のフラクタルは「5barsフラクタル(5本の足のうち真ん中の足の高値が一番高ければスイングハイ)」しか表示できず、パラメーターの設定が出来ません。
そこでお勧めなのが以下のインジです。
これを利用することで、様々な期間のフラクタルが表示できます。
期間が多くなればなるほどドットが減って、より目立った高値や安値のみが残ることになります。
パラメーター設定について
Fractals_Period_w_Toggleのパラメーターは以下の通りです。
フラクタルの期間は、一番上の「Fractal period」で変更します。この値は必ず奇数にしてください。3barsフラクタルにしたい場合は、この値を3にします。
_windingは表示するフラクタルのシグナルのスタイルです。
デフォルトでは矢印になっていますが、値を160にするとドットに変更できます。
フラクタルインジケーターの特性について
フラクタルをチャートに表示すると、見事に相場の天井と底を当てているように見えますが、これはあくまでもサインの点灯が遅れているからです。
例えば5barsフラクタルの場合、5本の足のうち、真ん中の高値が一番高ければサインが出るわけですが、サインが点灯するタイミングは一番右の5本目が確定した時になります。
今回使用する3barsフラクタルも同様で、3本目の足が確定した時点でフラクタルの高値や安値も確定します。
3barsフラクタルの考え方
3barsフラクタルは最小のスイングポイントを示します。
コレは一体何を意味するのかと言うと「3barsフラクタルの点灯した足の高値や安値はLiquidityのある価格」になります。
価格はLiquidityを求めて、そしてLiquidityを作りながら上下します。
最小のスイングポイントである3barsフラクタルを利用すると、Liquidityと値動きの関係性がよく分かるようになるのです。
liquidityについては以下の記事をご覧ください。
3barsフラクタルで見るliquidityと値動き
3barsフラクタルの高値や安値は、相場の至る所で見ることができますが、これは少なくともliquidityのある価格のひとつです。
相場はliquidityを求めて上下し、liquidityを取ったら向きを変えて・・・と言った値動きを繰り返します。
実際に3barsフラクタルの高値と安値を意識しながら価格の動き方を見ていきましょう。
まずは最初のチャートです。
水色と赤色のラインは、直近の3barsフラクタルになります。
つまり現状では上の水色のラインと下の赤色のラインにLiquidityがあることを意味します。
次の足です。
次の足では下のliquidityラインを割りました。
Liquidityを取ったら、次に目指すのは他のliquidityのある価格です。
次足を見てみましょう。
陰線が続きました。
直近の3barsフラクタルの高値と安値の位置が変わります。
今後はこれらのラインのどちらかを取るか、もしくは途中で値動きの中で出来た新しいliquidityを取りながら動くことになります。
次の動きです。
小幅な動きから下ヒゲの長い足が出現後、大きな陽線が出ました。
ここでフラクタルの安値のラインが変わります。
この流れで行けば、上のliquidityを取りに行きそうな勢いですね。
次の値動きです。
上に行きそうだ・・・と見せかけて、逆に下のliquidityを取り行きました。
直近の値動きを丸ごと包む大陰線です。
ここで、安値の直近のフラクタルが以下のように変わります。
現状の直近の値動きのターゲットは水色か赤色のラインのどちらかです。
次の値動きです。
陰線が続いて直近のliquidityラインに到達しました。
一番右の足を見ると、赤いラインの上に終値が乗っているものの、少し下ヒゲもあるので、反発しそうな感じです。
次の動きです。
やはり陽線が出ました。
しかし、前の足にはらまれており、強い反発とは言えません。
ここで直近の3barsフラクタルの位置が変わります。
次の動きです。
足2本が進んで、3barsフラクタルの高値が変わりました。
徐々にレンジが小さくなってきています。
どちらを取りに行くのでしょうか。
次の値動きです。
ヒゲが目立つ流れですが、1本の出現で高値と安値が変わりました。
更にレンジが狭くなりました。
次に大きく動くためにliquidityを溜めている状態です。
次の値動きです。
下のliquidityを取りました。
この値動きで直近の3barsフラクタルの安値は以下のようになります。
次の値動きです。
直近の安値ラインをギリギリで割らずに反発し、次は上のliquidityを取りました。
一番右の足は、高値のラインをブレイクしたものの、上ヒゲだけを残して陰線となっています。
これは正にliquidity Sweepと思える値動きです。
liquidity sweepのセオリーとしては、次は下げが期待できます。
次の足です。
一応は下げたものの、また下ヒゲの長い足が確定しました。
2本前の足に生じたFVGを完全に埋めて反発しています。
次の足です。
次は陽線が出現しましたので、直近の3barsフラクタルの安値が変わりました。
再度レンジが狭くなってきています。
次の動きです。
上のliquidityを取りました。
一番右の足を見ると、陽線ではあるものの、上ヒゲが長く、これはsweeptと解釈できそうです。
次の動きです。
次は一気に下のliquidityを取りに行きました。
このように、価格は3barsフラクタルの高値と安値を取りながら推移しています。
直近のフラクタルの高値と安値が遠ければ、その途中で新たなliquidityを作り出し、それを利用して先にあるliquidityを取りに行く・・・という動きです。
今回ご紹介した例では、基本的には下げの流れとなりますが、一気に下げるのではなく、下のliquidityを取ったら次は上を取って、また下のliquidityを取って・・・という動き方になっています。
相場は波を描いて動くわけですが、これはliquidityを取りながら、作りながら推移した結果と言えるでしょう。
この値動きの理解は非常に重要になります。
以下はここまでに出した3barsフラクタルの値動きの例を全て繋げたものです。
何度も見ると、3barsフラクタルの示すliquidityが分かりやすくなると思います。
3barsフラクタルがよく出る価格帯はそれだけ多くのliquidityがある
3barsフラクタルが多く出ている価格帯は、それだけ多くのliquidityがあることを示します。
上のチャートのように近くでドットが出た足の高値同士、安値同士を結ぶと、どこに多くのliquidityがあるのかが視覚的に分かりやすくなります。
これを利用してトレードの戦略を立てることで、よりliquidityを意識することができます。
まとめ
今回は3barsフラクタルとliquidityについて解説しました。
SMCの中でもliquidityの概念は難しいのですが、3barsフラクタルを利用して少なからずliquidityのある価格を明確にすることで、相場がliquidityを求めて動いている事実が分かりやすくなります。
価格はLiquidityを求めて、そしてLiquidityを作りながら上下します。
この点を頭に入れて、過去のチャートを使って先が見えない形で検証していくと、相場の値動きに対して更に深い理解が得られるようになるでしょう。