定期的にチャート上に現れる「」をご存じでしょうか?

これは、ローソク足の終値と次の足の始値が一致しないときに生じる「価格の空白地帯」のことで、英語では「Gap」と呼びます。

窓が開く理由は、市場が閉まっているとき市場に関わるニュース等が出ると、それまでの売りと買いのバランスが崩れてしまうからです。

株式市場の場合は、市場が開いているのは平日9時から15時までで、それ以外の時間は閉まっているわけですから、基本的には毎日窓が発生する可能性があります。

しかし、外国為替市場は平日では24時間市場が動き続けますので窓は生じにくく、週の切り替わる金曜日の終値と月曜日の始値の間のみで窓が生じることがあるだけです。

そんなFX市場ではレアな存在である窓ですが、窓は非常に高確率で埋められる傾向にあります。

窓が開いたあと、調整的な動きとして窓の部分までレートが戻ってくること」を窓埋めと呼びます。

窓埋めする可能性が高いことは、経験のあるトレーダーならご存じだと思います。
しかし、私も実際にどれくらいの確率で窓埋めするのか?窓埋めまでどれくらいの時間がかかるのか?について具体的な数字を知らなかったので検証してみました。

窓の定義について

今回の検証では、月曜日の始値が前週金曜日の終値から10pips以上離れたケースを「窓」と定義しました。(10pips以下の小さな窓は除外しています)

また窓埋めについては、月曜日のニューヨーク時間が終わるまでに、金曜日の終値まで戻した場合のみを窓埋めとしています。

実はやっかいな窓の定義

ここは余談なので興味のない方は読み飛ばしてもらっても結構です。

「窓」の概念は分かりやすいのですが、実は「窓」の定義は複数あります。

上記の窓の定義もその一つですし、他には前日の高値もしくは安値から離れたレート部分のみ、つまりヒゲ部分は窓とは認めずに、すっぽりと穴が開いたところだけを「窓」と定義する書籍やサイトもあります。

この解説をするところは主に株式関連の書籍やサイトが多いです。

しかし今回はFX関連の書籍やサイトで多く解説されており、西洋でも主流の考えとなっている「金曜日の終値と月曜日の始値の間に生じたレート差」を窓開けと定義しています。

検証ルール

■目的
週明けに生じる窓は、どれくらいの確率埋められるのかを調査する。
また、窓埋めにかかる時間の分布も調査する。

窓開け:金曜日の終値と月曜日の始値に10pips以上の差があった場合を窓明けとする。
窓埋め:月曜日のニューヨーク時間が終わるまでに金曜日の終値まで戻ったら窓埋めとする。

■検証通貨ペア
ドル円、ユーロドル、ユーロ円、ポンドドル、ポンド円

■検証期間
2018年1月1日~2018年10月31日

今回の検証では、MT4用の無料インジであるi-GAPを利用して窓を検出しました。
このインジは窓が開いたところにサインが表示されます。

しかも、検出する窓の最低値も決めることが出来ます。

今回の検証では、パラメーター変更画面の「SizeGAP」の値を100にしています。
こうすることで、10pips以上の大きさの窓のみにシグナルが表示されるようになります。

検証結果

各通貨ペアの窓埋め率について

各通貨ペアにおいて、調査期間内で窓を開けた回数とその日のうちに窓を埋めた回数を求めて窓埋め率を求めました。

窓が生じた回数 月曜日内に窓が埋まった回数 窓埋め率
ドル円 13 11 84.6%
ユーロドル 10 9 90.0%
ユーロ円 20 18 90.0%
ポンドドル 16 13 81.3%
ポンド円 24 21 87.5%
トータル 83 72 86.7%

 

どの通貨ペアでも8割以上の確率で窓が埋まるという結果になりました。
特にユーロドルやユーロ円の窓埋め率は9割以上とかなりの高確率です。

「窓は埋められやすい」と良く言われていますが、それは統計的にも事実であることが分かりました。

窓埋めまでかかった時間の分布

一般的に、「窓は午前中までに埋まりやすい」と言われています。
これが本当なのかを調べるために、月曜日の市場開始(冬時間で日本時間の午前7時、夏時間で日本時間の午前6時)から何時間で窓が埋まったかも調べてみました。

下は、今回調査した通貨ペアの中で窓埋めとなったケースについて、窓埋めまでの時間を求め、それらの分布をグラフ化したものです。

上のグラフから、市場開始から10時間位内、つまりはロンドン時間が始まる前にはほとんどの窓(約86%)が埋まることが分かります。

逆に考えれば、東京時間内に窓が埋まらなければ、その日は窓埋めする可能性は限りなく低くなる、とも言えます。

また、驚くことに市場開始から1時間位内で約3割の窓が埋まります。
4時間位内に窓が埋まる確率は68%です。

以上の結果から、通説通り「窓は早い時間に埋まりやすい」と言えるでしょう。

窓埋めトレードは有効か?

「少なくとも8割以上で窓は埋まりやすい」
という事実を知れば、誰もが月曜日の朝イチから窓埋めトレードをやってみたくなることでしょう。

しかし現実はそう甘くはありません。
なぜなら、月曜日の市場開始直後は動きがそれなりに荒く、すぐに窓を埋めてしまうこともありますし、何よりもスプレッドが広いです。

以下は2018年11月5日月曜日の朝7時~7時10分頃までの各FX業者の配信レートをキャプチャーしたものです。

各FX業者の月曜日7時~7時10分までの配信レート

DMM FX

GMOクリック証券 FXネオ

マネーパートナーズ

サクソバンク


サクソンバンクのみ午前3時からレートが配信されます。

オアンダ

XM

市場開始直後はスプレッドが異様に広がる

以上のように、市場開始直後は固定スプレッドを謳う業者であってもスプレッドが大きく広がります。

基本的にはスプレッドの狭いドル円であっても、時には5~10pipsまで広がることがありましたので、朝イチで窓埋めを狙うのは賢明ではないことが分かります。

多くの業者で、7時30分頃には通常の固定スプレッドに戻りました。

理屈ほど窓埋めトレードは有効ではない?

残念なことに、市場開始直後の相場が荒れてスプレッドが広がっている時に、多くの窓が埋まってしまう現実があります。

市場開始から1時間位内で3割の窓が埋まるという検証結果ですが、実はそれらのほとんどが市場開始30分以内で埋まってしまうのです!

つまり、窓埋めトレードをする場合は、最初の1時間以内に窓が埋まるケースを諦めてやっていく必要がありますので、実質的な勝率は下がる、と言えます。

また、市場開始直後の変動で完全に窓埋めとはならずとも、窓の多くの割合を埋めてしまうことも多いですので、スプレッドが落ち着いてからエントリーしても取れる値幅も少なくなる傾向にあります。

さらに窓が埋まらなかった場合の損切りについても考える必要もあります。
こう考えると、なかなか理論通りには行かないのが現実のようです。

まとめ

今回の検証の結果をまとめます。

  • 確かに窓は埋まりやすい。
  • 市場開始から東京時間の間で窓が埋まることが多い
  • 窓埋めトレードは可能だが、理論上の結果を出すのは難しい

窓埋めは有名で、誰もが実践できる手法ですが、詳しく検証してみると一般的に言われるほど美味しい手法ではないことが分かりました。

とは言っても、完全に優位性がないわけでもないと思います。
適切な損切りや条件を絞ったエントリーをすれば高勝率・高エッジの手法となる余地は残されています。気になる方は、色々と検証してみると何か発見があるかもしれませんね。