先日、日本のFX(外国為替証拠金取引)の取引高が減少しているという記事を見ました。

日本は今やFX大国。FX取引高では日本が世界一です。
2015年度は日本の年間FX取引高が5000兆円を突破したという事でニュースになりましたし、日本の個人トレーダーである「ミセスワタナベ」の存在が、(色々な意味で)海外の投資家も無視できない状況になっている・・・と言う状況が長く続いています。

そんな中で日本のFX取引高が減少しているという話ですが、一体どれほど取引高が減少しているのか?取引高が減少した要因は何なのか?について考察してみました。

これまでの取引高の推移につきましては、以下の記事をご覧ください。
取引高5000兆円超え!どこまで伸びる?日本国内のFX!

2017年の取引高は2016年と比較して約14%減少していた!

最初に2017年のFX取引高が前年比でどれくらい減少しているのかを調べました。
取引データは国内のFX取引状況をまとめている金融先物取引業協会の店頭FX月次速報を利用させてもらいました。

総取引高の比較

まずは、月別のFX総取引高について2017年と2016年で比較です。
(2017年12月のデータはまだ無いので11月までのデータで比較しています)


(単位は100万円)

取引高の推移をみると、ほとんどの月で2017年の取引高は2016年を下回っています。

2016年1月~11月までの総取引高は約4,742兆円
2017年1月~11月までの総取引高は約4,066兆円

2017年の総取引高は11月までの時点で前年比14%減となっています。
これは結構な下落ではないでしょうか。

通貨ペア別の取引高の比較

2017年のFX取引高は前年比で約14%減となったのは分かりました。

では、通貨ペア別ではどうなのか?と思いまして、国内のFXで取引高の多い通貨ペアについて2017年と2016年を比較しました。

ドル円

2016年1月~11月までの総取引高は約3,348兆円
2017年1月~11月までの総取引高は約3,145兆円

2017年のドル円の取引高は11月までの時点で前年比約6.1%減となっています。

それにしても驚くのがFX取引の中のドル円の存在感です。
2017年11月までのFX総取引高が4,066兆円に対してドル円が3,145兆円。
FX取引高のうち約77%がドル円だったことになります。

ユーロドル

2016年1月~11月までの総取引高は約179兆円
2017年1月~11月までの総取引高は約184兆円

2017年のユーロドルの取引高は11月までの時点で前年比約2.8%増となっています。

ユーロ円

2016年1月~11月までの総取引高は約156兆円
2017年1月~11月までの総取引高は約180兆円

2017年のユーロ円の取引高は11月までの時点で前年比約13.7%増となっています。

ポンドドル

2016年1月~11月までの総取引高は約60兆円
2017年1月~11月までの総取引高は約45兆円

2017年のポンドドルの取引高は11月までの時点で前年比約25%減となっています。

ポンド円

2016年1月~11月までの総取引高は約510兆円
2017年1月~11月までの総取引高は約290兆円

2017年のポンド円の取引高は11月までの時点で前年比約43%減となっています。

豪円

2016年1月~11月までの総取引高は約370兆円
2017年1月~11月までの総取引高は約147兆円

2017年の豪円の取引高は11月までの時点で前年比約60%減となっています。

ポンドとオージーの取引額の低下がヤバい

以上から、ユーロドルやユーロ円は前年比で取引高は上がっているものの、ポンド円、ポンドドル、豪円の取引高が大きく下がっているのが目立ちます。

特に豪円の取引高が6割減というのは凄いですね。

では何故こんなにも取引高が減少したのか?について考察してみました。

FXの取引高が減った理由

2017年の取引高が減少した理由は大きく2つあると思います。

  1. FX市場全体のボラティリティの低下
  2. ビットコインを始めとした仮想通貨の台頭

これらについて解説していきます。

1.FX市場全体のボラティリティの低下

2017年は停滞感のある1年でした。
全体的に相場がレンジ的で、ボラティリティが低下していました。

では、どれくらい動きが無かったのかを調べるために、2016年と2017年の各通貨ペアにおける年間の値幅を比較してみました。(2017年は12月20日までのレートでグラフを作っています)


(単位はpips)

ユーロドル以外はどの通貨ペアでも2017年の値幅が2016年よりも小さいことが分かります。
特にポンドドルやポンド円は昨年のブレグジットショックで大きく動きましたが、今年はそれと比較すると全然動いていません。

ポンド円の今年の値幅は17円80銭程度。
ポンド円で1年間で20円も動かない年は、2001年からさかのぼっても2004年(18円50銭)と2017年の2回のみ。「ポンド円は2000年代に入ってから最低水準のボラティリティだった」と言えます。

このようなボラティリティの低下のおかげでFX取引の魅力が減ったために取引が減少したと考えていいでしょう。

2.ビットコインを始めとした仮想通貨の台頭

2017年は仮想通貨元年と言われています。

日本では4月に仮想通貨法が成立し、仮想通貨の価値が認められました。
その結果、日本人による仮想通貨取引高が急上昇し、ビットコインを始めとして、イーサリアム、リップル、ネム、ライトコインなどが大きく値を上げました。

この仮想通貨バブルのおかげで、多くのFXトレーダーが仮想通貨に移ったと言われています。
前述したように、ボラティリティの低下したFX市場とは比較にならないほどよく動く仮想通貨市場が魅力的に移ったのでしょう。

ポンドドルやポンド円で取引するトレーダーは積極的にリスクを取って行くタイプが多いと思われますが、そんな人たちがこぞって仮想通貨に移ったと考えると、ポンドの取引高が大きく減少したのも納得できます。

2018年はもっと取引高は下がる?

以上、2017年のFX取引高がどれくらい減少したのかとその原因について考察しました。

個人的には、2018年のFX取引高は更に減少するのではないかと思っています。
その理由はレバレッジ規制です。

昨今のニュースによると、金融庁はレバレッジ規制に対してかなり積極的なようで、業界やトレーダーからの猛反発を無視するかのような形で話を進めようとしているようです。

もし本当にレバレッジ規制が導入されて、最大レバレッジが10倍ともなれば、必然的に取引高も半分以下になるのではないでしょうか?

積極的にリスクを取るトレーダーは仮想通貨か海外業者に移行することが予想されます。
既に大手のFX業者も仮想通貨取引のサービスを始めています。もしかすると、現在の国内FXは重大な過渡期にあるのかもしれませんね。