
先日、GMOクリック証券で口座凍結祭りがあったことがネット上で話題になりました。
口座凍結とは、その名前の通り新規にポジションを取れなくなる状態になることです。場合によっては口座資金の入出金も不可能になることもあるそうです。
GMOクリック証券における過去の凍結祭りの頻度を見ると、大体1年に1回はスキャルピングで稼いでいる人たちを中心に大規模な口座凍結を行っているようです。今回も自動プログラム等を利用しているという疑いをかけているようですね。(直接的に「スキャルピングをやっているから凍結した」とは言わない)
世界で一番取引量の多いFX業者がこれだけ大胆に顧客の口座を凍結するのは何故でしょうか?
今回は国内業者が顧客の口座を凍結する理由について解説します。
相対業者のビジネスモデル
基本的に、顧客の注文を全てインターバンクに流さない相対取引業者は、超短期のスキャルピングを嫌います。その理由は相対取引業者のビジネスモデルにとってリスクある取引だからです。
下の画像はGMOクリックHDさんの2017年3月期の決算説明会資料の中のものです。
GMOクリック証券のFXにおけるビジネスモデルを示しています。
この画像では、顧客の売り注文と買い注文をマッチング(マリー)させてスプレッド分をそのまま収益にし、マリーしきれなかった注文の中で、社内で決められたリスク許容値を超えた分だけカバー先に注文を入れるという解説がなされています。
ここで分かることをもう一度まとめます。
- 顧客同士の注文を相殺(マリー)してスプレッド分を稼ぐ。
- マリーできなかった部分の一部は呑む
- 呑むにはリスクが大きいと判断した時にだけカバーを入れる。
FX業者の中の人で、上記の業務をやっている人を「ディーラー」と呼びます。
GMOクリック証券は現在は全てのディーリング業務をコンピューターで自動でやらせているようですが、業者によっては、ディーラーが注文をさばいている所もあるでしょう。
FX業者の利益の出し方につきましては、以下の記事でも詳しく書いています。
高速スキャルピングをされると、FX業者側のリスク管理が難しくなる
先ほど掲載した画像をイメージしながら読んでいただきたいのですが、顧客が高ロットで超短期のスキャルピングをやる場合、FX業者にはどのような負担がかかるでしょうか?
FX業者側の気持ちになって想像してみましょう。
まず顧客がエントリーした際は、業者側は出来るだけポジションをマリーさせようとするでしょう。無リスクでスプレッド分が儲けられます。
ここですべて相殺出来ればいいのですが、高ロットのため全て相殺できなかった場合は、業者側はそのポジションの一部を呑む(新たなマリー相手を待つ)、そして残りはカバー注文を入れることになります。
顧客がそれなりの時間ポジションを保有してくれれば、業者側もカバー注文を入れたりのリスク管理を取るための時間を確保することが出来るのですが、すぐに手仕舞われるとどうなるでしょうか?
業者側はカバー注文が出来ずに、無理矢理にでも呑まざるを得なくなり、自社がリスクを受けることになります。
もちろん顧客が負けてくれるのなら、業者にとっては顧客の損失分をまるまる頂けるわけですが、相手が常勝の凄腕スキャルパーだったら、業者のお金を持っていく嫌な客ですよね。
そんなわけで勝ち組スキャルパーをFX業者は嫌うのだと思います。
ついでに・・・
今回の記事を書く上で、GMOクリックHDさんの2017年3月期の決算説明会資料を参考にさせて頂きましたが、この中で興味深い資料がありました。
それはFX口座所有者の男女比と年齢分布です。
口座数は業界2位のGMOクリック証券ですから、この数字はどこの業者でも大きな違いはないと考えられます。
男女比を見ると、トレーダーの約8割が男性。
そして男性トレーダーの約35%が30代と比較的若い世代の人がFXトレードをしているというのが、FX業界の一つの特徴ではないでしょうか。
女性の年齢分布も似通っていますね。
しかし女性は40代の比率が一番大きく、ちょっと落ち着いてからトレードを始めたくなる人が多いのかもしれません。
なかなか興味深い数字だと思います。