タートルズの実験から学べることを考えてみよう! 後編

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タートルズの実験から学べることを考えてみよう! 前編では「タートルズとは何か?」
ということに焦点を絞って書きました。

マーケットの魔術師であるリチャード・デニスとウィリアム・エックハートの意見の食い
違いから始まって結成されたタートルズ。

結果としては大成功を収めたわけですが、後編では更に詳しく考えていきたいと思います。

タートルズの手法は?

タートルズの最初の研修プログラムは第1回目の募集時では2週間、
第2回目の募集時には1週間しか時間をかけなかったそうです。

トレードの経験の無い人間もいる中で、そんなに短い期間でトレードのノウハウを
教えられるのかと不思議に思われますが、2人が教えたのは裁量判断が一切入らない
トレードシステムでした。

具体的にはドンチャンブレイクアウトシステムと呼ばれるもので、

中期ならば20日間の高値・安値
長期ならば20日間の高値・安値

をブレイクしたらその方向にエントリーするという非常にシンプルなシステムです。

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実際にはこれにトレードフィルターも加えて取引して期待値を上げていたようです。

このシステム加えてタートルズの成功に大きく寄与したのが資金管理法です。

様々な商品でトレードしていく中で、「各相場のボラティリティに応じて取引枚数を調節し
トレードリスクを一定に保つ」という当時では画期的な資金管理術のおかげでタートルズは
資金を守りながら攻め続けることが出来ました。

システムと資金管理が見事に組み合わさった結果、タートルズは大成功したのです。

しかし、本当にトレードに素質はいらないのか?

4年間で1億ドルの利益を出したタートルズは、
「トレードを教えることは可能で、素質はいらない」
と結論付けられたように思えます。

しかしよくよく考えてみると、そう簡単に断定はできないのです。
その理由をまとめます。

1.タートルを選ぶための予備選考テストと面接があった。

当時のスーパートレーダーがトレードの教育をすると広告を出したインパクトは凄まじく、
1984年の第1回目の募集では1000人以上の人が応募したそうです。

その中で予備選考テストに受かって面接に進んだのが40名程度。
結局タートルズに入れたのは13人でしたので、倍率は少なくとも77倍以上です。

2回目である1985年の募集では1期生の成績が凄まじかったので更に応募者は多かったと
思われますが、この時は10人しかタートルズに採用されませんでした。

この選考でどんなタイプの人が積極的に選ばれたのでしょうか?

伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術では以下の人が1期生にいたと書かれています。

・ギャンブルとゲーム全般に、並々ならぬ興味を持つ人物
・シカゴ大学の言語学博士号を持つ人物
・米国最大手の穀物企業、カーギル社ののトレーダー
・トレーディング経験のある人物が数名
・会計士
・ブラックジャックとバックギャモンのプロ・ギャンブラー
・当時では珍しいパソコンを利用してのトレードシステムの開発経験者(この本の筆者)

これらの経歴のある人を見ると、明らかに2人は知性と数字、および確率に対して
造詣の深い人を選んでいたことが判ります。

自分たちの資金を預けてトレードさせるわけですから、当然と言えば当然ですが、
全体として「儲けられるトレーダーの資質とキャリア」がある人を選んでいたようにも
思えます。

2.タートルズの中でも「落ちこぼれ」がいた

タートルズは信じられないほどの利益を出して有名になりましたが、
全員が等しく利益を出せていたわけではありませんでした。

使っていた手法はシステムですから、理論的には全員が同じ成績になるはずです。
しかし現実には個人差によるバラつきが非常に大きく、中には大きな損失を出して
クビになった人もいました。

リチャード・デニスとウィリアム・エックハート選考を勝ち抜いた聡明な人間の中で、
当時は非常に有効だったトレードシステムを用いていても、負ける人はいたのです。

トレーダーは教育できるが、誰でも勝てるようになるとは限らないが・・・

以上の事を加味してタートルズの結果について考えると、

「優秀なトレーダーを育成することは可能だが、勝つためにはトレードの素質が
全く必要ないとは言い切れない」

と結論付けられるのではないでしょうか。

私のトレードコーチとしての経験としても、この結論の方が辻褄が合うのです。

現実問題としてトレードの素質というものがありますし、素質がある人は比較的早く
技術を習得して勝てるようになるのです。

個人的にはこの結論に更に付け加えたいことがあります。

「しかし素質よりも本人の意思の方が重要である」

素質が無い人は何を教えても全然ダメかと言われればそんなことは一切ありません。
本人が勝てるようになるために一生懸命努力し、トレーダー的思考と技術を時間を
かけながらも習得していけば、利益は出るようになるのです。

実際、私も含めてほとんどの人が素質はありません。
素質の無い人間が勝てるようになるためには、「教育」よりも「本人の意思」の割合
の方が強いと私は感じています。

「教えてもらえれば勝てるトレーダーになる」と漠然に考えていたら先は遠くなる
ばかりなのです。

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