先日、金融先物取引業協会から2017年3月分FX取引高が発表され、2016年度の店頭FXの取引高が判明しました。
その金額は約4,939兆円!
この数字は何を意味しているのかと言いますと、
金融先物取引業協会に登録する日本国内のFX業者(全53社)における2016年度の外国為替証拠金取引の取引高が4939兆円あった
という事になります。海外ブローカーやくりっく365等の取引は含まれておらず、あくまで国内業者の総取引額です。
さてこの数字、大きいのでしょうか?少ないのでしょうか?
FX取引の取引高の推移
まず、これまでのFX取引の取引高の推移を見てみましょう。
年度 | 取引高(10億円) |
2016年 | 4,939,063 |
2015年 | 5,524,512 |
2014年 | 4,697,994 |
2013年 | 4,195,813 |
2012年 | 2,208,456 |
2011年 | 1,732,735 |
2010年 | 1,979,634 |
2009年 | 2,032,383 |
これをグラフに表すと以下のようになります。
リーマンショック後の2009年度から2011年度までは年間2,000兆円程度の取引高でした。
流れが変わったのが2012年の終盤。
政権が民主党から自民党へ交代し安倍首相の主導する「アベノミクス」によって円安の流れになってからは一気に国内のFX取引の人気が高まり、以降は右肩上がりの上昇を続け、2015年度は初の5,000兆円を超えました。
しかし2016年度はブレグジットショックやトランプ大統領の当選など「サプライズ」のおかげで相場が大きく動いたのにもかかわらず取引高が前年度割れしました。
前年度割れした要因としてましては、「FXの人気がピークを過ぎた」、「法人口座のレバレッジ規制が始まった」、「リスク回避のためにトレードを避けた人が多かった」等が挙げられるのではないでしょうか?
とは言ってもまだまだ高い水準にありますので、2017年度は相場の動き次第では取引高が上がる可能性もあるかとは思います。
取引高の多かった通貨ペアランキング
金融先物取引業協会のレポートでは、各月の通貨ペア別の取引高も掲載されています。
この情報を元に、2016年度の取引高の多かった通貨ペアランキングを作成しました。
順位 | 通貨ペア | 取引高(10億円) |
1位 | USDJPN | 3,729,783 |
2位 | GBPJPN | 490,037 |
3位 | AUDJPY | 263,173 |
4位 | EURUSD | 158,418 |
5位 | EURJPN | 147,515 |
6位 | GBPUSD | 646,67 |
7位 | NZDJPY | 29,584 |
8位 | AUDUSD | 17,463 |
9位 | EURAUD | 6,346 |
10位 | GBPAUD | 5,169 |
11位 | ZARJPY | 5,036 |
12位 | CADJPY | 4,251 |
13位 | NZDUSD | 3,628 |
14位 | EURGBP | 3,275 |
15位 | TRYJPY | 2,092 |
16位 | USDCAD | 2,091 |
17位 | CHFJPY | 1,581 |
18位 | USDCHF | 1,159 |
19位 | EURCHF | 606 |
20位 | GBPCHF | 576 |
一位は圧倒的な数字でドル円。
2位のポンド円に7倍以上の差をつけました。
ドル円の取引高は全体の約75%を占めており、その存在感は凄まじいですね。
以降ポンド円、オージー円、ユーロドル、ユーロ円と続くわけですが、個人的にはオージー円がユーロドルやユーロ円よりも取引額が多かったのが意外でしたね。全体で見てもオージーがらみの通貨ペアは人気のようです。
以上、日本国内における外国為替証拠金取引の取引高の統計でした。
取引高の多い国ランキング
では最後に、国別の外国為替市場取引高ランキングです。
こちらにBISが発表する世界各国の1日平均の外国為替市場の取引高がまとめてありましたので取引高の多い国順にランキング化しました。1ドル110円で計算しています。
(以下の取引高は外国為替証拠金取引だけではなく、実需、先物、スワップ、オプション等すべての外国為替取引の1日平均の数値です)
順位 | 国名 | 取引高(10億円) |
1位 | イギリス | 264,660 |
2位 | アメリカ | 139,920 |
3位 | シンガポール | 56,870 |
4位 | 台湾 | 48,070 |
5位 | 日本 | 43,890 |
6位 | フランス | 19,910 |
7位 | スイス | 17,160 |
8位 | オーストラリア | 13,310 |
9位 | ドイツ | 12,760 |
10位 | デンマーク | 11,110 |
11位 | カナダ | 9,460 |
12位 | オランダ | 9,350 |
13位 | 中国 | 8,030 |
14位 | 韓国 | 5,280 |
15位 | ロシア | 4,950 |
16位 | スウェーデン | 4,620 |
17位 | ノルウェー | 4,400 |
18位 | ルクセンブルク | 4,070 |
19位 | インド | 3,740 |
20位 | スペイン | 3,630 |
世界三大マーケットとしてイギリス、アメリカ、日本・・・と言われてはいるのですが、取引高で見れば日本は5位。つい最近まではシンガポールの次だった記憶があるものの、台湾にも抜かされてしまってアジアでも3位に陥落しました。
アジアの金融が日本からシンガポール、台湾へ移行していることが分かりますね。
BISによると2016年の世界全体の外国為替取引高の1日平均が6兆5140億ドルになるそうです。1ドル=110円とすると716兆円以上!たったの1日で・・・。
とんでもない金額が動いているようです。
やはり世界最大のマーケットは規模が違いますね。